Web広告を出稿したのに、お問い合わせや資料請求につながらない。そんなお悩みはありませんか?
Web広告で誘導する先として運用する縦長の1ページ、いわゆる「広告用ランディングページ(以下、LP)」では、読まれない・行動されないままLPから離れてしまうことがあります。そのような「離脱」を防ぐ方法について本コラムでお伝えします。
なお、LPという言葉の定義や種類、制作の進め方については、コラム「ランディングページで成果を出すためのポイント」(https://digiport.tokyo/columns/column057/)で解説されています。
LPの制作の目的はなんでしょうか?それは広告をクリックし、LPをご覧になった訪問者の方を、お問い合わせ・資料請求・購入・来店などの「行動」、すなわち「成果」に結びつけることです。本コラムでは広告経由の訪問者を「成果」につなげることに絞って、「離脱を防ぐ設計」と「離脱を見つける計測」の2点を詳しくお伝えします。
問い合わせや資料請求、購入といったLPのゴールとなる行動を「コンバージョン(以下、CV)」、ゴールに至らずページを閉じられてしまうことを「離脱」と定義します。
なお、LPには検索エンジンからの集客を目的とするタイプもあり、そちらは作り方も離脱の考え方も本コラムとは異なる部分があります。
検索からの集客に取り組みたい方は、コラム「ランディングページの作り方」(https://digiport.tokyo/columns/column042/)をあわせてご覧ください。
LPは、広告から集めたお客様を説得する、24時間働いてくれる営業パーソンともいえます。
ですが、人間の営業と違って、決まった言葉を、決まった順番でしか話せません。相手の表情を見て話題を変えることも、質問に答えることもできません。
だからこそ「何を、どの順番で話すか」を事前に設計すること、そして「どこで話を聞くのをやめられたか」を後から検証し、改善することが、広告+ランディングページで成果を出すために重要です。
離脱を防ぐ4つの設計原則
原則1:広告文とファーストビューを一致させる
ファーストビューとは、ページを開いた瞬間に、スクロールせずに見える範囲のこと。
広告をクリックした人は、「広告で見た内容の続き」を期待してLPに来ています。ところが、ファーストビューで広告と違う話が始まっていると、「広告で見た内容と違う」ということで、内容を読む前に数秒で離脱してしまいます。
広告費を払って連れてきた訪問者を、いわば入口で帰してしまっている状態ともいえます。
対策はシンプル。広告の見出しに使ったキーワードや訴求を、ファーストビューにそのまま再掲すること。「短納期」を訴求した広告なら、ファーストビューの一番目立つ場所にも「短納期」を使ったキャッチコピーと、できれば根拠を伝える。
このような広告とファーストビューで、訴求の一致が取れているかを、まず確認してみてください。広告とLPを別々の担当者や外注先が作っている場合、意外にここがずれています。

原則2:情報の優先順位は「結論が先、説明は後」
訪問者には、ページを最後まで読む義務はありません。確実に読まれる保証があるといえるのは、広告をクリックした後に強制的に目に入るファーストビューだけ。
したがって、LPの情報は「上にいくほど重要」という優先順位で並べるべきなのです。
具体的には、相手が得られる価値(結論)と、それを信じられる根拠(実績・事例・お客様の声)を上に置き、細かいサービス説明や会社概要は下に回す、このページを読むことで自分にメリットがあると思わせないと、LPを読む動機が失われてしまいます。
例えば、会社案内のように「ご挨拶→沿革→事業内容」と積み上げる順番は、LPではまったく機能しません。冒頭に書いたように、LPが営業パーソンだとすれば、商談時の営業トークと同じで、相手が聞きたいことから話すのが原則になります。
原則3:CVボタンは「個数」より「置くタイミング」
CVボタンとは、「お問い合わせはこちら」「資料請求する」など、閲覧している方を行動に導く、いわばゴールへ進むためのボタンのことです。
「CVボタンは何個置くべきですか」という質問をよく受けますが、答えは個数ではありません。訪問者の納得が高まった直後に置くことが重要です。
