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ランディングページの作り方

公開日:2023/07/10

原田隆治(はらだ・たかはる)

ランディングページ(LP)とは、ユーザーが検索結果画面などからあなたの会社のWebサイトに入り最初に見る(ランディング=着陸・着地する)ページのことです。あなたの会社のWebサイトでは、どのくらいの検索ワードに対応したLPを、何ページ持っていますか?このコラムでは、トップページ以外で、SEO対策としてのLPをたくさん作成し集客する方法をご紹介します。

トップページにすべてのSEOを任せていませんか

自社のサイトの中でもっとも見込顧客に見てもらいたいページは、確かにトップページかもしれません。情報も整理され、画像や動画、そしてコンバージョン(成約や購入、問い合わせなどサイトのゴール)へ至るための導線をもっともよく考えて作成しているページであることが多いと思いますので、そう考える企業は多いでしょう。

しかし、当然ながらトップページは1ページしかありません。ここに様々なキーワードでの検索結果で上位表示させようとしても荷が重すぎるということになりかねません。そしてそもそも、その構造上トップページは検索順位を上げにくいものなのです。

その理由は、大きくは以下の3つです。

①トップページの内容は、ユーザーが求めている回答をしていないことが多い

検索エンジンは、ユーザーが持っている悩みや関心事に対してストレートに回答をしていて、ユーザーがしっかり読み込んでいる(エンゲージメントと言われます。一定以上の時間をかけスクロールさせながら読んでいるかどうかを検索エンジンが見分けます)状態を確認できると、「その検索ワードに対して目的を果たした良いサイト」と見なし、そうした実績の積み重ねで検索順位を上げていきます。

しかしトップページは、どうしても企業や事業の全般のことを全方位的に説明することが多くなるため、異なるテーマのコンテンツをそれぞれ掲載することになり、ピンポイントな関心事への回答を求めるユーザーのニーズを満たすことは難しくなります。例えば、ユーザーは香りの華やかな芋焼酎を探しているのに、トップページで麦焼酎も米焼酎も、さらに日本酒もビールもワインもありますよと書いてあるとそれは検索エンジンから見ると「散漫な内容のサイト」となってしまい、検索結果で上位を目指す上では非常に不利です。

➁トップページでは大量のテキストを掲載しにくい

検索エンジンは、サイトの中に書かれたテキストを読み取ってどのようなサイトなのかを判断しています。ここで問題なのは、読み取るのは画像やイラスト、動画などではなくテキスト情報である、ということになります。そのため、検索ワードにぴったりのテキスト情報が質・量ともに充実していれば、検索順位の上昇に貢献するはずです。

しかしトップページはそうした条件に合った構造でしょうか。大きなイメージ画像やイラスト、動画、画像化したバナーや模式図などを多く使い、見やすいデザインかつ少ないテキストで構成されていませんか。もしそうであれば、検索エンジンにとっての「良質なコンテンツ」の条件を満たすことは困難になります。

ただし、だからといってトップページに大量のテキストを載せて検索順位を上げようとしても、トップページ本来の目的であるサイト全体の俯瞰性の観点や各サービスやそれぞれの下層ページへ遷移させるハブとしての観点が欠如してしまい、非常に使いにくいものになってしまいます。さらに付け加えるならば、トップページに長文を書こうにもそもそもテーマが広がり過ぎてしまい焦点がぼやけた、または焦点がない内容になってしまいます。芋焼酎をテーマに文章は書けても、焼酎も日本酒もワインもビールも、という内容は何を伝えたいのかよく分からず、検索エンジンがお勧めしたいと判断してくれるコンテンツにさせることは困難でしょう。

③ビッグワードではなかなか勝てない

お酒の通販サイトで、「香りの華やかな芋焼酎」という検索でトップページを上位表示させることができないのだったら、「酒」で上位表示されれば良いのでは、という考えもあるでしょう。こうした一般用語で検索回数も多いキーワードを「ビッグワード」と呼びますが、それらの言葉はユーザーのニーズが高い反面ライバルサイトが非常に多く、巨大なオンラインショッピングモールサイトや大手EC通販会社がそのサイトのボリュームゆえSEO的に強く、それらに勝って上位に進出することはこれまた大変困難です。

