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中小企業が選ぶべきSEOのキーワード

公開日:2023/09/29

谷藤剛(たにふじ・ごう)

SEOに取り組む際に一番初めに行うことは、どのキーワードで上位表示させるか、つまり「キーワード選び」です。最初に行う作業にも関わらず、このキーワード選びがSEOで最も重要な作業になります。
キーワード選びに失敗すると、下記のようなことになります。

 ・上位表示させることができず、時間と労力が無駄になってしまった
 ・上位表示できたけれど、流入数や問い合わせの増加に結び付かなかった

このようなことにならないように、今回は正しいキーワードの選び方を説明します。

「市場ニーズ」と「競合と被らない自社の強み」が合致するキーワード

そもそも市場ニーズがなければ、そのキーワードで上位表示できても検索されないことから、問い合わせには繋がりません。
また競合と被る強みのキーワードの場合、競争が激しく、上位表示させるのが難しいです。特に競合相手が大企業ですと、潤沢な資金で優秀なSEO会社に依頼してSEOを行っているため、勝つのはさらに困難です。
そのため、中小企業は「市場ニーズ」と「競合と被らない自社の強み」が合致するキーワードを選ぶことが重要になります。図にすると下記の青い部分のキーワードになります。

市場ニーズと競合と被らない自社の強みが合致するキーワード

まずは「市場のニーズ」から見つける

まずは市場のニーズから見つける

市場が何を求めているのか調査し、その市場ニーズをキーワードに落とし込みます。
ではどのように市場ニーズを見つければいいのか、具体的に説明します。

「サジェストキーワード」から市場ニーズを見つける

検索窓にキーワードを入れたときに表示されるキーワード候補を「サジェストキーワード」と言います。

サジェストキーワードの表示例

サジェストキーワードは検索者が実際に検索したキーワードです。そのため、市場ニーズを見つけるヒントになります。
サジェストキーワードを調べるには、「ラッコキーワード」というツールを使用します。

ラッコキーワードを開いたら、①キーワードを入力し、②サジェスト(Google)を選択します。

ラッコキーワードの検索窓と操作手順を示す三つのふきだし 1キーワードを入力 2サジェスト(Google)を選択 3検索をクリック

*上記はイメージ図です

そうしますと、サジェストキーワードの一覧が表示されます。

バス会社の例ですと、下記のような市場ニーズがあることが分かります。

例1.マイクロバスと「ベビーカー/チャイルドシート/赤ちゃん」なら「小さい子供を載せられるマイクロバスを借りたい」、例2.マイクロバスと「犬/ペット」なら「ペット可のマイクロバスを借りたい」

「なぜバス会社?」と思われたかもしれません。私の実家はバス会社で、父から引き継ぐ形で9年間経営しておりました。その際に取り組んだSEO経験を踏まえながら、説明していきます。

「Google Search Console」で検索されたキーワードを調べる

Googleが無料で提供している、「Google Search Console(グーグルサーチコンソール)」を使用すれば、どのようなキーワードを入力して自社のホームページに来たのか分かります。
つまり自社のホームページに何を求めて来たのかが分かるので、市場ニーズを見つけるヒントになります。

Google Search Console ホームページに来た人が打ったキーワード

「競合と被らない自社の強み」を見つける

リアルの世界と同じく、インターネットの世界でも競合は存在します。そのため競合と同じ強みのキーワードを選んでしまうと、競争が激しく上位表示させることが難しいです。
そのため「競合と被らない強みのキーワード」を選びます。

競合が狙っているキーワードを調べる方法

リアルの世界ですと、競合が何を強みにしているのか知っていることが多いでしょう。しかしインターネットの場合は知らない会社も出てくるので、何を強みにしているのか分からないことがあります。
そのような場合はラッコキーワードの「獲得キーワード調査」を使って調べます。

使い方は、ラッコキーワードを開いた後に「獲得キーワード調査」を選択し、

ラッコキーワード 獲得キーワード調査を選択

*上記はイメージ図です

調査したい競合のURLを入力します。

ドメインまたはURL 調査したい競合のURLを入力

*上記はイメージ図です

検索すると、下記のように競合が獲得しているキーワード一覧が表示されます。

競合が獲得しているキーワードごとの、月間検索数、検索順位、推定流入数の一覧表

*上記はイメージ図です

「月間検索数」は、そのキーワードが月当たりにGoogleで検索される回数を表し、「検索順位」はGoogleにおける検索順位を表しています。
「推定流入数」は「月間検索数」と「検索順位」を基に月当たりどれくらい流入数があるか表した数値です。
最初に表示される順番は、「推定流入数」の多い順に並んでいるため、上から順に見ていき、競合の強みを見つけていきます。

