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製造業

製本業界にNACAMURAあり。デジタルでブランド発信と販路拡大 業界全体の底上げも視野に

2024/02/29

株式会社NACAMURA

難しい製本加工も可能にする工場には、特殊な加工に対応するため独自にカスタマイズした機械が揃う。創業70年、3代目は先代からの技術を継承しながら時代の変化にも応えていく。

株式会社NACAMURAは折り紙の断裁から始まり、1953年に創業した製本会社。現在は3代目の中村洋平社長のもと、先代から受け継いだ技術の研鑽をしていくとともに、同社の技術力や魅力を広く伝えるWebコンテンツやSNSを通してブランディングを行い、新規顧客の獲得を目指す。

※写真 株式会社NACAMURA 代表取締役 中村 洋平

■本事業に申し込んだ背景■

NACAMURAのブランド力を高めたい

当社の強みは、他の製本会社では対応ができない難易度の高い綴じ・折り加工でも形にする技術力です。多くの印刷会社様からご信頼をいただき、客先の担当部署から隣の部署へと口コミで受注をいただける状況ですが、一方で製本屋はいわば「名前の出ない仕事」。印刷会社が印刷から製本まで担っているイメージがあるかもしれませんが、本の完成までには当社のようなさまざまな企業が関わっています。商流とは別に、表に出ない裏方の仕事に光をあて、どんなアイデアも形にするNACAMURAの技術とものづくりの矜持を発信できないかという想いがありました。

「裏方」を表舞台で伝える「難しさ」

作品として表に出せない当社の技術をどう伝えるか。それが悩みの種でした。2022年にWebサイトを内製でリニューアルしましたが思うような成果に結びつかず、またSNSにトライしようとしても「炎上などのリスクは大丈夫なのか?」という心配があり、なかなか踏み出せない状況でした。そんな迷いやジレンマを打開するために第三者の視点を入れたいと考え、ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)に申請しました。

■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■

専門的な視点を入れることで迷いが自信に

支援を受けて印象的だったのは、アドバイザーが当社の抱える不安に寄り添い、細やかにサポートしてくれたことです。「すでにあるNACAMURAの技術やメッセージを伝えるため、顧客の目に留まりやすい記事をWebやSNSで発信する」という目標のもと、まずは印刷会社やデザイナーなど当社のターゲットを可視化し、どんな情報を発信していくべきかについてディスカッションを重ねました。書き溜めていたアイデアメモをもとに、アドバイザーと一緒に記事のテーマをリスト化し、さらに専門家派遣による執筆・写真撮影・Webデザイン・SNS活用のサポートを受けながら準備を進めました。プロの客観的な視点を入れることによって、これまで一人で悩んでいた部分が解消され、迷いが自信へ、さらには実行力へと変わっていきました。

加工技術はあるのに使われる種類がほんの一部なのはもったいないという想いから、Webサイトでは200種類以上の折りシミュレーターを独自開発し、紹介している。

■具体的な販路開拓への取り組み■

「資産」となるコンテンツづくりに注力

記事コンテンツの発信においては、当社の魅力を広く知っていただくことはもちろんですが、「資産」になることも重視しました。Web上で情報を発信し続けていくことによって、いつでもお客様が必要なタイミングで情報にコンタクトできるだけでなく、抜粋して営業ツールに使ったり、ターゲットに響く検索キーワードを知ることができたりと、活用次第でいろいろなメリットが生まれます。

ゴールは販路拡大と製本業界の底上げ

当社が考えるデジタルマーケティングの目的は大きく二つあります。一つ目は、Webサイトでの新規客獲得。もう一つが、紙の面白さや魅力を伝えることで時代とともに落ち込んでいる製本業界を盛り上げることです。高い技術を持つNACAMURAのブランディングと同時に、製本加工の面白さや紙の可能性を世の中に広く伝えていくことで業界全体の底上げになれば、それが当社の成長にもつながると考えています。

墨田区東駒形・本所の2工場には複雑な製本に対応する多種多様な設備が並ぶ。写真は複雑な折り加工にも対応する最新式のドイツ製折機。

■デジタルマーケティングの効果■

記事コンテンツの準備は順調

現在は、Webサイトの記事コンテンツを準備している段階です。アドバイザーと相談しながら、すでに記事のネタは約30本、また10本ほどはある程度執筆が進んでいます。また、SNSについては、情報発信の方向性などをアドバイザーと協議している段階です。

挑戦のDNAでプラスの循環を生み出す

デジタル化やペーパーレス化が進んでいますが、当社にはいつの時代も知識や経験を背景に製本の可能性を追求してきた「挑戦のDNA」があります。先代から続く技術力と品質を広く伝え、製本業界に「NACAMURAあり」を確立していくことは、3代目となる私自身の挑戦の一つでもあります。今後、当社のWebサイトを発信拠点として同業他社やお客様がアイデアを持ち寄り、そこから面白い製本のプロジェクトがスタートする、今回のハンズオン支援はそんなプラスの循環を生み出す源泉にしたいと考えています。

理解力に優れ、スピード感もある中村社長。意欲的に施策へ取り組まれています

デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 溝呂木 聰

社長自らデジタルマーケティングに取り組まれ、知識の習得に意欲的で、Webサイトもご自身で制作されています。サイト改修においては、ミーティングで方向性を決め、必要に応じて専門家派遣をアサインするなど、実作業に必要なサポートを行いました。今後は制作した記事を順次掲載し、同時にSEO対策も行っていきます。自社の発展だけでなく、業界全体の未来を考える広い視野でさまざまな取り組みを行っており、さらなる成長が楽しみな企業です。

※本記事は、2023年12月時点の情報です。

企業情報

企業名株式会社NACAMURA
所在地東京都墨田区東駒形4-6-3
設立1953年9月
事業内容パンフレット、カタログ、DMなどの商業印刷物を含めた製本事業、特殊折り加工、各種断截など
資本金1,000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。