• トップ
  • WEBサイトで販路を開拓・拡大したい企業が見逃しがちな活動10選(4)

WEBサイトで販路を開拓・拡大したい企業が見逃しがちな活動10選(4)

公開日:2023/05/09

岩岡博徳(いわおか・ひろのり)

前回に続きWEBサイト上で販路を開拓・拡大したい企業にありがちな「ついつい見逃してしまう活動10選」をお届けします。

ケース8.ファネルを見逃している

ファネルとは、正式にはマーケティング・ファネルのことで、見込み客が商品やサービスを購入するまでの一連のプロセスを表しています。これは、見込み客を顧客に変換するためのプロセスを指します。多くの企業は、マーケティング・ファネルの一部を見逃がしています。

では、どの部分を見逃しているかについて、トップ・オブ・ザ・ファネル、ミドル・オブ・ザ・ファネル(MOFU)、ボトム・オブ・ザ・ファネル(BOFU)の3段階に分けて説明します。

トップ・オブ・ザ・ファネルは、見込み客が初めて商品やサービスの情報に触れる場所です。見込み客がトップ・オブ・ザ・ファネルに到達するとき、彼らはまだ自分たちが何を探しているかをよく知らないことが多くあります。そのため、見込み客が関心を持つ可能性のあるテーマに焦点を当てたコンテンツを作成し、トップ・オブ・ザ・ファネルに訪れる見込み客を引きつける必要があります。

例えば、旅行会社がトップ・オブ・ザ・ファネルの見込み客に対して、旅行先の魅力的な写真や記事を提供することができます。このような情報提供は、見込み客が企業に関心を持ち、次の段階に進むことを促します。

ミドル・オブ・ザ・ファネルでは、見込み客は自分たちが必要とする情報にアクセスし、商品やサービスに関する情報を詳しく調べ始めます。ミドル・オブ・ザ・ファネルに到達する見込み客に対して、商品やサービスの利点や特徴についてより詳細な情報を提供する必要があります。

例えば、美容クリニックがミドル・オブ・ザ・ファネルの見込み客に対して、施術や治療法について詳しく解説したビデオコンテンツを提供することができます。また、無料のカウンセリングやカスタマーサポートを提供することで、見込み客が商品やサービスに興味を持ち、購入に至る可能性を高めることができます。
ボトム・オブ・ザ・ファネルでは、見込み客が最終的に商品やサービスを購入する決定を下します。この段階で見込み客に対して、商品やサービスの購入を促進するためのアクションを取る必要があります。
例えば、ECサイトがボトム・オブ・ザ・ファネルの見込み客に対して、セールや割引クーポンを提供することができます。また、見込み客が商品を購入する前に不安や疑問がある場合には、迅速かつ丁寧に対応することが重要です。

以上のように、マーケティング・ファネルを理解し、トップ・オブ・ザ・ファネルからボトム・オブ・ザ・ファネルまでのすべての段階で適切なアプローチを取ることが必要です。マーケティング・ファネルの各段階に合わせた適切なコンテンツや施策を展開することで、見込み客を確実に顧客に変換し、販路の拡大につなげることができます。

ケース9.SNSの特性を理解せず使いわけてすることを見逃している

販路を開拓・拡大するために、SNSを利用することは非常に重要ですが、その特性を理解せずに使い分けることを怠っている企業が多いのが現状です。SNSは、それぞれ異なる特性を持っており、適切に使い分けることが必要です。以下に、SNSを適切に使い分けなかった企業の事例を紹介しながら、SNSの特性を理解して販路拡大に活用することの重要性を説明します。

まず、Facebookを例に挙げます。Facebookは、SNSの中でも最大規模の利用者数を誇ります。一方で、情報が古くなりやすく、投稿した情報が埋もれてしまう可能性があることが特徴です。ある企業は、Facebookページを開設して情報発信を行っていましたが、情報が古くなってしまい、効果が見られずに終わってしまいました。このような場合、情報を定期的に更新することが必要です。また、Facebookでは、顧客とのコミュニケーションを図ることができますが、そのレスポンスが遅いと、顧客からの信頼を失う可能性があるため、迅速な対応が求められます。

次に、Instagramを例に挙げます。Instagramは、ビジュアルコンテンツを中心に展開されるSNSです。ある企業は、商品写真をアップロードするだけで、他に何もしなかったため、投稿が埋もれてしまい、効果が見られずに終わってしまいました。Instagramでは、ハッシュタグを使うことで、より多くの人にアクセスしてもらうことができます。また、Instagramは、ストーリーズ機能やライブ配信機能など、様々な機能があるため、積極的に活用することで、顧客とのコミュニケーションを図ることができます。