競合と被る強みのキーワードは選ばない

バス会社の場合、自社も競合も強みは「安さ」でした。顧客もより安いバス会社を探す傾向にあったため、当時のバス業界は価格競争に陥っていました。

バス会社の場合、自社も競合も強みは安さ 市場ニーズも安さ

つまり「貸切バス 安い」「貸切バス 格安」などは、競合と被る強みであり、

選んではいけないキーワード

です。図で言いますと、下記の緑色の部分になります。

競合と被る強みが市場ニーズに重なる部分が緑色のベン図

当時の私は「安さ以外に何か強みはないか?」と頭を悩ましていました。

顧客に自社を選んだ理由をヒヤリングする

個人客が多いバス会社だったのですが、ある日 珍しく法人客からバスの依頼がありました。

法人客にヒヤリングする

そこでなぜ自社のバスを借りたのか、直接聞いてみることにしました。
法人客にヒヤリングすると、以下の回答がありました。

「前回頼んだバスがボロボロで、商談が失敗してしまった。今回もVIPを送迎する必要があるので、綺麗で高級感のあるバスを探していた」

バス業界はボロボロになるまで使い倒すのが通例でしたが、自社は5年に1度バスを買い替えていたためバスが綺麗でした。
ここから、「綺麗なバス」が「競合と被らない自社の強み」だと分かったのです。

キーワードに落とし込む

法人客のニーズと競合と被らない自社の強みが「綺麗なバス」であることがわかりました。

法人客のニーズと競合と被らない自社の強み 綺麗なバス

ここまで分かりましたら、SEOで狙うべきキーワードに落とし込みます。私が選んだキーワードは下記の通りです。

   ・貸切バス 東京 綺麗
   ・貸切バス 埼玉 綺麗
   ・貸切バス 運転手付き 綺麗

これらのキーワードでSEOを行い上位表示に成功した結果、法人客からの問い合わせが急増しました。

「言い換えキーワード」を選ぶ

「買い手」と「売り手」で、商品の言い方が違うキーワードがあります。その場合、売り手側の言葉で上位表示しても検索されないため、問い合わせに繋がりません。

買い手の言葉「Aありますか?」 売り手の言葉「Bのことですね。はい、ございますよ。」

言い換えキーワードの事例①

例えば下記の商品名をご存じでしょうか?

バッグハンガー

正解は「バッグハンガー」です。
事前に100名の方にアンケートを取りましたが、知っていた人は12人しかいませんでした。

アンケート結果の円グラフ 商品名を知っていた12人 商品名を知らなかった88人

かく言う私も商品名を知らなかったため、バッグハンガーを購入しようとした際に検索したキーワードは「机 鞄 フック」でした。
このように、バッグハンガーは売り手と買い手とでは言い方が違うことが分かります。その際に買い手が思いつくキーワードが「言い換えキーワード」になります。

買い手が思いつくキーワードが言い換えキーワード

言い換えキーワードの事例②

バス会社においても言い換えキーワードは存在しました。
例えば下記のバスを売り手の言葉だと「トヨタのコースター」と言っていました。それに対し、買い手の言葉では「マイクロバス」と言います。

売り手の言葉はトヨタのコースター 買い手の言葉はマイクロバス

また後部座席をたたんで、その上に荷物が載せられるバスがあるのですが、これを売り手の言葉だと「観音扉式のバス」と言います。しかし、買い手の言葉では「荷物が積めるバス」と言います。

売り手の言葉は観音扉式のバス 買い手の言葉は荷物が積めるバス

上記のことから、バス会社のホームページには売り手の言葉、つまり「言い換えキーワード」で記載するようにしました。
例えば下記のバスは「荷物が積めるマイクロバス」と記載しました。

言い換えキーワードを記載した自社ホームページの説明欄

それに対して競合は「トヨタ コースター 観音扉」と記載していたことから、言い換えキーワードで流入を増やすことができました。

競合ホームページと言い換えキーワードを記載した自社ホームページの比較

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?
「キーワード選び」がSEOにおいて重要であることが伝わっていれば幸いです。
これからSEOに取り組む方はキーワード選びに十分な時間と労力をかけて、自社に合ったキーワードを見つけて下さい。
また、過去にSEOに取り組んだけれど成果に結びつかなかった方は、今回のやり方でもう一度チャレンジしてみましょう。

コラムニストプロフィール

谷藤 剛(たにふじ・ごう)

中小企業診断士(SEOを中心としたWEB集客が専門)
老舗SEO会社に就職し、SEOコンサルタントとして活躍後、独立開業。 中小企業の経営経験もあることから、中小企業の社長の悩みを理解した上で、売上に繋がる支援を行っている。
Wisteria Consulting 代表
URL:https://wisteria-consulting.biz/