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<担当者向け>マーケティングの基礎中の基礎 ~「誰に」「何を」「どのように」

公開日:2021/03/31

原田泰宏(はらだ・やすひろ)

 マーケティングというと少々難しい言葉のように思われますが、簡単に言えば「顧客ニーズを把握し、それを満たす製品・サービスを顧客に提供するための一連の活動」ということができます。マーケティング活動で重要なことは「誰に(ターゲット顧客)」「何を(商品・サービス)」「どのように(販路・販売手法)」を常に意識することです。今回のコラムでは、「誰に(ターゲット顧客)」「どのように(販路・販売手法)」を取り上げます。

 プロモーション戦略に携わっている皆様には、まず「誰に(ターゲット顧客)」を考えるクセを付けていただきたいと思います。次に、不特定多数の「誰に」ではなく、現在利用しているもしくは過去に利用した「顧客」をまず思い浮かべることが重要です。現在、オンライン販路開拓事業の支援先企業には、まず「既存・休眠・ロスト顧客」の分析をおすすめしていますが、それは現在もしくは過去の顧客の方が、購入確率が高いからです。例えば、RFM分析(Recency~最新購入日・Freqency~購入頻度・Manetary~累計購入額)で顧客のランク付け(A・B・C・D)を行い、ランク別に顧客対応・管理を標準化する方法があります。現在の顧客リストはもちろんのこと、是非過去2~3年の利用者・名刺交換者・問い合わせ者をリスト化して、既存顧客・休眠顧客・ロスト顧客・見込み顧客リストを作成してみて下さい。

 次に、「どのように(販路・販売手法)」を検討してみましょう。顧客に対するプッシュ型のアプローチ方法(「どのように」)には、訪問・電話・メール・DMなどがありますが、アポ取りの難しさ・地理的な要因・在宅勤務の増加などの要因から、企業訪問の確率は高くありません(もちろん、必要なアクションの一つです)。また電話はマンパワーや時間的な要因(ターゲットの絞り込みが必要)、DMは手間と経費的な要因をクリアしないと使いづらいところです。とすると、残りはメールということになります。

 この数年、私は支援先企業に、メールマガジンの定期配信をおすすめしています。ホームページ(SEO含む)・ランディングページ・Web広告はプル戦略であり、その存在を知らしめたり、誘導するのはメールなどのプッシュ戦略です。メールの開封率は、一般的には10~20%前後でクリック率は2~3%と言われていますが、それは不特定多数の場合です。顧客であれば、何らかの形で貴社に関わってきたのですから、そのパーセンテージはさらに上昇します。

 メールマガジンを送る際、タイトルは重要な要素の一つです。基本的には、概ね20文字程度の短文を心がけ、【】や☆☆を使う等のメリハリも必要です。最近では、発信者の名前を入れる(特に女性)と、開封率が高まるとの分析もあります。またメールマガジンを発信する際には、オプトアウト(受信拒否通知)の設定を忘れないようにしましょう。そしてメール本文は、そのメール文面が受け手にとって、価値のある情報であることがポイントです。おそらく、企業によって顧客特性が異なりますので、その特性に適した「耳より情報」を発信することで、メールの価値が高まり開封率も高まります。例えば、①最新情報(新商品・新サービス、展示会出展、メディア掲載情報)、②業界情報・お役立ち情報、③コラムなどは定番と言えます。

 そして、メール文面にURLを埋め込み(ハイパーリンク)、YouTube(商品・サービスの紹介動画)やランディングページ(LP)に誘導することも重要です。LPは、検索結果や広告などを経由した訪問者が最初にアクセスするページのことで、まさに着地するページです。LPは、直接な売り上げに結び付ける、見込み客を発掘するなど、訪問者のアクションを誘導することに特化したもので、縦長のレイアウトが特徴です。なぜ縦長か言うと、順序だてて説明する営業トークを再現しており、1ページで一気に見せてしまうことで、他ページへの移動を阻止し、コンバージョン(注文や問い合わせなどのアクション)を誘発するためです。

さてこのように見ていくと、マーケティングの一連の流れは、「誰に(ターゲット顧客)」「何を(商品・サービス)」「どのように(販路・販売手法)」を意識することで、系統立てて整理され、計画・実行がスムースになります。皆さんも、マーケティングの方向性を見失いそうになりましたら、このシンプルな基礎中の基礎を思い出してみて下さい。

コラムニストプロフィール

原田 泰宏(はらだ・やすひろ)

中小企業診断士(マーケティング・営業・社員教育専門)
1960年宮崎県生まれ。大手旅行代理店で35年5か月、法人営業・商品開発&プロモーション・新規事業開発に携わり、2018年9月に独立。現在は、旅行会社・宿泊施設・飲食店などをコンサルティングすると共に、東京都中小企業振興公社を始めとする公的機関から派遣され、中小企業のマーケティング支援を行っている。