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集客力のあるホームページの作り方(1)

公開日:2024/05/01

原田隆治(はらだ・たかはる)

近年では中小企業であっても、自社のホームページを持っている会社がほとんどではないでしょうか。ただ、かつて制作会社に任せて作ったは良いものの、その後アクセスの分析や検証、そして更新などをあまり行わず、言わば埃をかぶってしまったままのホームページも非常に多いものと思われます。10年以上前、スマホの時代になる前に制作して、今スマホで開くとパソコンで見る時のままのビューでかなり文字が小さくなってしまっているサイトなどもその一種です。
しかし小さな会社であっても、ホームページの分析を行いSEOでの集客を実施し、そしてサイトコンテンツの強化を行うことで、ホームページを優秀な営業マンとして機能させているところも多数あります。このコラムではSEO対策による集客力アップ策、そしてホームページ来訪後の導線設計を中心に紹介していきます。

SEOのポイントとは

当コラムでも再三登場しているデジタルマーケティングの基本ワードであるSEOとは、Googleを中心とした検索エンジンを通じて、Webサイトへの流入を増やすことを指します。ただし、言葉は知っていても実際どんなことをやれば良いのか分からない、という企業がとても多いのも事実です。まずは、基本的な考え方をここで整理します。

①無料であること

SEOのポイントの1つは、「無料」ということです。ただ、無料であるからには、広告費を払う代わりに、知恵を絞り、手を動かす必要があります。さらに重要なことは、一度やって終わりではなく、そうした施策を続けていく必要があるということです。そのためのリソースがどうしても割けない、という場合は集客対策をWeb広告にシフトした方が良いかもしれません。ただし、Web広告もコスト回収効果について精緻に検証し改善を重ねていく必要があることもお伝えしておきます。広告代理店に運用や報告を依頼すれば手を動かすことはなくなるかもしれませんが、ある程度の広告費や手数料がないと、代理店による時間をかけた丁寧な運用はあまり期待できないかもしれません。

②ユーザーファーストであること

そしてSEOのもう1つのポイントは、「ユーザー(検索エンジン利用者)ファースト」だということです。皆さんも私生活では1ユーザーですので感覚的に分かると思いますが、知りたいこと・調べたいことがあって検索したとき、検索結果の上位が微妙に知りたいことの本質を外しているサイトばかりだったらちょっとイラっとしますよね。Googleをはじめ検索エンジンの会社は、そのような状態になることを避けるため、自社の検索でユーザーが短時間に高いレベルで課題解決ができることを最優先にしています。そのため、ユーザーが真に困っていることがズバリと解決する内容を、見やすく分かりやすい構成で、信頼できる根拠も織り交ぜながら作られたサイトを上位に表示しユーザーの満足を高めようとしているのです。
検索エンジンは世界中の公開されたサイトを内容やユーザーの行動からしっかり見分け、評価を下していき、その評価を順位化させます。小手先の変なテクニックより、ユーザーにとっての真の利便性を最優先することが重要です。

まずは現状分析をしてみましょう

まず、基本中の基本として、「Google Search Console」「Google Analytics」は必ず導入しましょう。いずれも無料のツールです。
余談ですが、 Google Analyticsは、元々Googleとは別の会社が有料で提供していたサービスだったのですが、2005年にGoogleが会社ごと買収し無料提供を始めたものです。有料当時の価格は月額495ドルですので、20年近く値上げがなかったとしても現在のレートで7万円を超えます。ちょっと中小企業には手を出しにくい価格です。この無料化も、Googleのユーザーファーストの方針の表れで、各社しっかり自社サイトを分析してユーザーが使いやすいようにどんどん改善してね、というメッセージでもあります。「Googleさん、無料にしてくれてありがとう」という気持ちでしっかり使いこなしたいですね。
いずれも登録してからデータ計測がスタートとなるため、登録以前の過去のデータにはさかのぼれません。もしまだ登録していないという事業者があれば、即対応することをお勧めします。

Google Search Console

Google Search Consoleの主な機能である「検索パフォーマンス」は、ざっくり言うと自社サイトに来る前の検索エンジン上での行動を見るためのツールです。特定の検索キーワードごとに検索結果画面での表示回数、クリック数、クリック率、平均掲載順位等を確認することが可能となっています。
現状として、自社サイトはどんな検索ワードで人を集めているのか、それぞれのワードでの順位はどうなっているのか、などを確認します。特にSEO対策を行っていないサイトでよくあるのが、検索ワードの上位順位がほぼ自社の社名や経営者名など固有名詞での「ご指名」検索で、普通名詞を使った一般ワードがほぼない、という状態です。こうしたケースでは、一般ワードでの集客を増やすなど方針を固めていきます。
また、中には、過去に作成した一部の記事で特定の一般ワードでの一定の集客ができていた、というケースもあります。そのような場合は、その集客できているページを横展開して量産できないかを検討するなど方針を固めます。

Google Analytics

Google Analyticsは、ざっくり言うと自社サイトに来てからのサイト上での行動を見るためのツールです。訪問者数やサイトでのランディング(最初に訪れた)ページ・閲覧ページ・閲覧時間、訪問者の流入元、閲覧している端末情報、ユーザー属性情報等々、サイトに関する様々なデータを確認することが可能となっています。
現状として、自社サイトに来てくれた人はどのページをどのくらいの時間をかけて読んでくれて、そしてどこで離脱してしまうのか、などを確認します。特にSEO対策を行っていない会社でよくあるのが、あまり多くないアクセスのほとんどがTOPページで、他のページにはあまり遷移せず(あっても「会社情報」など)滞在時間が1分未満、という状態です。こうしたケースでは、まずアクセス数を増やすとともに、サイトを見やすく分かりやすくしてサイト内の回遊を促し、滞在時間を伸ばしていくなど方針を固めます。

ヒートマップツール

また、更なる現状分析を行えるツールとして、ヒートマップツールというものもあります。自社サイト内のどの部分が読まれ、どこが飛ばされ、どこをタップ(クリック)しているのかが分かるツールです。中には、ユーザーのサイト上でのランディングから離脱まで全時間のカーソルの移動などをまるまる動画にして1件ずつ見られるツールもあります。ユーザーの自社サイト上での行動が分かるため、どこに問題がありそうかの仮説を立てることに役立ちます。様々な専門業者のツールがありますが、無料でも一定のデータを提供してくれるものもありますので、導入を検討されることをお勧めいたします。

そして、「まずは現状分析を」と書いておいてアレですが、「まずは」ではなく、基本的に永遠に現状分析が必要です。特に、この後でお伝えするコラム記事などを書いていくにあたっては日々閲読数などをチェックして一喜一憂しながら次の一手を考えていくことが重要です。自分がやったことの効果が可視化できるので各種ツールを見るのが楽しくなってくる社長さんをたくさん見てきました。

ここまで、SEOの考え方と自社ホームページの現状分析についてお伝えしました。次回のコラムでは、具体的なキーワード選びやホームページの記事作り、そしてホームページ内での導線についてお伝えします。次回のコラムも是非お読みください!

コラムニストプロフィール

原田隆治(はらだ・たかはる)

中小企業診断士。ダイレクトマーケティングに強い大手出版社にて25年、通信販売(カタログ・Eコマース)事業やマーケティング活動に従事。TVCMやLINEなどSNSの企画、新規事業開発、スマートホンアプリ開発、読者イベント開催など歴任。現在は中小企業の販促、営業等を中心とした支援を行っている。