具体的には、ファーストビュー直下、実績や事例を見せた直後、料金や利用の流れを説明した直後、そして最下部です。
逆に、まだ何も説明していない位置にボタンを設置しても押されません。営業トークでいきなり「買いませんか」とは言わないはずです。
LP制作のセオリーとしてファーストビュー直下にお問い合わせボタンを配置する方法がありますが、これも商材によって向き不向きがあります。いきなり「買いませんか」とアプローチするのが適さないケースもあるためです。 適切な位置にボタンを配置することより、「押したくなった瞬間に、目の前にボタンがある」状態を作ることのほうが重要です。
原則4:出口を絞る
広告用LPでは、CVボタン以外のリンク(トップページへのリンク、他サービスの紹介、SNSへのリンクなど)を最小限にすべきです。
リンクが多いほど、訪問者がゴールの手前で別のページへ流れていく「出口」が増えるからです。
通常サイトは色々なページを見ていただく、回遊してもらうことにも価値がありますが、広告用LPは1本道でゴールまで案内するのが目的。
役割が違うと割り切って、訪問者を迷わせる要素を減らしてください。
離脱を計測して「見える化」する
ここまでお伝えした内容をベースに考えた設計は、公開時点ではすべて仮説。
実際にどこで離脱されているか、言い換えるとどこで話を聞くのを止めたのかは実際に訪問者の行動を確認しないとわかりません。
ですから公開後にデータで確かめることが必要。仮説の検証のためには「計測」が必要になります。計測とはWebサイトを訪れたユーザーの行動や属性を、タグなどの仕組みを用いてデータとして正確に収集し、数値化するプロセスを指します。 これから紹介するツールはすべて無料で使えますので、広告費を無駄にしないためにも必ず何らかの手段で仮説の検証を行ってください。次に、参考となる計測のためのツールやポイントをご紹介します。
その1:スクロールヒートマップで「読了ライン」を見る
ヒートマップとは、訪問者がページ上でどう行動したかを、サーモグラフィーのように色の濃淡で表示してくれる分析手法です。Microsoftが無料で提供している「Microsoft Clarity(クラリティ)」というツールを導入すると、訪問者がページのどこまでスクロールしたか(スクロールヒートマップ)を確認できます。
見るべきは、訪問者が離脱している位置、いわば「読了ライン」です。そのラインの直前にあるセクションが、話を聞くのをやめられた場所、つまり最優先の改善候補です。長すぎる説明、専門用語の多さ、興味とずれた話題など、原因はそのセクションの中にあるはずと考えられます。
またファーストビューで例えば半分以上の人が離脱している場合、考えられる原因は①広告のターゲットが違う、②原則に書いたように広告の内容とファーストビューの内容が違う、③ファーストビューが魅力的ではない、などが考えられるのでページ全体を眺めて悩むのではなく、直す場所を絞ることが、ヒートマップを使う目的です。

その2:クリックヒートマップで「押されていないボタン」を見る
同じくClarityで、ページのどこがクリック(スマートフォンならタップ)されたかも確認できます。
押されていないCVボタンがあれば、その位置ではまだ納得が足りていない証拠。
逆に、リンクが貼られていない画像や文字が繰り返し押されている場合、訪問者はそこに詳しい情報を求めています。説明の追加を検討するサインといえます。
またボタンのようなデザインで文字を装飾すると、そこにクリックやタップが発生する場合があります。そのような場合は訪問者が混乱している証拠なのでデザインを直すべきです。
その3:GA4でフォームの途中離脱を数値化する
無料のアクセス解析ツール「Googleアナリティクス(GA4)」は、訪問者の行動を「イベント」という単位で記録しています。ページを見た、スクロールした、クリックした、といった行動が1つずつイベントとして残る仕組みです。
このうちフォームに関しては、入力を始めたときに「form_start」、送信したときに「form_submit」というイベントが記録されます。この2つは、GA4の「拡張計測機能」という設定に含まれるイベントで、拡張計測機能は初期設定でオンになっているため、多くのサイトでは追加の作業なしに計測されています。
