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ランディングページで成果を出すためのポイント

公開日:2023/11/10

石井・里幸(いしい・さとゆき)

本記事ではランディングページ(以下「LP」と表記)について、効果的な使い方をするうえで押さえておくべきポイントについて解説します。LPとは、文字どおり「ランディング(着地)したページ」という意味なのですが、実は2つの意味で使われていることをご存じでしょうか。
それぞれ解説します。

1.コンバージョン(成果)を獲得することを目的として作成された、独立したウェブサイトのこと

LPといえば、おそらくこちらの意味を想起される方が多いと思います。このLPは通常、縦長の1ページのみで構成されていることが多いです。コンバージョン獲得を目的としているので、商品やサービスに関する情報に特化していることが特徴です。参考として、コンバージョンには次のようなものがあります。

  • 商品やサービスの紹介・販売
  • 資料請求やお問い合わせの獲得
  • 会員登録や新規顧客の獲得

2. ウェブサイトに訪問したユーザーが最初にアクセスするページのこと

ユーザーは検索エンジン、広告、SNS、お気に入り、他サイトからのリンクなど、実にさまざまな流入経路で御社のサイトにたどり着きます。これらから最初に御社のサイトにたどり着いたページもLPと呼ぶことがあります。
例えば検索エンジンでキーワード検索したとき、検索結果画面には御社サイトのトップページリンクだけが表示されるとは限らず、ブログ記事のリンクが表示されることも十分あり得ます。ユーザーがそのブログ記事のリンクをクリックして流入した場合、それが「ランディングページ」になるのです。
したがって皆さんの会社のサイトにも、この意味でのLPは複数存在しているかもしれません。このLPは、以下の通りGoogleアナリティクス(GA4)を参照するとわかります。

ちなみに上記画面の”ランディングページ“列にある「/」は、トップページを指します。企業サイトなどは、「トップページ=LP」となることが多いため、たいていはこの画面の上位に表示されます。

このようにLPには2つの意味がありますので、他者とやり取りする際は認識が相違しないようご注意ください。とはいえ、一般的には「コンバージョン(成果)を獲得することを目的として作成された、独立したウェブサイト」を指すことがほとんどです。

※以後は本記事においても1の意味で進めます。

ウェブマーケティングにおいて、LPは重要な役割を果たします。しかし、中小企業ではLPの作成や運用に苦労しているケースも多いようです。本記事では、中小企業がLPで成果を出すためのポイントについて解説します。

LPを使うメリット

LPを使うメリットは、大きく分けて以下の4つです。

1.コンバージョン率の向上

LPは、商品やサービスの購入、資料請求など、特定のアクション(コンバージョン)を促す目的に特化したページです。そのため、企業サイトなどとは異なり、必要な情報を1ページに集約し、適切に訴求することで、コンバージョン率の向上が期待できます。

2.離脱率の低下

LPは縦長の1ページだけで制作することが一般的です。画面をスクロールするだけで閲覧できるため、ユーザーの負担も少なく、興味を引いたままアクションにつなげることができます。そのため、離脱率の低下が期待できます。そのため、LP制作においては他のページへのリンクを必要最小限に抑えることがポイントです。
また、近年はBtoBであってもスマホからのアクセスが増加している傾向があります。ビジネスチャンスを逃さないためにも、スクロールのみで閲覧可能なページ構成が推奨されます。

3.ターゲティングの精度向上

LPは、ターゲット層を絞り込んで制作することで、より効果的な訴求を行うことができます。たとえば40代男性向けといったように性別や年代などで絞り、彼らに刺さりそうな内容に特化することで、よりユーザーの悩みやニーズに応えるページ作りができます。これにより、ターゲティングの精度向上が期待できます。また、ターゲットごとに複数のLPを使い分けることも可能です。
通常、LPはウェブ広告と組み合わせて運用することが多いのですが、GoogleやFacebook広告などの広告出稿ツール上でも細かなターゲット(オーディエンスといいます)の設定を行うことができます。例えばユーザーの属性情報や興味関心を指定して広告出稿ができるので、LPのターゲットに合わせた広告出稿が可能です。

4.効果測定のしやすさ

LPは、コンバージョンアクションが1ページ内で完結するため、効果測定が容易です。例えばサイトの滞在時間が短い場合、ターゲットが合っていないか、合っていても刺さっていない可能性があります。この場合、ターゲットの見直しやコンテンツの読みやすさ、画像や動画などの変更が必要であることが分かります。
このように、施策の改善や最適化をスピーディーに行えることがLPのメリットです。なお、正確な効果測定を行うにはアクセス解析ツール(Googleアナリティクス等)の導入が必須です。

以上、LPには多くのメリットが見込まれますが、デメリットについても紹介します。

SEO対策が難しい(広告費が必要になる)

LPはページ数が少ないことなどから、一般的に検索エンジンに上位表示させることは困難です。そのため、リスティング広告などのウェブ広告を併用することが多くなります。このようにSEOが期待できないことから、広告コストが発生する点はデメリットといえます。

SEO対策を行うことはできますが、努力に見合った成果を得ることは難しいでしょう。
ウェブ広告を出稿するとなると、そのための知識も必要になります。広告代理店に運用を任せることもできますが、その場合のコストも追加で必要になる点も注意です。
広告コストを抑えるには、SNSなど、ウェブ広告に頼らない集客方法を活用するなどの工夫が必要となるでしょう。

