デジタル施策の実務を担当する松田さん。公社のデジタルマーケティング導入スクールを受講し基礎知識を習得。アドバイザーのサポートによりMAツールや各種アクセス解析ツールを活用しながら、コンテンツ制作やメルマガ配信を行っている。
※写真 制作部 松田 啓太

ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)は2年目の企業。1年目は顧客の行動分析を中心に取り組み、アクセス解析ツールを用いて可視化できるまでになり、デジタルマーケティングにおける基盤を確立した。そして今年度、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用して顧客のニーズにきめ細やかに応えるべく、サイト内のコンテンツを深化させ目標の成約率を達成。
■本事業に申し込んだ背景■
成約につながる、ECサイトを運用するために
当社の主力事業は、包装資材や梱包資材製品の企画・製造・販売です。主にECサイトを通して全国から受注をいただいておりますが、サイトに流入してきたユーザーの行動分析が十分にできていませんでした。データ分析には苦手意識もありましたから、2023年度のハンズオン支援により、GA4(Googleアナリティクス4)、Googleサーチコンソール、ヒートマップツールなどを用いたアクセス解析とデータ分析の基礎を固めました。そして、より具体的な施策を学ぶため、2年目も継続して支援を受けています。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
MAとSFAツールを用いた顧客属性とニーズの細分化
お問い合わせから成約までの流れを最適化し、受注の増加につなげるには顧客への理解を深めることが何よりも重要です。そのためにAccount Engagement(CRM機能を備えたMAツール)やSFA(セールス・フォース・オートメーション:営業支援システム)ツールも導入したのですが、うまく使いこなせていませんでした。そこで、アドバイザーに指導いただきながら、まずは顧客情報を整理し、ご注文いただいた方が「新規顧客」か「リピーター」か、さらにリピーターの中でも「アップグレード希望」か「マイナーチェンジ希望」なのかといった顧客の属性およびニーズの細分化と、その管理に取り組みました。
カスタマージャーニーで各属性に刺さる情報発信
MAツール等の活用によって、顧客情報から行動履歴までを数値化・分析できるようになり、顧客属性ごとのカスタマージャーニーを明確に描けるようになりました。これにより受注の大半を占める既存顧客のみならず、見込み顧客も含めた各属性・各ステップに対して、ピンポイントで訴求できるコンテンツの作成が可能となりました。現在、コーポレートサイト内のコンテンツ強化に取り組んでいますが、狙いを定めて作成した記事は反響が大きく、さらにラッコキーワードも用いてのトレンドも加味したトピックは、検索エンジンで上位表示されるなどSEOの面からも手応えを感じています。

従業員の先頭に立ってデジタル施策を推進する小林社長。Webサイトの改修では自らコーディングを行い、いち早くMA・SFAツールなどを導入してきた。PDCAを回す社内体制が整ってきたのはハンズオン支援の大きな成果と話す。
■具体的な販路開拓への取り組み■
MAツールの有効活用で、さらなる顧客拡大を狙う
リード獲得に向けた新たな施策として、オーダーメイドでのパッケージ製作がはじめての方に向けた資料をダウンロードできるLP(ランディングページ)の運用を開始しました。この取り組みはAccount Engagementの機能を活用し、より細分化された顧客属性に合わせたコンテンツの拡充を図るための第一歩です。そのほか、MAツールをメルマガ配信に活用することで、「開封率」や「メール内リンクのクリック率」、「どのユーザーがどのコンテンツに反応しているのか」といった細かな情報が把握できるようになったことが大きな成果です。
基盤が整い、本格的なサイトリニューアルにも着手
今後はコーポレートサイトの本格的なリニューアルに着手し、さらなるコンテンツの拡充を図ります。特に注力しているのが、これまで蓄積してきた製作事例の分類と整理です。ここでもMAツール等が役立っていますが、ユーザーが見たい事例記事に素早く到達できるための効果的なタグ付けには苦戦しています。リニューアルに向けて、アドバイザーにはECとの棲み分けや商材の何をメインとして打ち出すかなどを一緒に整理いただいたほか、タグに最適な言葉選びなどについても助言をいただいているところです。アドバイザーからいただいた「ユーザー目線でのサイトづくり」というテーマをベースに取り組んでいきます。
実務を担当する松田さん(写真:中央)は、2024年5月からデジタルマーケティング推進チームに加わった。それまで各種ツールにはまったく触ったことがなかったというが、アドバイザーの伴走により今では日常的に使うまでになった。

■支援の感想と今後の展望■
コンテンツの質と共に、社員のモチベーションも向上
これまでは「成約率を上げる」という漠然とした目標を掲げ、感覚的なセールスプロモーションを行っていましたが、2年間のハンズオン支援により、潜在顧客を含めた顧客像を具体的にイメージできるようになったことで、コンテンツの質が向上し成果も出始めています。結果が出たことによって、社員のモチベーションも向上してきました。
お客様に寄り添い、目標の成約率を達成
デジタルマーケティングへの取り組みは「お客様に寄り添う」ため、これが当社の考え方です。そのためにはMA・SFAツールの活用は不可欠だと思っています。お客様一人ひとりの課題を理解し、最適な解決策を継続的に発信したことが目標の成約率達成につながりました。お客様に寄り添った「〝つつむ〟をつくる」を今後も体現していきます。
「ハイレベルな施策を実行・改善し、着実に業績を伸ばしています」

アドバイザー 石井 邦利
パッケージアートさんは、以前から内製にて制作・運用されている自社ECサイトにより、しっかり売り上げを立てているデジタルマーケティング上級者です。今年度は、MAツールやSFAツール、さらにAccount Engagementの使い方や具体的な活用術をアドバイスしたところ、スピード感を持って高いハードルを乗り越え、着実に成果を上げていきました。デジタル施策の取り組みにより、業績を伸ばしている企業の好例だと思います。定例の販促ミーティングなどデジタル施策が社内に波及している点も特徴です。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | パッケージアート株式会社 |
所在地 | 東京都足立区本木東町16-5 |
設立 | 1952年 |
事業内容 | 梱包・包装資材加工業 |
資本金 | 1,390万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。