株式会社クレアは大画面の電子ペーパーサイネージ製品を開発・販売する企業。「バックライトを使わないモノクロの落ち着いた雰囲気が、博物館・美術館やオフィスビルから好評を得ています」と話す斉藤社長。
大画面電子ペーパーサイネージや教育機器、電子玩具などを開発・生産・販売する株式会社クレア。主力商品である電子ペーパーサイネージは省電力かつ高機能ながら、その認知向上が課題となっている。アドバイザーの支援を受け、「ターゲットの悩み」にアプローチするコンテンツ制作やSEO対策に取り組む。
※写真 代表取締役 斉藤 利一
■本事業に申し込んだ背景■
電子ペーパーサイネージの販売に注力
当社は教育機器と電子玩具の開発・製造・販売を行っておりますが、現在は特に電子ペーパーを用いたサイネージ『EPS(Electronic Paper Signage)』の製造・販売に注力しています。液晶やLEDのデジタルサイネージに比べ消費電力が少なく、落ち着いた雰囲気を演出できるので、博物館・美術館や雰囲気を重視する店舗などに導入いただいています。現時点ではモノクロ表示のみですが、2024年春にはカラー版の新製品も発売予定で、さらに用途が広がる見込みです。
デジタルで商品の認知度向上を目指す
現在のWebサイトは2016年にリニューアルしたものです。ワイヤーフレームは制作会社に依頼しましたが、内部コンテンツは社内で制作しています。担当者は電子系エンジニアで、デジタルマーケティングの知識は独学で得ていますが、実践の経験が少ないので常に「これで良いのか」という不安がありました。Webサイトのお問い合わせフォームからの成約率は約50%と高い水準でしたが、問い合わせ数の伸び悩みと、ターゲットへの認知度の低さが課題でした。展示会に足を運んで初めて自社オリジナルの電子ペーパーサイネージを知った方も多く、商品の周知方法に悩んでいたところに公社の支援を知って申請しました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
PVと問い合わせ数の向上が目標
申請時の目標は、PVと問い合わせ数を2~3割増加させることでした。欲を言えば、2倍にしたいと考えていました。アドバイザーには最初のミーティングで、自社の事業や製品の特長、強みなどについても丁寧にヒアリングしていただきました。
検索ワードの鍵は「ターゲットの悩み」
Web解析ツールで分析した結果、「電子ペーパー サイネージ」での検索順位は1位でしたが、検索数そのものが少ないことが判明しました。そもそも電子ペーパーのサイネージを知らない方がこの製品を発見するための検索キーワードの選定が最初の課題になります。そして、アドバイザーから「検索キーワードは<ターゲットの悩み>がポイント」という助言をいただきました。たとえば液晶のサイネージからの切り換えなら「消費電力」かもしれません。アドバイザーの「ターゲットの悩みは何ですか?」という言葉は、今でも取り組みのコンセプトになっています。
■具体的な販路開拓への取り組み■
社内でWebサイトをフルリニューアル
次に、サイト内に導入事例や活用シーンなどのコンテンツを追加し、タイトルなどにターゲットの悩みに沿ったキーワードを盛り込みました。当初は軽微な改修の予定でしたが、担当者から強い希望があり、内製でフルリニューアルすることになりました。アドバイザーからは「本当に社内でやるんですか?」と驚かれましたが、今後の社内運用を見据えノウハウを蓄積したいと考えました。
導線を工夫してユーザーを育てるサイトに
実際にWebサイトの改修を進めると、多くの悩みが生じました。まずは「ターゲットの疑問・困りごとに対して、答えを即座に見つけてもらうには何をどこに配置するか」です。改修案をアドバイザーに見てもらい、フィードバックを受け、修正を繰り返し、サイトマップだけでも2~3回は手直ししました。既存サイトは自力で探し出して来訪された「見込み客」向けの仕様でしたが、新しいサイトは電子ペーパーの仕組みなどを紹介した上で製品の優位性をアピールする「ユーザーを育てる」仕様になっています。
■デジタルマーケティングの効果■
改修後も効果を見ながらブラッシュアップ
2023年12月にWebサイトをリニューアルオープンしました。公開後すぐにPVや問い合わせ数が増えるわけではないので、効果を検証してキーワードを調整しながらブラッシュアップを続けていきます。効果的なキーワードはターゲットが抱える悩みにつながっていますので、それに合わせた新しいコンテンツも作成していく予定です。
デジタル施策には社外からの視点が必要
今後は新製品のカラー版の電子ペーパーサイネージを紹介する特設コンテンツを作成し、また海外向けのサイトも制作していきます。ある程度サイトが形になったら、アクセス数向上の施策やWeb広告、SNSでの集客も行っていきたいと考えています。アドバイザーの客観的な視点がなければ、自己満足のサイトリニューアルになっていたと思います。引き続き、次年度の継続支援も申請する予定です。
ポテンシャルのある製品を多くの人に知ってもらうための施策
電子ペーパーを使ったクレアさんのサイネージは独自性と付加価値が高く、海外製品と比較しても高機能ですので、工夫次第でもっと市場が広がりそうです。これまでWeb経由でお問い合わせがあったお客様は、検索に時間をかけてこの製品に辿り着いていました。もっと多くの方に製品を知っていただくため、SEO対策や構成を一緒に考えながらサイトのブラッシュアップなどに取り組んでいきます。
※本記事は、2023年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社クレア |
所在地 | 東京都千代田区鍛冶町2-6-1 堀内ビルディング9階 |
設立 | 2007年12月 |
事業内容 | 教育機器・電子ペーパー製品・PC周辺機器・その他ハード機器の企画・OEM・ODM製品の請負 |
資本金 | 1,100万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。