LPを制作するには

LP導入にはメリットがあることがお分かりいただけたと思います。しかし、いざ導入しようと思っても実際にはどのような手順で進めればよいのか、悩む事業者も多いことでしょう。
ここではLPの制作方法についてお伝えします。

LPの制作は、自社で内製するか、他者に依頼するかについては悩ましい選択です。基本的には1ページだけなので、ペライチやWordPressといったツールで比較的簡易に制作することは可能です。

しかし、先述の通りLPはウェブ広告と併用しないことには、なかなか成果につながらないものです。広告によってLPへの流入が大量に獲得できたとしても、成果につながらないまま離脱されてしまっては広告費がかさむばかりです。そのためにも成果が獲得できる効果的なページを制作するべきです。
ただ、効果的なLPを制作するためのノウハウは、多くの中小企業は持ち合わせていないものです。理想は、豊富な実績とノウハウを持つLP制作業者に依頼することです。
近年ではLPの制作を専門とする業者もいるくらいですので、専門的なノウハウが必要な領域なのです。
このような専門スキルを持つ制作業者を探すことは難しいですが、次のような方法で探してみてはいかがでしょうか。

  • 検索して探す
    検索エンジン経由でLPの制作を請け負ってくれる会社を探します。
  • 知人の紹介経由で探す
    知り合い、取引先から紹介してもらいます。
  • マッチングサイトで探す
    制作スキルを持つ人とのマッチングを行ってくれるサービスで探します。例えばクラウドワークスやココナラといったサービスが有名です。

他者に制作を依頼する場合、特に気を付けたいのがターゲットの明確化です。これは自身でしっかりと設定したうえで、制作業者に伝えましょう。ターゲットを明確化しないままLPを制作すると、効果の期待できないサイトが完成してしまいます。

効果的なLPの運用方法

当然ながら、LPはリリースした日からすぐに効果が出るというものではありません。しっかりとした運用を行うことが求められます。すでに制作して運用してはいるものの、思うような効果が得られない事業者も多いと思います。
ここではLPを制作した後の効果的な運用方法についてご案内します。

1.目的を明確にする

LPに求める成果を明確にしましょう。問い合わせや資料請求の獲得、商品の購入など、具体的な成果と、それを得るために必要な個別目標を数値で設定します。目標値の設定は、得たい成果から逆算して決定するとよいでしょう。
たとえば、今月獲得したいコンバージョン成果数を10件と設定したとします。コンバージョン率を1%とすると、LPへのサイト流入は月間1000アクセスが必要ということになります。
このように成果と目標を数値で設定することで、のちの検証がしやすくなります。社内で、検証して数値を見直すというサイクルを確立しましょう。

2. ウェブ広告を配信する

LPの運用において、ウェブ広告はセットで検討するべきものです。ウェブ広告の配信には、以下のようなポイントを押さえましょう。

  • ターゲティングを適切に行う
  • 広告の文言やデザインを工夫する
  • 予算や配信期間を適切に設定する

広告の配信状況を定期的に分析し、効果が上がらない場合は、ターゲティングや広告内容を調整しましょう。
ウェブ広告の運用は意外と難しく、ノウハウを持たない状態で始めると期待した成果が得られないことが多いものです。コストはかかりますが、最初は広告代理店に手伝ってもらい、そこからノウハウを学ぶことも検討してみるとよいでしょう。

3. 成果の検証を行う

LPの運用成果を測定・分析することも重要です。コンバージョン率を測定することで、LPの改善点や広告の配信方法の改善点を見つけることができます。
コンバージョン率を測定するには、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールを利用します。併せてページビュー数、流入経路、滞在時間(平均エンゲージメント時間)などはよくチェックしておきましょう。

4. 運用体制を構築する

LPの運用には、定期的な更新や改善が必要です。そのため、社内の運用体制を構築して、継続的に運用していくことが重要です。運用体制を構築する際には、以下のようなポイントを押さえましょう。

  • 担当者の役割と権限を明確にする
    LPの運用には多様なスキルが求められます。例えばサイトの構築とウェブ広告の運用では求められるスキルが異なります。だれがどの部分を、どこまで任せるのかについて明確にしておくことが重要です。
  • 目標値を見直す
    コンバージョン成果とそれを達成するための目標値は、毎月見直すべきです。未達であればその原因を分析し、改善を行います。

まとめ

以上、LPについてお伝えしました。
どのようなウェブサイトにも言えることですが、ウェブサイトは制作して終わりではなく、リリース後の運用が重要です。特にLPは成果に直結する施策ですので、上手に運用できるのとそうでないのには雲泥の差が生じることとなるでしょう。

「自分たちの顧客はだれなのか?」
この問いを常に持ち続け、時代とともに変化する顧客ニーズに対応できる運用体制を構築し、成果につなげていきましょう。

コラムニストプロフィール

石井里幸(いしい・さとゆき)

中小企業診断士、ITコーディネータ。
中小企業向けに「ITの便利さを実感してもらうための活動」を行っている。
ITツールの導入からWebサイト運用まで、中小企業のIT周りを全面的に支援する。