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製造業のホームページを充実させる方法(後編)

公開日:2026/05/27

最終更新日:2026/05/22

遠藤仁

(前編から続く)

 本稿では製造業のホームページを充実させる方法を、汎用製品企業の場合とオーダー製品企業の場合にわけて、前編と後編で解説しています。
 前編では次の内容を解説しました。
  はじめに
   1.汎用製品とオーダー製品の違いを理解する
   2.汎用製品企業のホームページを充実させるコンテンツ例

 後半ではオーダー製品企業を扱う企業のホームページを充実させるコンテンツ例と、お客様視点に立ったホームページ設計について解説します。

3.オーダー製品企業のホームページを充実させるコンテンツ例

 オーダー製品の委託先を探しているお客様は「高い技術力を持ち、様々な角度から相談できる会社を探したい」と考えています。そのため、ホームページでは “技術力の可視化” と “相談しやすさ” が特に重要になります。
 具体的なコンテンツ例を、下の(1)から(10)に示します。

(1) 加工技術紹介(設備/対応範囲)


 次のような情報を掲載し、技術力を可視化します。設備や製品サンプルの写真/動画を載せることで、より深く自社の技術レベルを伝えることができます。
✓ 対応可能な材質/加工方法/工程
✓ 加工可能な精度/寸法/ロット
✓ 設備一覧(CNC、マシニングセンタなど)
✓ CAD/CAM対応状況
✓ 検査体制(3次元測定器など)

<用語説明>
CNC(シーエヌシー):
 Computer Numerical Control(コンピュータ数値制御)の略で、コンピュータを用いて工作機械を自動制御する技術、およびその機能を備えた工作機械全般を指します。工具の移動範囲、移動速度、回転数などをあらかじめ設定すると(プログラミングすると)、工作機械はその内容に沿って自動で加工を行います。これにより精密な加工や、複雑な形状の部品を大量かつ均一に生産することができます。

マシニングセンタ:
 CNC機能に加えて、加工に使う工具を自動で交換する機能を備えた工作機械です。これにより削る、穴をあける、溝を作るといった様々な加工(切削加工と呼びます)を、1台のマシニングセンタで連続して自動で行うことができます。

CAD(キャド):
 Computer Aided Design(コンピュータ支援による設計)の略で、コンピュータ上で設計や製図を行うソフトウェアです。2次元の平面図を作成する2D CADと、対象を3次元で表現し曲面や複雑な形状も可視化できる3D CADがあります。デジタル化することで、従来の紙を使った設計や製図に比べて管理や共有、修正、再利用などが簡単に行えるようになります。

CAM(キャム):
 Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援による製造)の略で、CNCなどの工作機械で使用する加工用プログラムを、CADで作成した図面をもとに生成するソフトウェアです。人間が手動で加工用プログラムを作成するのに比べて、作業効率と正確性が大幅に向上します。CADとCAMの機能をまとめた製品も多く、「CAD/CAM」と呼ばれます。

(2) 過去の製作事例

 課題 → 提案 → 加工 → 成果 の流れで書くと説得力が生まれます。特注品のユーザーは「自分の業界でも頼めるのか」を気にするため、業界別事例があるとより効果的です。
<コンテンツイメージ>

<用語説明>
DFM(ディーエフエム):
 Design for Manufacturability(製造のための設計)の略で、製造のしやすさ、組み立てやすさ、加工の容易さなどを考慮して設計を見直す作業を指します。

3軸加工:
 切削加工における加工方法、およびそれを行う加工機械を指します。加工対象を固定し、切削用の工具がX(左右)、Y(前後)、Z(上下)の3方向に移動し、材料を削り出す方法です。シンプルかつ高精度なため、多くの加工現場で主流となっています。一方で一度に加工できるのは加工対象の上面のみとなる(裏面を加工するためには加工対象をセットし直す必要がある)、斜め方向の加工が困難(加工対象を傾ける必要がある)という制約があります。

5軸加工:
 3軸加工の制約(加工対象の裏面を一度に加工できない、斜め方向の加工が難しい)を解消するために、加工対象や工具を「回転」および「傾斜」できるようにした加工方法や工作機械を指します。これにより加工対象をセットし直すことなく両面の加工ができるようになり、3軸加工ではできなかった複雑な形状(プロペラ形状の部品など)の加工もできるようになります。一方で、5軸加工用の工作機械は高価であり、加工プログラムが複雑になる、大きなサイズ部品を加工できないという難点があります。

(3) 自社の強み(選ばれる理由)

 「この会社に相談すれば解決できそうだ」と感じてもらうために、自社の強みやアピールポイントをコンテンツ化します。
 「他社もやっているから」という理由で、自社ができていることを強みとしてコンテンツ化しない会社がありますが、これはもったいないです。強みは唯一無二である必要はなく、再現性をもって継続的に提供でき、それにお客様が価値を感じていることが強みです。

