WEBサイトの集客と売上アップへのコツについて
公開日:2022/09/05
石井邦利(いしい・くにとし)
訪問数は伸びているのに売上につながらない。SEOにより検索順位は上がっているのにページビューが伸びない。Webサイトをリニューアルして集客が下がったといったご相談をよくいただきます。
SEOは検索エンジンからの訪問を増やし、ユーザーの求める情報を提供することで良い体験を提供し、Webサイトの評価を上げ、成果につなげる施策の一部です。
個別の施策は上手くいっているのに、効果が出ない時は、一つ一つの施策を見直すとともに、そもそもの戦略をしっかり見直すことが大切です。
SEOと検索順位とクリック数について
検索順位の中で、10位より5位が、3位より1位がよりクリックされやすいことは一般的に知られています。また、検索順位の決定要因としてWebサイトのタイトル(下記図の赤枠の箇所)はもちろん、それ以外の要素も重要です。
しかし、ページの構成やサイトの構造は優れており、読めば役に立つコンテンツにもかかわらず、ユーザーの心にうまく引っかからないタイトルが設定されることがあります。
タイトル見直しのポイント
検索ユーザーの問いに正しく答える文章になっているか
多くの場合、ユーザーは知りたい内容について検索窓に入力します。検索という行為はユーザーの「問い」であり、検索結果はユーザーへの「回答」となるからです。それを前提とすると、タイトルを以下の視点で見直すことが大切です。
- ユーザーの「問い」に正しく「回答」されているか
- 読みたくなるキャッチーな要素が含まれているか
- 文章の前半にキーワードや重要な内容が記載されているか
- 内容がわかりやすい文章となっているか
- 過剰にキーワードが含まれて、読みづらい文章になっていないか
- 信頼できるサイトであることが伝わるか。(監修コンテンツは、「●●監修」と冒頭に入れるとわかりやすい
クリックしたくなるタイトルについては、競合のタイトルをチェックするほか、有名な通販サイトのメルマガのタイトルを参考にするなど、いろいろな方法があるので、ぜひ試してみてください。
訪問数が伸びているのに売上が伸びない場合
成果につなげるため、サイトコンテンツを見直す3つの視点
- サイトへアクセスするユーザーの特徴を把握し、適切なユーザーの訪問を増やす
- ユーザーの購買行動を理解し、次のステップにつなげる
- サイトの構造やコンテンツで課題を解決する
集客方法を見直し、適切なユーザーの訪問を増やす
製品やサービスの情報に興味があったとしても、それが、カタログ的な情報を知りたいユーザーと、メンテナンス方法を知りたいユーザー、購入したいユーザーではWebサイトの閲覧目的が異なります。
求めている情報は、製品サービスの購入前か購入後か、などによっても異なります。また、新たな購入に至るまでの期間も念頭に置いて集客状況を確認してみましょう。アクセス解析には無料で利用できるグーグルアナリティクスを導入するのが一般的です。
グーグルアナリティクスでは、左メニューの「集客」で、サイト閲覧者が自社のWebサイトまで流入した経路を確認できます。
購入に至るまでの期間は、(オンライン上で受注する場合)左メニューを「コンバージョン」「eコマース」「購入までの間隔」の順でクリックすることで閲覧できます。
ユーザーの購買行動を理解し次のステップにつなげる
一般的に、ユーザーは情報収集と検討の段階を経て、具体的なアクションに移ります。これはBtoBの場合、より顕著です。
ユーザーが新規サービスや製品などを探す場合、まずWebサイトでわかる範囲で情報を集め、候補となる企業を洗いだして社内で検討し、その中から詳細資料の請求、デモの依頼、見積依頼に進みます。
なお、価格についてホームページで非公開とする場合、その段階で候補から外される可能性があることも注意しましょう。
価格について非公開とする際、全て見積対応とすることが、営業視点で効果的かを検討することも大切です。
例えば、既製品を販売する場合や、ソフトウェアをサブスクリプションで提供する場合、取引数が少ない場合を小、標準の場合は中、大口取引を大と設定し、小・中は価格を公開、大については、非公開とすることで、調査段階で候補から外されるリスクを回避することも可能です。
