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はじめてのWeb解析!データ分析のポイント解説~ツールを開く前に知っておきたい、数字を“くらべる”コツと3つのポイント~

公開日:2026/09/16

武田明宏

今回のコラムでは、Web解析をするための基本的な考え方とデータの見方を中心に解説します。「Web解析とは、そもそも何をすることなのか」「まずは何から始めればよいのか」といった疑問をお持ちの初心者の方に向けた内容です。解析に使うツールの種類や具体的な操作方法をお知りになりたい方は、末尾にご紹介するコラムをご覧ください。

1. Web解析の正体

「Web解析」と聞いて、何をするのか、どんなことが分かるのか、イメージはお持ちでしょうか。イメージが湧いてこないという方は、もしかするとWeb解析の正体をつかみ切れていないのかもしれません。まずは、そこから確かめましょう。
結論から言うと、Web解析とは、Webサイトの中で利用者がどのように行動したのかを分析することで、Webサイトの現状を把握し、課題をあぶり出すことです。
一言でいえば、「Webサイトの分析結果をもとに、現状を把握し、課題を設定する一連の流れ」となります。
課題を解決するための改善策を実行するところまでを指す場合もあります。
そして中小企業支援での経験上、この流れの中でもっとも多くの方がつまずくのが、いちばん最初にある「分析」の部分です。解析ツールは導入したものの、画面を開いてもどこを見ればよいのか分からない、というお声が絶えないのは、まさに分析でのつまずきに理由があると考えております。

2. そもそも「データ分析」って何?

ここではあえて、「分析」ではなく「データ分析」と呼びます。ではデータ分析で何をするのか。簡単にいえば、“くらべる”ことです。
突然ですが、ここで問題です。
あなたはテストで、100点満点中80点を取りました。さて、あなたはどんなことを考えますか。
この先を読まずに、10秒ほど考えてみてください。

「まあまあできた」「8割取れれば上出来だ」と思われた方もいらっしゃるでしょう。その一方で、こんな疑問が浮かんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「平均点は何点だったのだろう。」「順位は何番目くらいの点数だったのだろう。」
そうなんです。平均点や他人の点数といった、くらべる相手がなければ、80点という数字を評価することはできません。これは、Web解析でもまったく同じです。「先月のアクセスは1,200回でした」という数字を見ても、それだけでは良いのか悪いのか、誰にも判断できません。
つまり、アクセス数や問い合わせ件数を何とくらべるのかが重要になります。前の月、昨年の同じ月、同業他社など、くらべる相手は多岐にわたり、何とくらべるかによって、現状把握と課題整理の精度が変わってきます。

3. くらべる4つの軸

くらべる相手は多岐にわたりますが、整理すると大きく4つの軸になります。
1つ目は時間です。前の月、昨年の同じ月、取り組みの前と後で数字をくらべます。2つ目は内訳です。どこから来た人か、どのページか、といった切り口で分けてくらべます。3つ目は目標です。自社で決めた目標とくらべます。そして4つ目は外部です。業界の水準や、同業他社の状況とくらべます。

図1:数字をくらべる4つの軸
図1:数字をくらべる4つの軸

このうちまず身につけていただきたいのが、時間と内訳の2つです。この2つを組み合わせるだけで、たいていの現状把握はできます。「先月より問い合わせが減った」という時間の軸に、「どこから来た人が減ったのか」という内訳の軸を重ねれば、検索からの訪問は横ばいでSNS経由だけが落ちていた、というように漠然とした変化が具体的な出来事に変わります。
反対に、軸を決めないまま画面を開くと目に入った数字を眺めるだけで終わってしまいます。「先月とくらべてどうか」と決めてから開けば、見るべき画面は数枚に絞られます。
ただし、ツールが答えてくれるのは「何が起きたか」までです。「なぜ起きたのか」「では、どうするか」は、ツールの外側にあります。数字は仮説を立てるための材料であって、答えそのものではありません。

4. 「平均」という数字に気をつける

くらべるときによく使う数字が平均です。解析ツールの画面にも、平均滞在時間や平均掲載順位など、平均のついた項目がいくつも並びます。ただし平均には、極端な数字に引っぱられやすいという弱点があります。
たとえば、あるページを10人が見たとします。そのうち9人は10秒ほどで離れ、1人だけが30分かけてじっくり読み込んだ。このとき平均の滞在時間は約3分になります。数字だけを見れば「3分も読まれている良いページ」に見えますが、実態は「ほとんどの人が10秒で帰っていくページ」です。
平均が実態とずれていないかを確かめるには、真ん中の順位にあたる人の数字(中央値といいます)を見るのが本来は有効です。ただし解析ツールの画面に中央値は表示されないことが多いため、実務では、ページごと、アクセス元ごとに分けて分析する方法をお勧めしています。先ほどの内訳の軸がここでも効いてきます。
そして、このようなずれが起きるのは、一つひとつの数字にばらつきがあるからです。そしてこのばらつきは、もとになる件数が少ないほどやっかいなものになります。