 オーダー製品企業の場合の強みの例を以下に示します。

(4) 相談フロー(発注の流れ) 

 問い合わせの前に、お客様は「どう依頼すればよいのか」「何から準備すべきか」を心配しています。相談フローを整理して掲載することで、心理的負担が減り、問い合わせの増加につながります。

<相談フロー例>

(5) 図面がない場合の対応

 スケッチ/現物支給からの製作や、図面作成サポートが可能であることを明記すると、「相談してみよう」と思ってもらいやすくなります。

(6) コストダウン事例紹介

 オーダー製品の委託先を探しているお客様は、コストが妥当であるかに敏感です。コストダウンに取り組んでいる姿勢をアピールすることで、評価が高まります。
 「安くする」のではなく、「ムダをなくす」「やりすぎない」という取り組みがポイントです。

<コストダウンへの取り組み例>

(7) 工程紹介(動画や写真)

 工程毎の機械の動作状況や従業員の作業風景を、動画や写真を使って紹介すると、お客様の納得感がアップし問い合わせの増加につながります。

(8) 品質管理・検査体制

 次のような品質管理や検査体制について詳しく説明することで、特に医療・航空・半導体といった品質を重要視する業界のお客様にアピールすることができます。
✓ ISO9001
✓ トレーサビリティ
✓ 品質管理部門の業務
✓ 検査機器(三次元測定機、画像測定機など)
✓ 検査記録のサンプル

(9) 納期目安

 仕様が決まっていないオーダー製品について納期を示すのは難しいですが、「納期目安」「納期事例」を載せることで、お客様の信頼度がアップし問い合わせの増加につながります。

(10) よくある質問/製品および技術関連トピック

汎用製品と同じ

<用語説明>

ISO9001:
 ISO9001とは、製品やサービスの品質向上と顧客満足を目的とした「品質マネジメントシステム」に関する国際規格です。この規格では一貫した品質の提供と業務改善(PDCA)の仕組みを構築・維持するための要求事項を定めています。要求事項に沿った仕組みを構築・維持し審査機関の認証を得ることで、高品質な製品やサービスを提供する仕組みを実現することができるとともに、それを備えている組織であることを内外にアピールできます。

トレーサビリティ:
 トレーサビリティ(Traceability)とは「追跡可能性」と訳され、製品の「原材料・部品の調達」から「製造」「流通・販売」「廃棄」までの全過程を、過去にさかのぼって追跡できるように管理する技術・仕組みです。食品、医薬品、自動車、電子部品など多くの分野で、品質管理や安全性の確保、リコール対応の迅速化に活用されています。

4.お客様の検索視点とホームページ設計の考え方

(1)お客様の検索視点

 汎用製品とオーダー製品でお客様の検索視点(お客様の心理)は大きく異なります
 ● 汎用製品の場合
  ・多くの場合、購入前提で「仕様」「価格」「比較」を軸に検索
  ・ “選定のための情報” を求めている
 ● オーダー製品の場合
  ・解決策が明確ではなく、「相談に乗ってくれる会社」を検索
  ・“提案型の情報” を求めている
 この視点/心理の違いを意識してコンテンツを用意することが大切です。

(2)検索視点にあわせたホームページ設計の考え方

 汎用製品は「比較しやすい設計」、オーダー製品は「相談しやすい設計」が理想です。
 ● 汎用製品:比較のしやすさ
  ・製品ごとに仕様を明確にする
  ・比較表を用意する
  ・図面・カタログをダウンロード可能にする
  ・CTA(問い合わせ・購入ボタン)を各製品ページに配置する
 ● オーダー製品:相談のしやすさ
  ・事例を豊富に掲載する
  ・技術紹介と対応範囲を明確にする
  ・フォームやチャットを配置して相談しやすくする
  ・図面なしでも対応できる旨を明記する

まとめ:自社の強みとユーザーの検索意図をつなげることが成功の鍵

 製造業のホームページ改善では、ただ情報を増やすだけでは成果は出ません。 
重要なのは “自社の商品分類(汎用 or オーダー)と、検索ユーザーの心理” を正確に捉えてコンテンツを最適化することです。
・汎用品なら「比較しやすい情報」
・オーダー品なら「相談しやすく、技術力が伝わる情報」

 この違いを理解してホームページを構築することで、アクセス数だけでなく 問い合わせ数が向上するホームページを作ることができます。

コラムニストプロフィール

ITコーディネータ、ウェブ解析士、中小企業診断士

遠藤 仁(えんどう・ひとし)

大手IT企業にてシステム開発、プロジェクトマネージャ、コンサルティング営業などに従事。
独立後、経営全般とITおよびWebマーケティングに関する経験と知識を活かして、お客様の売上アップ、新規顧客獲得、デジタル化、業務効率化などをご支援。
お客様の課題や困りごとをしっかりお聞きしたうえで、相談を繰り返しながら状況にあった対応を計画し、具体的な解決策を一緒に協力しながら実施。