最後に、Twitterを例に挙げます。Twitterは、情報の速報性が特徴で、リアルタイムで情報を発信することができます。ある企業は、Twitterを活用し、商品やサービスの情報を発信していましたが、情報が過剰になってしまい、フォロワーからのリアクションが減ってしまいました。このような場合、情報の質を高めることが必要です。Twitterでは、140文字という制限があるため、短くわかりやすい情報を発信することが求められます。また、Twitterでは、ハッシュタグを使うことで、より多くの人にアクセスしてもらうことができます。さらに、Twitter上では、トレンドワードが存在し、それに合わせた情報発信をすることで、より多くの人にアクセスしてもらうことができます。
以上のように、SNSはそれぞれ異なる特性を持っており、適切に使い分けることが重要です。また、SNSを活用する際には、情報の更新や質の向上、顧客との迅速なコミュニケーションなどが求められます。企業がこれらのことを実践することで、販路の拡大やブランディング効果を期待することができます。SNSは、無料で利用できるため、費用対効果が高いマーケティングツールとして活用することができます。企業が積極的にSNSを活用することで、市場拡大につながる可能性があります。

ケース10.YouTubeや動画作成の重要性を見逃している

5G通信が当たり前になった現代において、動画コンテンツの使用は効果的な販路拡大手段としても注目されています。特に、YouTubeは動画コンテンツのシェアや視聴において世界的に有名なプラットフォームとなっており、企業にとってもその影響力を利用することは必須といえるでしょう。
YouTubeを活用した販路拡大の取り組みが増えてきています。例えば、最近では自社商品を紹介する動画を制作し、YouTube上に公開することで販路の拡大を目指す企業が増えています。また、自社商品の説明だけでなく、商品を使ったレビューや実際の使用シーンを映像で表現することで、商品への理解を深めてもらうことができます。

また、YouTubeだけでなく、企業独自の動画コンテンツを制作することも重要です。

例えば、料理をテーマにした企業が、自社商品を使ったレシピ動画を制作することで、商品の認知度を高めることができます。また、企業が取り組んでいる社会貢献活動を動画で紹介することで、企業イメージの向上にもつながります。

さらに、動画コンテンツを制作することによって、企業のWebサイトへの誘導も可能です。動画をWebサイト上に掲載することで、ユーザーは商品やサービスの詳細をより深く知ることができます。また、動画コンテンツにコメント機能をつけることで、ユーザーからの質問や意見を収集することができ、商品やサービスの改善に役立てることができます。

しかし、動画コンテンツを制作するには、費用や時間などのリソースが必要となり、これらの負担が大きい場合もあります。そのため、動画制作に関する知識や技術を持つ外部の専門家を活用することも一つの方法です。また、企業内で動画制作の能力を持つ社員を育成することも、費用の削減や制作スピードの短縮につながります。

動画制作に取り組む際には、視聴者のニーズやターゲット層に合わせたコンテンツを制作することも重要です。例えば、若年層向けの商品を扱う企業であれば、洗練されたデザインや音楽に合わせた動画を制作することが必要です。また、シニア層向けの商品を扱う企業であれば、より分かりやすく、丁寧な説明が必要となります。

SEO対策も重要なポイントとなります。YouTubeの場合、検索結果の上位に表示されるためには、キーワードを意識したタイトルや説明文を設定することが必要です。また、コンテンツの品質や再生回数、コメント数などもランキングに影響します。これらのポイントを意識しながら動画コンテンツを制作することで、より多くのユーザーにアクセスしてもらうことができます。

動画コンテンツの制作は、企業にとって販路拡大において重要な手段の一つです。しかし、費用や時間などのリソースを必要とするため、計画的に取り組む必要があります。また、視聴者のニーズやターゲット層、SEO対策などを意識した上で、高品質で魅力的なコンテンツを制作することが、成功への近道となります。

以上、WEBサイトで販路を開拓・拡大したい企業が見逃しがちな活動10選ということでお話をしてまいりました。心当たりのところもあったのではないでしょうか?

今回取り上げた内容は、ごくごく当たり前のことばかりだと感じた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際にWEB担当者になってしまうと、その当たり前がなかなか見えないことも多くあります。ぜひ、今一度、Webサイトをチェックしてみて下さい。

コラムニストプロフィール

岩岡博徳(いわおか・ひろのり)

1973年生まれ。横浜市立大学商学部経営学科卒業、東京都立大学大学院経営学修士(MBA)。中小企業診断士、ITコーディネータ、東洋大学大学院経営学研究科特任教授。総合電機メーカー系商社で経営企画などに従事し、2004年に経営コンサルタントとして独立開業、2008年に法人化し代表取締役に就任した。自社でのマネジメント改革を通し、ITによる業務効率化や事業計画策定、PDCA型マネジメント導入を得意とする。現在は事業承継を行い、省庁や都県等の公的機関、金融機関を通して数多くの中小企業支援を行っている。