測定方法の変化
2023年7月に完全移行したGoogleアナリティクス4(以下「GA4」)の利用は進んでいますでしょうか。
これまでのウェブサイトへのセッションベース(訪問)を測定してきた従来のGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス、以下「UA」)とは異なり、GA4はイベントベース、つまりユーザーの動きを測定しています。
例えば、これまでは、「このページ、どのぐらい見てくれているかな?」という視点でデータを確認してきましたが、GA4では、ユーザーの動きをより細かく確認することができるようになりました。
直帰率の定義の変化
これまでの代表的な指標「直帰」の定義も変わりました。UAでは、ウェブサイトに訪問したユーザーが2ページ目を見ることなく、離脱することを「直帰」と呼び、ウェブサイトの評価に活用してきました。GA4では、この「直帰」そのものが変化しました。厳密には、全く同じ考え方の指標は無くなりました。そもそもUAでは、一瞬でページを離れても、じっくりとページを見ても、同じ直帰として扱われてきました。滞在時間を測定できなかったためです。それに対してGA4では、ページの滞在時間を把握できるようになった結果、10秒未満の滞在を直帰と扱うようになりました。
それが、「セッションベースのUA」と「イベントベースのGA4」の根本的な違いです。GA4では、ユーザーの実態を反映した測定が行われているということです。
ユーザーの動きとエンゲージメント
このようにGA4では、私たちが日頃気にも留めていなかった部分の精度が高まったことで、よりリアルな実態把握に近づいたのです。
そして、直帰しなかったユーザーを把握する新たな指標として「エンゲージメント」が誕生しました。エンゲージメントとは、言葉のとおり、ユーザーと私たちのウェブサイトの関係性を表わす指標です。例えば、ウェブサイトに興味をもったユーザーは、ゆっくりページを読み進めるでしょうし、ページの上から下まで、目を通すこともあるでしょう。こうしたユーザーの動きがエンゲージメントと言えば、納得しやすいのではないでしょうか。他にも、エンゲージメントと評価するユーザーの動きは複数あり、2ページ目を見たユーザー、10秒以上サイトに滞在したユーザーなどがあります。
大切なことは、GA4がどう進化したのかを知ることで、UAとの違いが理解しやすくなります。
ユーザー数の変化と実態
UAでは、パソコンからのアクセスとスマートフォンからのアクセスがそれぞれ別のユーザーとしてカウントされていました。しかし、GA4では、同一のユーザーが複数のデバイスを使ってアクセスしても、1ユーザーとしてカウントすることができるようになりました。
これは、GA4がユーザーのデバイスをまたいだ行動を追跡できるためです。
具体的には、ユーザーがGoogleアカウントでログインした状態であれば、そのユーザーがスマートフォン、タブレット、パソコンなど、異なるデバイスからアクセスした場合でも、GA4がそれを1ユーザーとして認識し、カウントするためです。これにより、データの精度が高まり、実際のユーザーの動向が把握できるようになります。
(※Googleアカウントでログインしていないユーザーは対象外です。)
問題を発見して改善につなげる
ここで少しイメージを深めてみましょう。ユーザーは、なぜデバイスをまたいでアクセスするのでしょうか。
例えば、スマートフォンでアクセスしたユーザーが、「より詳しくページを見たい」あるいは「スマートフォンでは入力に時間がかかるため、パソコンからアクセスし直した」など、イメージすることができます。そう考えると、「スマートフォンの画面が操作しづらかったのかもしれない。そのため多くのユーザーが離脱しているのかもしれない」という仮説が成り立ちます。そして、仮説に基づき、検証を行います。
GA4では、新たに設置された「探索」を使って、いろいろな切り口から詳細なデータを確認することができます。つまり、目的をもってデータ分析を行うということで、問題点の発見がしやすくなり、改善につなげていくことができるのです。
まとめ
以上のようにGA4では、ウェブサイトのユーザー動向をより精緻に把握することができるようになりました。
ご紹介したのはGA4の一部ですが、「なぜ、何が、どう変化したのか」を理解することが、分析の一歩につながります。興味をもってデータ分析を行い、成果つなげていきましょう。
(※2023年8月31日時点のGA4に基づく情報です。)