ロングテールキーワードに注目しましょう

そうした状況からも、トップページでビッグワード検索による上位表示を狙うのは中小企業が取るべき方法論ではなく、ニッチかつロングテールなキーワードで勝負するのが一般的な戦術となります。つまり、「酒」ではなく「芋焼酎 白麹 香り」とか「芋焼酎 無濾過 おすすめ」など検索数は少なくなってしまうが一定数は存在する特定の検索ニーズに対してピンポイントで一発回答するということです。

そこで重要になってくるのが、このコラムでのテーマでもあるランディングページ(LP)です。LPはトップページとは異なる下層ページで大量に作成するのがセオリーとなります。例えばブログの機能などを使って、サイト内に1テーマで1ページの2000字程度のテキストと写真を記載することがそれに当たります。先ほどの検索ワード「芋焼酎 白麹 香り」で言えば、ブログで「白麹で蒸留された芋焼酎の香りの特徴と分類について」という文章を作ります。競争相手も少なくなるので、ユーザーの知りたいことにしっかり応えられる文章になっていれば検索順位での上位表示もそれほど難しくないでしょう。さらにLPには読み物だけで終わらないよう自社で販売している白麹芋焼酎コーナーへのリンクを付けておきます。すると、白麹の芋焼酎に興味のあるニッチなユーザーが来訪して、自分好みの銘柄をブログで学び、そのまま購入ページへと遷移させるような流れを作ることができます。「酒」で検索してトップページに来た人にお目当ての商品の詳細ページまで連れていくことは難しく途中で離脱するケースも多くなりますが、検索ワードがピンポイントでニッチな場合はお目当ての販売ページへ誘導しやすく、コンバージョン(購入)率も高くなるというメリットもあります。

ここで注意したいのは、ページごとの情報のカニバリゼーション(食い合い)です。全く同じような検索ワードに対応したLPが複数できてしまうと検索エンジンがどちらのページについても評価も下げてしまう可能性があるからです。どういった検索ワードからの流入を狙って作成するLPなのかはしっかり住み分けしながら作っていきましょう。

※「芋焼酎 白麹 香り」のようなニッチでロングテールなキーワードをどうやって見つけ、そしてどんなコンテンツでブログを書くかについては様々なテクニックがあるのですが、その詳細は他のコラムにお譲りします。

時計の修理サイトでもロングテールキーワードに対応したLPを見つけました

先日、自分の腕時計を修理(オーバーホール:機械製品を部品単位で分解して清掃し再組立てすることで新品時の性能に戻すこと)に出したく、サイトをいくつか見ていたのですが、ロングテールキーワードに対応したLPを大量に作成しているお店のサイトを見つけました。

オーバーホールに出すような機械式の腕時計はブランドによって内部の作りも異なるためどの店なら受け付けてもらえるか、そしてあまり専門性の高くないところに出してしまい性能が落ちてしまったら困る、といったことを多くのユーザーが気にしているのではないかと思います(私もそうでした)。そうした時ユーザーは、「腕時計 オーバーホール」ではなく、「ブランド名 オーバーホール」で検索することが増えるでしょう。受け付けてもらえて実績も確かなお店が見つかりやすくなるからです。

私の見つけたお店のサイトでは、ブランドごとにLPを作成していてその数は56ページありました。各ページにはブランドの歴史や人気シリーズの紹介、そのブランドでの修理実績の写真付きでの紹介、そのブランドでのお客様の声などが個別に編集されています。ただし、それ以外の内容は全ブランド共通で、このお店に出せばこういった専門的な技術で対応できますよ、という言わば広告です。

なお一部、修理実績のまだないブランドではブランドの紹介文以外は全て共通のコンテンツというLPもあります。試しにその「ブランド名 オーバーホール」で検索してみましたが、修理実績やお客様の声を載せているLPに比べると低めの順位のようでした。しかし、恐らくLPだけは先に作成しておいて修理実績ができ次第都度コンテンツとして追加していくのだろうと推察します。

ブログのようなコンテンツでユーザーが知りたいことに応えていくこともLPですが、ブランド名別のロングテールキーワードに対応することもLPの戦略として有効な手段と言えるでしょう。

コラムニストプロフィール

原田隆治(はらだ・たかはる)

中小企業診断士。ダイレクトマーケティングに強い大手出版社にて25年、通信販売(カタログ・Eコマース)事業やマーケティング活動に従事。TVCMやLINEなどSNSの企画、新規事業開発、スマートホンアプリ開発、読者イベント開催など歴任。現在は中小企業の販促、営業等を中心とした支援を行っている。