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リード獲得に向けて 展示会で成功するためのデジタルマーケティング戦略

公開日:2024/10/11

石井邦利(いしい・くにとし)

多くの企業が展示会に参加されている一方で、展示会当日の準備に目が向くあまり、展示会に関連した告知やホームページの整備、展示会後のアフターフォローや次回引き継ぎ資料の作成まで、なかなか手が回らないという声をよく聞きます。
今回は、展示会前、当日、展示会後の3段階に分けて準備すべき点についてまとめます。

準備編:展示会前のデジタルマーケティングの基本

既に展示会への出展が決まっているという前提でお話を進めます。

1.具体的な目標設定

今回展示会に出展する際の目標を確認して、展示会準備に関わるメンバーで共有しましょう。
例えば、リードの獲得数、ブランド認知度の向上、特定の製品やサービスのプロモーションなど、具体的な目標を設定します。

2.ターゲット顧客を明確化

展示会には大企業から中堅、中小、小規模企業まで幅広いユーザーが参加されます。また、企業規模のほか、役員や部長といった決裁権限を持つユーザーの他、具体的に利用する担当者、業界への理解や研修的な目的で参加する新卒や3年目程度までの若手まで幅広いユーザーが存在します。
また、業種や業態などより具体的なターゲットのイメージがある場合もあるでしょう。
こういった内容をもとに、理想的な顧客像(ペルソナ)を設定し、ターゲットとなる顧客の業界、役職、ニーズや課題を明確にします。
また、市場調査を行い、ターゲット市場のトレンドや競合分析を行い、効果的なアプローチ先を決定します。

3.展示会のテーマとメッセージを決定する

展示会では、 一貫したメッセージを設定し、展示会に関わるメンバーで共有するほか、 展示会全体で一貫したブランドメッセージやテーマが伝わるよう、訴求内容をまとめていきましょう。

4.展示ブースのデザインとレイアウト作りを進める

ブースの位置から人の流れを予測し一番アピールしたい商品やサービスが目につくレイアウトを検討します。この際、動画や大きな造形物、商品のデモンストレーションのほか、自社の製品やサービスの特徴を端的に表すもので、手にとってもらえる物を展示することもおすすめです。興味を惹き、手にとってもらえれば、自然とその展示物を軸に話を展開することが可能です。
また、ブース制作を外注できる場合は、2や3で設定したターゲットやペルソナ、テーマとメッセージについて丁寧に共有することが大切です。

5.デジタルマーケティング戦略の準備を進める

具体的な展示内容が決まりましたら、ソーシャルメディアやメールマガジン、自社ホームページで展示会出展のお知らせを始めましょう。具体的な展示物や、会場にお越しいただくことで、来場者が得られるベネフィットを訴求すると効果的です。

6.コンテンツの準備

パンフレット、カタログ、サンプル、プロモーションビデオなどの準備をします。来場予測や目標数値をもとに必要部数を検討します。

7. スタッフのトレーニング

ブース担当スタッフの選定を行い、役割分担を行いましょう。
営業部やマーケティング部の他、企業によっては普段顧客に接しない事務スタッフが対応することもあるでしょう。スタッフごとに説明内容が異なったり、答えられない内容が多くなったりしないよう、事前にトレーニングを実施することも大切です。この際、ターゲット顧客かどうか1分程度で確認を行えるようなトークスクリプトを準備しておくと、効率よく対応することが可能となります。

8. リード獲得とフォローアップ計画の策定

名刺スキャナー、QRコード、リード収集フォームなどを準備し、訪問者情報を効率的に収集できるよう準備しましょう。特に名刺からメールアドレスを手打ちするのは時間もかかり、入力ミスが発生する可能性が高いため、名刺スキャナーなどがあると効率が上がります。
入力が早いほど、デジタルマーケティングでの対応も早くなります。

9.その他のチェック

社名や商品名でネット検索した際に、自社ページや自社商品ページが上位3位程度までに表示されるか確認しましょう。もし表示されない場合は、他社と被らず、上位表示が期待できる文言を検討し、「○○で検索」という形で配布ツールに記載してみましょう。
展示会当日や展示会後に備えて、写真や動画の撮影担当を決めるとともに機材の手配も実施しましょう。具体的な掲載場所や欲しいイメージについて検討しておくことも大切です。

当日編:展示会中のデジタルマーケティングの基本

展示会当日はブース設営、スタッフの配置と役割分担、訪問者対応など通常の展示会対応を進めるほか、デジタルマーケティングの視点での対応も準備しておきましょう。

写真や動画の撮影担当を中心にSNSやホームページに情報をアップしていきましょう。フォローメールを配信する時点で、ホームページやSNSに、展示会の内容が確認できるようにしておくことが大切です。
特に、当日展示会から帰社したユーザーが社名で検索を行い、ホームページにアクセスすることが考えられます。
このため、トップページのわかりやすい位置から、展示会出展ページや、展示会で紹介していた商品やサービスのページに遷移できるようにリンクを設定しておきましょう。

展示会後:展示会終了の達成感を感じつつも作業を進めましょう。

リードのフォローアップ

通常業務に加えて、展示会の準備から当日まで、やることも多く疲れていると思います。展示会当日や翌日はゆっくりしたくなりますが、ここで、獲得した名刺などのリードに対してお礼メールを随時送っていくことが大切です。
デジタルマーケティング担当者は名刺1枚獲得するのにいくらかかっているのか把握していると思います。1件のリード獲得にかかった費用と社内の手間について、営業担当と共有し大切な見込み顧客に素早く対応していきましょう。

コンテンツの活用

展示会に出品したサービスや商品について、展示会ページにまとめ、詳細ページにリンクを設定しましょう。また、展示会で撮影した写真や動画を編集し、プロモーション素材として活用するほか、直接ヒアリングできた声を製品サービスに対する顧客認識に沿って、説明文や画像をよりわかりやすく更新できないか検討してみましょう。

社内レビューと反省会

当日参加スタッフとともに展示会の総括をなるべく早いタイミングで行い、上手くいった点、課題、改善点を共有することが大切です。

引き継ぎ資料の整備

上手くいった点、課題、改善点について、資料としてまとめ次回の展示会に向けた手順書として蓄積していきましょう。

コラムニストプロフィール

石井邦利(いしい・くにとし)

東京都立飯田橋技術専門校卒業。中堅製版会社に就職後、人材系ベンチャー企業でのWebマスター、デジタルマーケティング新規事業部立ち上げ、大手人材会社での人材募集プロモーションなどに従事した後、フォレスト合同会社を設立。
Webや紙といったメディアを通したコミュニケーションによって、企業の魅力を伝え売上アップに繋げることを得意としている。モットーは、一時的なベストセラーよりロングセラーにつながるご支援。
職業訓練指導員免許(製版・印刷)、中小企業診断士