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生成AIでここまで変わる!デジタルマーケティングを効率化するAI活用術

公開日:2025/07/09

石田国大

「AIがすごいらしい」けれど、どう使えばいいの?

最近、テレビやネットでも話題の生成AI。便利そうだとは聞くものの、「自分の会社ではどう活用すればよいのか分からない」「そもそも試す余裕がない」という声も多く聞かれます。特に、東京都内の中小企業のように、限られた人員と予算でマーケティングに取り組む企業にとっては、「使いこなす自信がない」というのが本音ではないでしょうか。

しかし、生成AIは、事前に「どんな場面で使えるか」を知っておくだけでも、いざというときに心強い味方になります。業務のアイデア出し、コンテンツ作成、分析の補助など、実はデジタルマーケティングのあらゆる場面で活躍の余地があります。

本記事では、「事業環境分析」「コンテンツ作成」「データ分析」の3つの視点から、中小企業がすぐに実践できる生成AIの活用例をご紹介します。難しい設定や専門知識は必要ありません。「こんな使い方があったのか!」と、ヒントを得ていただけたら幸いです。

生成AIの活用が進まない3つの理由

生成AIには関心があるものの、実際に活用している企業はまだ多くありません。その背景には、次のような「心理的なハードル」があると考えられます。

1. 使い方の“前提条件”がわからない

生成AIは「質問に答えてくれる存在」というイメージがある一方で、「何を入力すればいいかがわからない」という声を多く耳にします。例えば、「競合分析して」と伝えても、AIが勝手に分析してくれるわけではありません。情報を与える必要があるのです。この“インプットとアウトプットの関係”が見えにくいことで、「うまく使えない」と感じてしまうケースが多いのです。

 2. 業務への落とし込みがイメージできない

中小企業では日々の業務が多忙で、「新しいツールを試す余裕がない」と感じる担当者も多いです。実際、AIを業務にどう組み込めばいいか、使うべき場面を想起しづらいために、なかなか導入に踏み切れないというのが現状です。

 3. どのツールを使えばいいか迷ってしまう

生成AIには、ChatGPTやGemini(Googleの生成AI)、MicrosoftのCopilotなどさまざまなツールがあります。どれを使えば良いのか分からず、比較や調査に時間を取られてしまい、結局使わずに終わる…というのも、よくあるパターンです。

しかし、これらのツールはどれも「自然な文章で質問できる」という共通点があり、難しい操作は必要ありません。まずは「AIに話しかけてみる」ことから始めるだけでも、大きな一歩になります。
生成AIを使いこなすためには、まず「どんな場面で、何のために使うか」という活用イメージを持つことがとても重要です。

次の章では、具体的な活用シーンを3つの切り口からご紹介します。難しい操作は一切ありません。「これなら自分でも試せそう」と思える場面を、ぜひ見つけてください。

デジタルマーケティングに活かす生成AIの具体的な使い方

生成AIは、うまく活用すれば中小企業のマーケティング業務を効率化し、質の高いアウトプットを短時間で実現できるツールです。ここでは、活用のしやすい3つの分野を中心に、具体的な活用例をご紹介します。

1.事業環境分析での活用

-顧客ニーズや課題の仮説出し
 自社の主な顧客層を簡単に説明すれば、ChatGPTやGeminiが「どのような悩みを持っている可能性があるか」をリストアップしてくれます。新たな気づきや視点が得られることもあります。また、SEO対策やネット広告を実施する際には、ターゲットになるキーワード選定の手伝いもしてくれますので、有効に活用していきたいところです。

-競合分析
 競合のホームページ情報やサービス内容を入力することで、他社と比較した自社の強みや差別化ポイントを整理することも可能です。「表形式で出力してください」と指示を出せば、一瞬でExcelやスプレッドシートで使用できる比較表を作成することもできます。

-自社の強みの言語化
 例えば「地域密着で30年、誠実対応が売り」といった特長を伝えると、それをもとにキャッチコピーや紹介文を生成してくれます。ホームページや会社パンフレット、提案資料で使用する自社の説明文を一層、魅力的なものへと変えていくことができます。

-プロモーション戦略・計画のたたき台づくり
 「どんな強みをもった商品を、どの層に、どのように届けたいか」といった条件を伝えると、生成AIがターゲット設定や訴求メッセージ、施策アイデアの例を提案してくれます。展示会出展、Web広告、SNS活用など、複数のチャネルを組み合わせたプランを生成AIと一緒に練ることも可能です。

 2. コンテンツ作成での活用

-ブログ記事やメルマガの原稿づくり
 「このテーマでブログを書きたい」「この商品の紹介文を作りたい」と伝えれば、たたき台となる文章がすぐに生成されます。最終的な校正・調整だけで済むため、大幅な時間短縮につながります。

-SNSの投稿プラン作成
 InstagramやX(旧Twitter)などに合わせた文体・ハッシュタグを自動で提案してくれるため、投稿の幅が広がります。月ごとのカレンダーや日次の投稿計画も生成AIと一緒に考えることが可能です。

-動画台本や展示会案内文の作成
 紹介動画や営業資料に使うスクリプトも、構成を指示すれば生成AIが作成してくれます。展示会招待状やお礼メールの文案づくりにも役立ちます。

3.データ分析での活用

 -口コミ分析
 Googleビジネスプロフィールに寄せられた口コミを貼り付けると、AIがポジティブ・ネガティブな傾向を分類し、改善ポイントを示してくれます。

-SNSのコメントやアンケート集計の要約
 まとまらない「生の声」も、生成AIに渡せばテーマごとに分類・整理。チーム内の共有もスムーズになります。

-データの“読み解き”サポート
 アクセス解析ツールや広告レポートの数字を生成AIに伝えると、「どこに注目すべきか」「次に何をすべきか」をわかりやすく提案してくれます。

このように、生成AIは「考える手間」や「まとめる手間」を減らすことで、より本質的な判断や行動に時間を使えるようにしてくれるツールです。

まとめ

生成AIは、「代わりにやってくれる」ツールではなく、「一緒に考えてくれる」頼もしい相棒となりえます。難しい操作や専門知識は必要ありません。まずは、普段の業務や資料を生成AIに伝えてみて、「どんな活用ができる?」と逆に質問してみることから始めてみてください。

ただし、生成AIに入力する内容には注意が必要です。顧客情報や社内の機密事項など、企業秘密に関わる内容は安易に共有しないようにしましょう。生成AIはあくまで外部サービスであり、活用の際には情報管理にも十分配慮することが大切です。

自社の業務に寄り添う活用スタイルを見つけ、マーケティングの効率化と質の向上に、生成AIを役立ててみてはいかがでしょうか。

コラムニストプロフィール

中小企業診断士

石田 国大(いしだ・くにひろ)

中小企業診断士。Webメディア運営企業にてクライアント企業の販売促進、Web広告コピーライティング業務等に従事。現在は東京都内の地域中小企業の創業支援、プロモーション支援等に注力している。