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メールマーケティングとは? メルマガとの違いや基礎知識とメリットを解説

公開日:2024/06/21

藤原哲史(ふじわら・さとし)

メールマーケティングとは、Eメールを用いて顧客とコミュニケーションを図り、最終的にはコンバージョン(お問い合わせの獲得や、購買)へと導く手法です。古くからデジタルマーケティングの手法の一つとして利用されており、BtoB事業では今なお重要で効果的な手法として活用されています。近年、個人のコミュニケーションではメッセンジャーアプリやSNSが広く利用されていますが、ビジネスの世界においては、社外の人とのコミュニケーションは未だにメールが主流な状況のためです。

メルマガとの違い

従来型のメルマガ(メールマガジン)もメールマーケティングの一種ですが、異なる点もあります。メルマガが、登録者全員に同じ内容のメールを一斉に配信し、「顧客に情報を提供する」ことを目的としているのに対し、メールマーケティングは、受信者の状況に合わせたメールを配信し、顧客の興味・関心を高めて、行動(お問い合わせや、購買)を促すことを目的としています。
画一的な情報提供が目的であれば、同一内容・一斉配信のメルマガで十分とは言えますが、メルマガ配信だけで顧客の態度変容を引き起こし、行動を促すということは難しいのではないでしょうか。実際の運用では、同一内容・一斉配信のメルマガに加えて、顧客の状況・反応に合わせたメールを組み合わせると効果が高くなります。

メールマーケティングの種類

メールマガジン

先ほども記したように、メルマガ(メールマガジン)とは、リストの全登録者を対象とし、役立つ情報やお得な情報を一斉配信します。メルマガは、売り込みばかりといったイメージもありますが、顧客視点に立ち、自社の製品・サービスの案内や新たなキャンペーンの紹介、業界のトレンドなどを配信し、顧客にメリットを感じてもらうことで成果につなげることができます。また継続的に情報提供していくことで、「○○」のことなら「◎◎」といった自社のブランド認知を促進することも重要な効果です。

セグメントメール

セグメントメールとは、一斉配信と異なり、配信対象の属性に応じてセグメント分けし、セグメントされた顧客の興味度合いに合わせた内容を送り分けるメールのことです。BtoCの商品・サービスなら、一般的に「年齢」「性別」「所得」などのデモグラフィック属性が用いられます。一方、BtoBの製品・サービスの場合は「企業規模・従業員数」「事業内容」「職種」「役職」などの属性で分けるほか、「見込顧客・名刺交換のみ」「見込顧客・見積提案あり」「既存顧客・リピーター」「既存顧客・休眠」など、顧客の状況と自社の関係性で分ける方法もあります。顧客セグメントごとのニーズを把握し、それぞれに適切な内容でメールを送り分けることで、一斉送信と比べ、開封率やコンバージョン率を高めることができます。

ステップメール

ステップメールとは、「資料ダウンロード」や「見積シミュレーション」などといった「あるアクション」を実行した顧客に対して、あらかじめ準備した複数のメールを段階的に配信するメールのことです。顧客のアクションに適合したコンテンツを複数回配信することで自社への信頼を少しずつ高めることができるといったメリットがあります。
文末で紹介する配信ツールを使えば、最初に設定したシナリオに基づき、ある程度自動的に送付することも可能です。

メールマーケティングの実施手順

目標設定

メールマーケティングで解決したい課題をもとに、目標を設定します。例えば「メールマーケティングからのお問い合わせを、月に○件獲得」といったKGI(重要目標達成指標)を設定し、その目標を達成するための中間指標となるKPI(重要業績評価指標)として、開封率や反応率を明確にしていきます。メールマーケティングでよく用いられるKPIについては、次節にまとめています。

配信リストの準備

配信リストが多いほど、効果が見えやすく、マーケティング施策が有効になります。そのため展示会や営業先で入手した名刺、自社サイトで資料ダウンロードやお問い合わせしてくれた顧客の情報などを集約し、配信できるリストを増やしていく必要があります。
一般的に「開封率20%程度」、「反応率10%程度」となるため、例えば500件に配信した場合、メールを開封してくれるのが100人、そのうちリンク先をクリックしてくれるのは10人となり、コンバージョンに至る人数はさらに減少します。実際に私の支援先でメールマーケティングの効果を出している企業は、1000〜5000件の配信リストを保有されている例が多いです。