この際、中を標準、小をやや割高な価格設定とすることで、大のお客様にお得感を感じていただき、しっかりと営業サポートを実施することで、効率的な営業が可能になる場合もあるでしょう。
サイトの構造やコンテンツで課題を解決する
見込み顧客の購買行動について理解しても、コンテンツが不足していたり、サイト構造がわかりづらかったり、問い合わせフォームの項目が多すぎたり使いづらければ、問い合わせや売上にはつながりません。
この場合、グーグルアナリティクスを利用して、問題が発生しているページについて目星をつけましょう。これによって、Webサイトの閲覧者がどうやってアクセスし、どのページをどれだけ見ているかを定量的に把握することができます。
まず注目しなければならないのは直帰率(1ページ目のみ閲覧し、別のページを見ずにサイトから出て行った訪問者の割合)と離脱率(そのページを最後に見て、サイトから出て行った訪問者の割合)です。
訪問数が多くかつ直帰率の高いページから確認していきましょう。なお、直帰率や離脱が高くとも問題のないページが一部存在するため注意してください。
(例)会社概要の地図ページ(訪問するにあたり、場所を調べて満足して離脱している可能性が高いため)
そして、修正・改善対象となるページが確定したら、ヒートマップツールを活用して、読まれなくなっている箇所や、誤タップが発生している箇所を見つけ、改善を進めていきましょう。
なお、ヒートマップツールとは、訪問者がどこまでページを見たのか、どこをクリックしたかをビジュアルで確認できるツールです。グーグルアナリティクス以外にも、ツールは無料のものから、有料のものまで幅広く存在しています。まずは無料ツールや、無料お試し期間を有効活用して、使い勝手に納得がいくツールを選びましょう。
Webサイトをリニューアルして集客が下がった
Webサイトリニューアルによってサイト来訪者が減少する原因は、サイトの構成が変わってしまった際に、適切なディレクトリ(サイトの構造を指す言葉で、パソコンのフォルダ構造のような入れ子構造)の引継ぎ設定を行っていない場合や、ディレクトリ構造と内部リンクが不適切な場合、新旧のコンテンツで内容に齟齬が起きていたり、適切な順番で読めないリンク設定になっていたりなど、複合的な理由が存在します。
リニューアル前のページからリニューアル後の新ページにリダイレクトする
ディレクトリ構造が変更になった場合はサーバー側でリダイレクト設定(旧ページにアクセスしたユーザーを新しいページに自動で転送するための設定)をすることが重要です。この場合は、通常301転送(301はサーバーのステータスコードを示しており、恒久的な転送には301を利用します。有名なサーバーコードには、ページが存在しない場合の404not foundなどがある)による転送設定を行います。
※サーバー側の設定については、サーバーごとに異なるため、ホスティング先に確認をしてみましょう。なお、レンタルサーバーの契約内容によっては、設定を追加できない場合もあるので注意が必要です。
リダイレクト設定をするメリットは、お気に入りや外部リンクなどからアクセスしたユーザーを新しいページに適切に誘導できることや、新しいページを検索エンジンに適切に認識させられるなど、SEOにもプラスに働くためです。
ディレクトリ構造が変更になったことで、内部リンクの構造が変更になることがあります。メインメニューやパンくずナビ(サイト訪問者が今どのページにいるかわかりやすく表示したもの。下記画像の赤枠内。童話「ヘンゼルとグレーテル」で道に迷わないようにパンを置いたエピソードが由来と言われている)などがどのように変わったかなど、チェックしてみましょう)
色々やったが成果がでない
デジタルマーケティングでは、どこかひとつ失敗すると成果が出にくい
ユーザー理解、集客、サイト構造、コンテンツの最適化を目指す際に、マーケティングの基礎的な知識(4PやSTP、SWOTなど)の他、顧客の購買行動モデルやSEO、ネット広告や、動画の知識など幅広い理解が必要になってきます。
当然全てに精通しているに越したことはありませんが、より専門的な内容は外注するなどといった判断も重要です。しかし、発注側に基礎的な知識が無ければ、適切な指示を出せず効果がでなかったり、金額・成果指標が適切であるかを判断することは難しいものです。そのためにもより実践的な知識を学ぶことは大切です。