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入門:ChatGPTを活用したデジタルマーケティング

公開日:2023/08/07

千種伸彰(ちぐさ・のぶあき)

ChatGPTは、会話型の人工知能(AI)です。私たちが話すような自然な文章を作り出すことが得意です。質問をすると、それに対する答えを大量のデータの中から生成し表示します。様々な用途に使うことができるため、2022年11月のリリースからわずか2か月でユーザー数が1億人に達しました。この驚異的なサービスをビジネスの場面でも活用してみましょう。

ChatGPT:得意と不得意

ChatGPTは、テキスト分析、多言語対応、文章作成、アイデア創出、そして質問への迅速な回答に優れています。この特性により、中小企業の経営では情報の整理・分析、業務報告の自動化、マーケティング戦略のアイデア提供など様々な用途で活用可能です。一方、ChatGPTの能力は2021年までの情報に限定されており、最新情報の取得やキーワード検索が苦手です。文章作成は得意ですが、不正確な情報をもっともらしく回答することもあります。また、法的・医療的アドバイスの提供には適していません。個人情報や機密情報の取り扱いには注意が必要です。ChatGPTの得意分野と限界を理解した上で、さっそく質問を始めていきましょう。

ChatGPTの得意分野と限界

※執筆時現在、2021年9月以降の情報に対応していません。一方でbingは最新の情報にも対応しています。
※個人情報や機密情報を入力しないでください。
※チャット履歴の無効化とAIモデルの学習に利用しないという設定ができます。①ChatGPT画面左下の「…」ボタン>②「Settings」>③「Data controls」内の「Chat history & training」をオフで設定できます。

ChatGPTに質問を作ってもらう

ChatGPTの才能を引き出すためには、優れた質問をすることがポイントです。質問をうまく設計すれば、様々な重要情報を引き出すことが可能です。また、デジタルマーケティング戦略の最適化に有益ですし、効率的な運用につながります。ただ、その質問がなかなか浮かんできませんね。ChatGPTの優れているところは、その質問自体を出してくれるところです。

優れた質問を出してもらうための質問手順と活用方法を示します。

ChatGPTの質問手順

1.目的の明確化

何を解決したいのか、何を知りたいのかを明確にしましょう。まずは、問いの目的や種類を決めることが重要です。この段階では内容が漠然としていても構いません。

  • 例:「デジタルマーケティングの活用方法を知りたい」

2.質問の質問

ChatGPTに質問を作成させるための指示をします。

  • 例:「デジタルマーケティングを使ってビジネスを成功させるために、ChatGPTに対して何を質問すると良いか、最良の質問例を教えてください」

ChatGPTからは、「以下にいくつかの良い質問例を挙げてみましょう」「1.デジタルマーケティング戦略をどのように立案すべきですか? 2.ソーシャルメディアマーケティングの最新トレンドは何ですか? 3.オンライン広告キャンペーンを効果的に行うためのヒントは何ですか? 4.SEOを改善するための最善の戦略は何ですか? 5.コンテンツマーケティングをどのように最適化すべきですか?・・・」と質問案が出てきます。

3.質問の実行

得られた回答から目的に合った質問をします。質問をコピーペーストして新しいチャットを作って質問をしてもいいですし、番号を指定して続けて質問する事もできます。

  • 例:「5.コンテンツマーケティングをどのように最適化すべきですか?」=「5を実行してください」

そうするとChatGPTからは、「ターゲット顧客の理解、キーワードリサーチ、高品質なコンテンツの制作、コンテンツフォーマットの多様化、分析と改善」といった項目と説明文が示されます。

4.検証と再質問

ChatGPTは必ずしも最新や最も正確な情報を提供するとは限りません。ChatGPTが提供した情報の正確性を確認するためには、必要に応じて他の情報源を参照してください。より良い回答を得るためには、質問の条件を具体的に設定してみてください。別の角度からの質問も有効です。ChatGPTが提供した情報を基に新たな質問を設定することで、内容をさらに深く掘り下げることができます。

  • 例:「●●について詳しく教えてください」「具体例をステップごとに示してください」

より良い回答にするポイント

より良い回答を得るためのポイントをいくつか示します。ChatGPTの回答は、「Regenerate response」(回答の再生成)をクリックすることで複数得ることができます。得られたいくつかの回答の中から、いいとこ取りをすると良いでしょう。次に、質問そのものの主なポイントについて説明します。

役割を与える

ChatGPTに役割を与えて質問すると効果的です。なぜなら、ChatGPTはその役割に適した視点と知識で回答を生成するからです。

  • 例:「あなたはマーケティングの専門家です」「あなたは経営学部の教授です」
具体的にする

具体的な情報を入れると精度が高まります。ChatGPTはあなたが提供する情報からコンテクスト(背景や文脈)を理解し、それに基づいて回答を生成します。例で示した情報を加えることにより、そのコンテクストが明確になり、より適切な応答が可能になります。

  • 例: 業種、製品・サービスのジャンル、ターゲット情報、地理情報
回答を指定する

回答の内容や形式を指定するとその通りに回答します。リスト化したり要約したりしてくれるので、情報を理解しやすくなります。

  • 例:「小学生でもわかるようにわかりやすく」「100字で」「ステップごとに」「表形式で」「箇条書きで」
質問例

それでは、ここで質問例を出してみましょう。

あなたはデジタルマーケティングの専門家です。印刷会社が個人の顧客から注文を獲得するための具体的な方法を項目ごとに教えてください。

ChatGPTは、「デジタルマーケティングを活用し、印刷会社が個人の顧客から注文を獲得するための具体的な方法は以下の通りです」と回答し、「1.ウェブサイトの最適化、2.SEO対策、3.ソーシャルメディアマーケティング、4.コンテンツマーケティング、5.オンライン広告、6.Eメールマーケティング・・・」など、項目とその内容が回答されます。

もうおわかりになったと思います。ここから、各項目やそれぞれの内容について詳しく質問を掘り下げていけば、知りたい情報により近づくことができるでしょう。

コラムニストプロフィール

千種伸彰(ちぐさ・のぶあき)

プロデューサー/中小企業診断士
テレビ朝日 「ニュースステーション」、フジテレビ「スーパーニュース」「ニュースJAPAN」等制作。インターネット国際映画祭、商店街TVをはじめとする Web・動画・出版等のメディアプロデューサー。動画マーケティングを活用して企業や地域の活性化に取り組む。
著書『セルフキャスト!~ビジネスを加速させる動画配信』