健康診断で再検査の案内を受け取り、
「行った方がいいとは思うけれど、今すぐでなくてもいいか」と、そのままになってしまった。
そんな経験はないでしょうか。
必要性は感じているものの、
検査内容がよく分からなかったり、忙しかったりして、決め切れないまま時間が過ぎていく。
そして特に困ったことが起きなければ、そのまま忘れてしまうこともあります。
お客様にも、同じことが起きています。
一度は問い合わせがあり、ニーズも確認できている。
それでも、何か引っかかる点があって検討が止まり、そのままになっているケースは少なくありません。
こうしたお客様は、決して関心がないわけではありません。
「情報はありそうだけど、なんだかよく分からないなぁ」
「どうやって決めたらいいんだろう」
と感じながら、判断のきっかけを探していることも多いのです。
マーケティングオートメーション(MA)ツールは、
こうした検討中のお客様に対して、
考える材料をそっと差し出すための仕組みです。必ずしもしつこい売り込みをする必要もないのです。
すでに持っている顧客情報を活かすことで、見逃していた商談のチャンスに、もう一度向き合うことができます。
検討が止まったままのお客様が、気づかないうちに増えている
一度は問い合わせがあり、話も進んだ。
ニーズも分かり、「あとはタイミングかな」というところまで来ていた。
それでも最終的な決断には至らず、そのまま連絡が途切れてしまう──。
こうしたお客様は、実は少なくありません。
営業の現場では、「今すぐ商談になりそうなお客様」への対応が優先されがちです。
その結果、検討中のお客様へのフォローは「また後で」「落ち着いたら」と後回しになり、気づけば時間だけが過ぎてしまいます。
しかし、検討が止まっているからといって、関心がなくなったわけではありません。
「情報はそろっていそうだけど、整理しきれていない」
「決める理由が、もう一歩足りない」
そんな状態で足踏みしているケースも多いのです。
特に問題が起きていなければ、こちらから連絡をしない限り、そのまま思い出されることもなくなってしまいます。
こうして、本来であれば商談につながっていたかもしれないお客様が、静かに検討を止めたままになっている。
それが、今、多くの現場で起きている実情です。
追いたくても追えない、営業側の2つの事情
検討が止まったままのお客様が生まれる背景には、営業担当者の怠慢や判断ミスがあるわけではありません。 多くの場合、「分かってはいるけれど、できない」事情が重なっています。 ここでは、現場でよく見られる2つの事情を整理します。
事情① しつこいと思われたくないという心理
営業の仕事にまじめに向き合っている人ほど、「何度も連絡したら迷惑ではないか」「売り込みだと思われたくない」という気持ちを強く持っています。
一度は話をした相手だからこそ、関係を壊したくない。
その思いから、次の連絡をためらってしまうことがあります。
特に、検討が止まっている理由がはっきりしない場合、「今はタイミングではないのかもしれない」「こちらから連絡するのは控えた方がよさそうだ」と判断しがちです。
その判断自体は、お客様を尊重した結果とも言えます。
しかしその一方で、お客様側は
「もう少し情報があれば決められるのに」
「比較のポイントを整理してほしい」
と感じていることも少なくありません。
営業側の“配慮”が、そのまま“沈黙”になってしまう。
ここに、最初のすれ違いが生まれます。
事情② 今すぐ客対応に追われ、後回しになってしまう現実いと思われたくないという心理
もう一つの事情は、単純に忙しいという現実です。
多くの中小企業では、営業担当者が複数の役割を兼ねています。
問い合わせ対応、商談、見積もり、社内調整……。
目の前の対応に追われる中で、「今すぐ商談になりそうなお客様」が最優先になるのは自然な流れです。
その結果、検討中のお客様へのフォローは
「落ち着いたら連絡しよう」
「来週にしよう」
と後回しにされがちになります。
そして時間が空けば空くほど、連絡する心理的ハードルは上がっていきます。
さらに、顧客情報が個人のメモやメールボックス、Excelなどに分散している場合、
「誰に、いつ、どんな話をしたか」を正確に思い出すこと自体が難しくなります。
そうなると、なおさら「今さら連絡してもいいのだろうか」と感じてしまいます。
2つの事情が重なることで起きていること
この2つの事情が重なると、どうなるでしょうか。