コンテンツの作成

メールマーケティングで成果を出すには、コンテンツ(情報の中身)が重要になります。この場合のコンテンツには2種類あり、1つはメールの文面で、もう一つは、メールから送客するWebサイトの記事、動画、ダウンロード資料等になります。自社のWebサイトにコンテンツが充実していない場合、メール配信を実施する前にWebサイトのコンテンツを充実化させる必要があります。
また、メール文面(件名と本文)を考える際には、ターゲット顧客像を明確にし、顧客にとって有益な内容にする必要があります。

効果測定

メール配信後は、あらかじめ設定した目標をもとに各KPIを確認していきます。期待した結果が得られなかった場合は、改善点を洗い出し、次の配信に反映し、再び効果測定をして改善点を洗い出します。このように効果測定と改善策を繰り返すことでメールマーケティングの効果を高めていくことができます。

メールマーケティングの指標

開封率

開封率とは、相手先に届いたメールが開封された割合のことです。開封率が低ければ、メールが読んでくれた人が少ないということなので、反応(クリック)してくれる人も増えません。開封率を高めるためには、安心してメールを開封できるように差出人を明確にしたり、タイトルを工夫してメール閲覧のメリットを打ち出したりすることが必要になります。

不達率

不達率とは、配信したメールが相手先に届かなかった割合のことです。不達の理由はメールアドレスの間違いや廃止だけでなく、サーバーダウンの影響などがあります。存在しないアドレスを整理することにより、不達率を改善することができます。

反応率

反応率とは、開封されたメールのうち、メール文面に記載したリンク(URLやボタン、画像など)がクリックされた割合のことです。反応率が低いということは、メールの文面の内容やリンクボタンの配置などに問題があったと考えられます。反応率はコンバージョンの獲得に大きく影響するため、重要な指標になります。

クリック率

クリック率は、相手先に届いたメールがクリックされた割合のことです。上記の「開封率×反応率」がクリック率となります。

コンバージョン率

コンバージョン率とは、メールから送客(メール文面に記載したURL・ボタン・画像をクリックすることでWebサイトへアクセス)したユーザーのうち、問い合わせや購買などコンバージョンに至ったユーザーの割合のことです。
メールマーケティングでは、このコンバージョン率を高めることを目的に、タイトル、メール文面、遷移先ページといった一連の流れを改善することが重要になります。

配信停止率

配信停止率とは、相手先に届いたメールのうち、配信停止依頼(購読解除)された割合のことです。顧客ニーズに合わない内容が継続して届くと、配信停止依頼につながってしまいます。配信停止率を下げるためにも、ユーザーに寄り添ったコンテンツに改善する必要があります。

メールマーケティングのツール

先に述べた通り、メールマーケティングでは、メール配信したユーザーの開封率や、メール文面のURLやボタンのクリック率などを効果測定し、改善策を実施するサイクルを繰り返す形で運用します。しかし、普段の業務で使っているメーラーでは、これらの情報を取得できません。
そのためメールマーケティングでは、専用のメール配信ツールやMA(マーケティング・オートメーション)ツールなどを導入するのが一般的です。

メール配信ツール

メール配信ツールは、メールの一斉送信やセグメント配信ができるほか、配信先リストの管理も可能です。メール配信に特化しているため、シンプルで使いやすく、MAツールと比べると利用料も低額です。一方、メール配信に紐づいたアクションしか計測できない点がMAツールとの大きな違いです。

MA(マーケティング・オートメーション)ツール

MA(マーケティング・オートメーション)ツールは、メール配信に連動したアクションだけではなく、メール配信に紐づかない自社サイトへのアクセスやページ閲覧状況、コンバージョンまで一貫してユーザーの行動を分析することができます。ただし、多機能であるためメール配信ツールと比べ、運用コストが高額になります。

メールマーケティングは、ポイントをおさえて継続的に実施すれば、成果を期待できる手法です。単発的に成果をあげようとするのではなく、顧客理解をしっかりと行い、改善を繰り返しながら中長期的な視点で運用すると良いでしょう。

コラムニストプロフィール

藤原 哲史(ふじわら・さとし)

中小企業診断士、ITコーディネータ。出版社、広告代理店・制作会社にて企画・編集・制作業務に携わった後、2019年に株式会社クレビスを設立。現在、企業のマーケティングコミュニケーション活動(Webマーケティング、ブランディング、広告宣伝、販売促進、広報/PR)の戦略立案・実行・改善の支援に従事している。