前回はニーズが顕在化している層にアプローチする施策として、SEOと検索連動型広告があり、それらは「キーワード」の検索を用いたものであること、また「キーワード」は商品・サービスの特徴や差別化のポイントになっていることを示してきました。
今回は、キーワードの具体的な内容と調べ方をご説明いたします。
検索のニーズを知る
まず、ターゲットとそのニーズについて、どのような状況や気持ちなのか踏まえつつ、その表現は適切なのか検討したいところです。牛丼の例で言えば、「誰に」「何を」という中で、「安く」「素早く」「低価格」「美味しい」という要素を一例として挙げましたが、それらがどのような状況や気持ちから生じているのか知ることができるとベターです。
「牛丼」と検索する場面を考えてみましょう。
- 検索ワードの掛け合わせ例
他のワードと掛け合わせた複数の検索ワードで多いものでは、「牛丼 レシピ」「牛丼 カロリー」などがあります。この場合は、自宅で牛丼を作るのにそのレシピを知りたいという状況と、牛丼を食べるに際して食べたいけれどカロリーが気になるという気持ちが想定されます。
特定のワードを検索しているときは、何かについて調べたいというニーズがあってのことです。「キーワード」単体では検索結果が曖昧になるので、ユーザーは他の言葉を足して、複数掛け合わせて検索することがあります。つまり、そのキーワード群を見ることで、どのような趣旨・心理で検索しようとしているのか推測することが可能です。
より適切な検索結果を、少ない検索回数で出すために、検索エンジンは「サジェスト」とも呼ばれる提案ワードを出しています。例えば、検索枠に「牛丼」と入力したら、検索結果表示前に「牛丼レシピ」などと自動で追加候補を提案することが多くなっています。
そうした追加検索をするユーザーが多いことなどをもとに提案してくるため、実際にそうしたニーズがあると仮定して、ターゲットのニーズを把握していきましょう。
検索数のボリュームを知る
特徴・差別化のポイントについて、市場性があるのか、つまりどの程度のターゲットに受け入れられそうかも考える必要があります。市場調査や商圏分析以外に、下調べとして、その特徴・差別化のポイントとしての「キーワード」が、どの程度の回数検索にて調べられているのか、知ることもできます。
その業種に属していたら、感覚値で把握されているケースも多いとは思います。ただ、それを実際の数値として知ることができるとより客観的で、自信ももてるかと思います。
例えば
「紳士服」
「スーツ」
「メンズファッション」
とあった際に、どれが一番検索されていると思いますか。アパレル関連の業種の方でも、即答するのは難しいのではないでしょうか。
2021年後半から2022年前半にかけて日本におけるGoogleでの検索数では「スーツ」>「メンズファッション」>「紳士服」となっているようです。(月間平均検索ボリューム参考数値:スーツ301,000、メンズファッション165,000、紳士服60,500)
また、「メンズファッション」と掛け合わせた複数のワードで多く検索されていた上位は以下のようになっています。
- 掛け合わせワードの一例
なお、「メンズファッション 20代」の検索数は、「メンズファッション 30代」「メンズファッション 40代」の半分以下となっているようです。
こうした検索のニーズとボリューム数から、「誰に」「何を」という面での特徴・差別化ポイントをキーワードから、より深めることも可能な場合も多いでしょう。
これらの数値やワードは、「SEOキーワードツール」と呼ばれるもので知ることができます。無料のものも複数ありますので、一度使用されてみてもよいでしょう。
他の施策への展開
今回のテーマは「主に自社ウェブサイトで使用するキーワード」としてきましたが、顕在化したニーズなどを踏まえたキーワード設計とすることができれば、ウェブ関連施策だけではなく、チラシなどリアルの施策のキャッチコピーなどに展開したり、商品企画に活用することもできます。
さらに、印刷などで都度初期コストがかかるカタログ・チラシにおいて、どのようなキャッチコピーがよいのか、複数の案がある場合にも活用できます。具体的には、自社ウェブサイトにて複数の訴求ポイントを1か月ごとにランダムに出し分けて掲載し、その反応を比較して、最も効果の見込める案に絞り込む、等です。
当然ウェブサイトとチラシなどでの訴求のターゲットや状況が異なることは理解しておく必要がありますが、事前に案を比較して、数値を把握した上で、決定への判断材料とする会社もあります。
運用後も見直しを!
キーワード戦略について、設計面を中心にご説明してきましたが、ウェブサイトで公開・修正したあとも、ニーズやキーワードはタイミング・季節・トレンドによって当然変化していきます。
公開されて、運用開始した後も、市場は変化しいないのか、定期的にその適切さを確認して、ターゲットとキーワードを見定める必要があると言えます。少なくとも数ヶ月に1回はサイトの解析・振り返りをしつつ、キーワードの見直しをしていくことをおすすめいたします。