SEOに取り組む際に一番初めに行うことは、どのキーワードで上位表示させるか、つまり「キーワード選び」です。最初に行う作業にも関わらず、このキーワード選びがSEOで最も重要な作業になります。
キーワード選びに失敗すると、下記のようなことになります。
・上位表示させることができず、時間と労力が無駄になってしまった
・上位表示できたけれど、流入数や問い合わせの増加に結び付かなかった
このようなことにならないように、今回は正しいキーワードの選び方を説明します。
「市場ニーズ」と「競合と被らない自社の強み」が合致するキーワード
そもそも市場ニーズがなければ、そのキーワードで上位表示できても検索されないことから、問い合わせには繋がりません。
また競合と被る強みのキーワードの場合、競争が激しく、上位表示させるのが難しいです。特に競合相手が大企業ですと、潤沢な資金で優秀なSEO会社に依頼してSEOを行っているため、勝つのはさらに困難です。
そのため、中小企業は「市場ニーズ」と「競合と被らない自社の強み」が合致するキーワードを選ぶことが重要になります。図にすると下記の青い部分のキーワードになります。
まずは「市場のニーズ」から見つける
市場が何を求めているのか調査し、その市場ニーズをキーワードに落とし込みます。
ではどのように市場ニーズを見つければいいのか、具体的に説明します。
「サジェストキーワード」から市場ニーズを見つける
検索窓にキーワードを入れたときに表示されるキーワード候補を「サジェストキーワード」と言います。
サジェストキーワードは検索者が実際に検索したキーワードです。そのため、市場ニーズを見つけるヒントになります。
サジェストキーワードを調べるには、「ラッコキーワード」というツールを使用します。
- 参考:ラッコキーワード(1日50回までなら無料)
https://related-keywords.com/
ラッコキーワードを開いたら、①キーワードを入力し、②サジェスト(Google)を選択します。
*上記はイメージ図です
そうしますと、サジェストキーワードの一覧が表示されます。
バス会社の例ですと、下記のような市場ニーズがあることが分かります。
「なぜバス会社?」と思われたかもしれません。私の実家はバス会社で、父から引き継ぐ形で9年間経営しておりました。その際に取り組んだSEO経験を踏まえながら、説明していきます。
「Google Search Console」で検索されたキーワードを調べる
Googleが無料で提供している、「Google Search Console(グーグルサーチコンソール)」を使用すれば、どのようなキーワードを入力して自社のホームページに来たのか分かります。
つまり自社のホームページに何を求めて来たのかが分かるので、市場ニーズを見つけるヒントになります。
- 参考:Google Search Console
https://search.Google.com/search-console/about?hl=ja
「競合と被らない自社の強み」を見つける
リアルの世界と同じく、インターネットの世界でも競合は存在します。そのため競合と同じ強みのキーワードを選んでしまうと、競争が激しく上位表示させることが難しいです。
そのため「競合と被らない強みのキーワード」を選びます。
競合が狙っているキーワードを調べる方法
リアルの世界ですと、競合が何を強みにしているのか知っていることが多いでしょう。しかしインターネットの場合は知らない会社も出てくるので、何を強みにしているのか分からないことがあります。
そのような場合はラッコキーワードの「獲得キーワード調査」を使って調べます。
使い方は、ラッコキーワードを開いた後に「獲得キーワード調査」を選択し、
*上記はイメージ図です
調査したい競合のURLを入力します。
*上記はイメージ図です
検索すると、下記のように競合が獲得しているキーワード一覧が表示されます。
*上記はイメージ図です
「月間検索数」は、そのキーワードが月当たりにGoogleで検索される回数を表し、「検索順位」はGoogleにおける検索順位を表しています。
「推定流入数」は「月間検索数」と「検索順位」を基に月当たりどれくらい流入数があるか表した数値です。
最初に表示される順番は、「推定流入数」の多い順に並んでいるため、上から順に見ていき、競合の強みを見つけていきます。
競合と被る強みのキーワードは選ばない
バス会社の場合、自社も競合も強みは「安さ」でした。顧客もより安いバス会社を探す傾向にあったため、当時のバス業界は価格競争に陥っていました。
つまり「貸切バス 安い」「貸切バス 格安」などは、競合と被る強みであり、
選んではいけないキーワード
です。図で言いますと、下記の緑色の部分になります。
当時の私は「安さ以外に何か強みはないか?」と頭を悩ましていました。
顧客に自社を選んだ理由をヒヤリングする
個人客が多いバス会社だったのですが、ある日 珍しく法人客からバスの依頼がありました。
そこでなぜ自社のバスを借りたのか、直接聞いてみることにしました。
法人客にヒヤリングすると、以下の回答がありました。
「前回頼んだバスがボロボロで、商談が失敗してしまった。今回もVIPを送迎する必要があるので、綺麗で高級感のあるバスを探していた」
バス業界はボロボロになるまで使い倒すのが通例でしたが、自社は5年に1度バスを買い替えていたためバスが綺麗でした。
ここから、「綺麗なバス」が「競合と被らない自社の強み」だと分かったのです。
キーワードに落とし込む
法人客のニーズと競合と被らない自社の強みが「綺麗なバス」であることがわかりました。
ここまで分かりましたら、SEOで狙うべきキーワードに落とし込みます。私が選んだキーワードは下記の通りです。
・貸切バス 東京 綺麗
・貸切バス 埼玉 綺麗
・貸切バス 運転手付き 綺麗
これらのキーワードでSEOを行い上位表示に成功した結果、法人客からの問い合わせが急増しました。
「言い換えキーワード」を選ぶ
「買い手」と「売り手」で、商品の言い方が違うキーワードがあります。その場合、売り手側の言葉で上位表示しても検索されないため、問い合わせに繋がりません。
言い換えキーワードの事例①
例えば下記の商品名をご存じでしょうか?
正解は「バッグハンガー」です。
事前に100名の方にアンケートを取りましたが、知っていた人は12人しかいませんでした。
かく言う私も商品名を知らなかったため、バッグハンガーを購入しようとした際に検索したキーワードは「机 鞄 フック」でした。
このように、バッグハンガーは売り手と買い手とでは言い方が違うことが分かります。その際に買い手が思いつくキーワードが「言い換えキーワード」になります。
言い換えキーワードの事例②
バス会社においても言い換えキーワードは存在しました。
例えば下記のバスを売り手の言葉だと「トヨタのコースター」と言っていました。それに対し、買い手の言葉では「マイクロバス」と言います。
また後部座席をたたんで、その上に荷物が載せられるバスがあるのですが、これを売り手の言葉だと「観音扉式のバス」と言います。しかし、買い手の言葉では「荷物が積めるバス」と言います。
上記のことから、バス会社のホームページには売り手の言葉、つまり「言い換えキーワード」で記載するようにしました。
例えば下記のバスは「荷物が積めるマイクロバス」と記載しました。
それに対して競合は「トヨタ コースター 観音扉」と記載していたことから、言い換えキーワードで流入を増やすことができました。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?
「キーワード選び」がSEOにおいて重要であることが伝わっていれば幸いです。
これからSEOに取り組む方はキーワード選びに十分な時間と労力をかけて、自社に合ったキーワードを見つけて下さい。
また、過去にSEOに取り組んだけれど成果に結びつかなかった方は、今回のやり方でもう一度チャレンジしてみましょう。