ただし2点、注意点があります。1点目は、管理画面で拡張計測機能の「フォームの操作」がオフになっていると記録されないことです。まず自社のGA4でform_startが記録されているかを確認してみてください。
2点目は、form_submitは「必須項目が未入力のままエラーになった送信」でも記録されることが多い点です。送信完了の正確な数は、送信後に表示される完了ページ(サンクスページ)の表示回数で数えるほうが確実です。
サンクスページの表示を成果として設定する「キーイベント」の考え方と手順については、コラム「Google Analytics 4の初期設定とオススメの確認項目を解説」(https://digiport.tokyo/columns/column130/)で解説されていますので、そちらをご参照ください。
見るべきポイントは、入力を始めた人数(form_start)と、送信を完了した人数の差分。フォーム入力を始めたのに、完了しなかったという途中離脱です。
この差が大きい場合、LPの文章ではなくフォーム自体に問題があるといえます。LPの営業トークで訪問者を説得できたとしても、申込書や契約書の記載項目が多くて成約に至らないイメージです。
フォームでは、そもそも項目数が多い、必須項目が多い、スマートフォンで入力しづらい、エラーの表示がわかりにくい、といった点をチェックしてください。

その4:成果が少ないうちは「マイクロコンバージョン」を見る
問い合わせが月に数件のサイトでは、CVの数だけを見ても、改善がうまくいったのかどうかを判断する材料が足りません。月3件が月4件になっても、改善の効果なのか偶然なのか区別がつかないからです。
そこで、CVボタンのクリックやフォーム到達といった、成果の一歩手前の行動を「マイクロコンバージョン(中間ゴール)」として計測します。
手前の行動はCVの何倍も件数が多いはずなので、施策の効果を早く判断できます。さらに、Web広告には成果が出やすい相手に配信を寄せていく自動学習の仕組み(自動入札)がありますが、CVが少ないと学習材料も不足します。マイクロコンバージョンを学習させることで、配信の精度を高める効果も期待できます。
実例:直すべきなのはLPの文章ではなくフォームだった
私が支援した建設業の企業の例です。広告からLPへの流入はあるのに、問い合わせが伸びないという相談でした。広告の出し方には問題がなさそう、でも問い合わせが伸びないということはLPが悪いのではないかという議論になりました。
改善の手順は「事実→訪問者がどう思ったか(心理)→どうすれば行動してくれるか(仮説)→具体的にどこを直すか(改善)」の順で考えます。
まず計測環境を整えて事実を確認すると、CVボタンのクリックとフォーム到達は十分に発生している一方、送信完了の手前で離脱していることがわかりました。
訪問者の心理を想像すると「頼みたい気持ちはあるのに、フォームが面倒で後回しにした」あたりと考えられます。
そこから、「訪問者がひっかかっているのはLPの文章ではなくフォームである」という仮説を立てました。
そして改善策として、フォームの必須項目を減らし、入力例を添え、スマートフォンでの入力のしやすさを整えました。あわせてフォーム到達をマイクロコンバージョンとして設定し、広告の学習にも活用することにしました。
重要なのは、LPを感覚で全面的に作り直す前に、データをもとに訪問者が行動をためらっている場所(詰まり)を特定すること。LPは1ページなので修正するのが比較的容易ではありますが、感覚や主観で考えると何度も修正することになります。関与する方が多い場合など、あれも伝えたい、これも伝えたいとどんどん要素が加わっていって、何を伝えたいのかわからないLPになることもしばしば。
訪問者が知りたい情報をしっかりとわかりやすく適切な順番で伝えて、もし詰まりがあるならその一箇所を直すほうが、全面リニューアルより早く、安く、成果につながる確実な改善になります。
まとめ
LPは、公開した日がゴールではなくスタート。
設計の4原則で仮説を立て、ヒートマップとGA4で離脱の場所を特定し、詰まりを一箇所ずつ直す。この繰り返しが、広告費を無駄にせず、成果につなげる最短距離です。
まずは無料のClarityの導入と、自社のGA4でform_startが記録されているかの確認をし、「どこで話を聞くのをやめられているか」を確かめてみてください。