5. Web解析でつまずくもうひとつの理由

世の中のWeb解析の解説記事の多くは、月に数万、数十万のアクセスがあるWebサイトを前提としていることが多いです。しかし実際の多くの中小企業のWebサイトでは、月の訪問が数百、問い合わせは月に数件、ということも珍しくありません。この規模になると、月ごとの数字の上下の多くは、取り組みの成果によるものではなく、たまたま発生した事象になります。
たとえば問い合わせが月3件から月1件に減れば、割合にすると67%減という、とても衝撃的な数字になります。けれども実際に起きた事象は、「2件減った」だけです。担当の方が夏休みだった、たまたま大きな案件の検討時期と重ならなかった、その程度の理由で、簡単に起こる変動です。

図2:数字の増減と割合の増減の違い
図2:数字の増減と割合の増減の違い

ここで「67%も減った、何かが悪くなったに違いない」と考えてWebサイトを大きく作り変えてしまうと、うまくいっていた部分まで失ってしまうおそれがあります。データが少ない会社にとっての本当の落とし穴は、データがないことではなく、少ないデータを読みすぎてしまうことです。

6. 判断を誤らないための3つのポイント

では、データが少ない中小企業がどのように判断をすべきか、3つのポイントをお伝えします。

ポイント①:短い期間で判断しない

もとになる件数が少ないほど、集計する期間は長めに取ります。たとえば問い合わせが月平均2件の会社なら、1〜3月で6件、4〜6月で7件、という見方をします。くらべてもほとんど差はありませんが、それは「この半年で大きな変化は起きていない」という、立派な情報です。変化がないと分かれば、今とは別の打ち手を試してみよう、という判断ができます。

ポイント②:件数の多い項目から順に見る

同じWebサイトの中でも、項目によって件数の桁がまったく違います。検索結果に表示された回数は月に数千回あっても、問い合わせは月に数件、ということが起こります。件数が多い項目ほど、たまたまの影響を受けにくくなりますので、まずはそちらから確認します。そして件数の少ない項目は、月ごとではなく、四半期や半年単位で見るようにします。

ポイント③:件数が足りない場合は中身を見る

件数で判断できないのであれば、一件一件の中身を読みます。たとえば検索クエリ(利用者が検索窓に実際に打ち込んだキーワード)は、単なる文字ではなく、見込みの顧客が使っている言葉そのものです。
たとえ10件しかなくても、そこに自社が想定していなかった用途やお困りごとが現れていれば、統計以上に価値のある情報になります。問い合わせフォームに書かれた文章や、営業担当の方が商談で受けた質問も同じです。件数が足りない会社ほど、中身の情報の比重を上げてみてください。

おわりに

Web解析の正体は、“くらべる”ことです。80点というテストの点数と同じで、Webサイトの数字もくらべる相手を決めて初めて意味を持ちます。
そして中小企業の場合、くらべられるだけの数字が揃わない場面があります。そのときに数字を読みすぎず、期間をまとめ、足りない分は一件一件の中身で補う。この姿勢こそ、少ないデータで判断を誤らないための基本になります。
まずは、自社のWebサイトの数字を先月とくらべるところから始めてみてください。
なお今回は、解析ツールの導入や設定には触れておりません。これから始められる方は、下記のコラムも併せてご覧ください。

コラムニストプロフィール

中小企業診断士

武田 明宏(たけだ・あきひろ)

IT企業でシステムエンジニアとして約10年、金融系システム開発を経験した後、マーケティングコンサルティング会社に転職し、300社以上の中小企業のデジタルマーケティングを支援。購買データ分析やWeb解析をベースに、Web広告、SNS運用、SEO対策、EC改善、CRM、生成AI活用まで幅広く対応してきました。全日本DM大賞では複数回の入賞実績あり。また、公的機関主催の生成AIセミナーの講師も務めています。データに基づいた分析と、現場で成果につなげる実行支援を得意としています。「何から始めればいいかわからない」という段階から一緒に取り組みますので、お気軽にご相談ください。