営業担当者は、「しつこくしたくない」という気持ちと、「今すぐ客を優先しなければならない」という現実の間で揺れ続けます。
その結果、検討中のお客様へのフォローは、意図せず後回しになってしまいます。
重要なのは、これは個人の問題ではなく、仕組みの問題だという点です。
誰かが悪いわけではありません。
追いたい気持ちはある。
必要性も分かっている。
それでも、判断や記憶に頼ったままでは、どうしても抜け漏れが生じてしまいます。
この状態を放置すると、
「本当は商談につながっていたかもしれないお客様」が、
何のきっかけもないまま、静かに検討を終えてしまうことになります。
だからこそ必要なのは、
「追うか、追わないか」を人の気分や忙しさに委ねない仕組みです。
次の章では、こうした営業側の負担や心理的ハードルを下げながら、
自然に次の一歩を後押しする考え方についてご紹介します
仕組みで支えることで、自然に「次の一歩」を後押しできる
検討が止まってしまう状況を変えるために必要なのは、営業担当者の気合や努力ではありません。
大切なのは、「人が毎回判断しなくても、適切なフォローが行われる仕組み」を用意することです。
検討中のお客様の中には、関心を失ったわけではない方もいらっしゃいます。
必要性は理解しているものの、情報が頭の中で整理しきれず、決め手が見つからないまま足踏みしている状態です。
このようなとき、よくイメージされるように、強い催促や押しの一手は、負担に感じられてしまうこともあります。
そこで有効なのが、「考える材料を整理して届ける」フォローです。
たとえば、見積や提案内容をお送りしたあと、5日間ほど動きがないお客様に対して、
「検討時によくあるご質問」
「比較の際に考えておきたいポイント」
といった情報を、改めて整理した形で届けます。
これらは、購入や契約を直接促すための連絡ではありません。
お客様が迷いやすい点や、判断の際に整理しておくとよい視点を提示することで、
「自分が引っかかっていたのはここだったのか」と気づいてもらうためのフォローです。
一方で、こうした情報提供の中で、自社の提案や導入メリットを改めて伝えることも重要です。
比較ポイントの整理や、よくある質問への回答を通じて、
「なぜこの提案が自社の状況に合っているのか」
「どの点が導入後のメリットにつながるのか」
を、押しつけではなく、判断の軸として再確認してもらうことができます。
これは、売り込みとは少し違います。
一方的に良さを伝えるのではなく、検討のための情報を整理する中で、自然に強みが伝わる形です。
その結果、お客様自身が納得感を持って、「ここにしよう」と腹を決めやすくなります。
マーケティングオートメーション(MA)ツールには、「シナリオメール」という機能があります。
「見積や提案を送ってから〇日後」「検討が止まってから一定期間後」といった状況をきっかけに、
あらかじめ用意したフォローや情報提供を自動で行うことができます。
そのため、メール配信・フォローを担う担当者の忙しさや「しつこいと思われないか」という不安のせいで配信を止めるということがなく、
営業活動をスマートに後押ししてくれます。
また、検討が進まない理由の中には、はっきり言葉にできない不安が残っているケースも少なくありません。
導入後の運用や、自社に本当に合うのかといった点が曖昧なままだと、判断は止まってしまいます。
そこで、導入前によく出る不安や疑問をあらかじめ整理し、
「不安に感じやすいポイント」
「導入前に確認しておきたいこと」
としてまとめた情報を、適切なタイミングで届けることも可能です。
不安が言語化されることで、「何となく引っかかっていた理由」が明確になり、
判断に必要な材料が少しずつそろっていきます。
こうしたフォローを営業担当者が一件ずつ判断して行うのは簡単ではありませんが、
MAツールを使ってルール化・自動化しておくことで、抜け漏れを防ぐことができます。

仕組みで支える営業は、決して冷たい対応ではありません。
無理に急がせることも、強く押すこともしない。
必要なときに、必要な情報とメリットを、整理された形で差し出すことで、
お客様の判断を尊重しながら、次の一歩を後押しする営業につながります。
すでに持っている顧客情報を活かし、検討が止まってしまったお客様に、そっと手を差し伸べる。
こうした仕組みを整えることで、これまで見逃していた商談のチャンスに、無理なく、もう一度向き合うことができます。
