支援がスタートした頃は「UI/UX」の意味すら分からなかったという澤村社長。アドバイザーの話す専門用語をミーティング後に調べながら、基礎から知識を習得していった。
※写真 代表取締役社長 澤村 幸夫
2023年度から公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を活用してデジタルマーケティングに取り組んでいる株式会社澤村商店。支援1年目は自社ブランド「東京封筒」のWebサイトを大幅改修、2年目はサイト内ブログなどのコンテンツを充実させた結果、アクセス数と問い合わせが増加し、新規顧客獲得を実現した。
■本事業に申し込んだ背景■
ターゲットを変更、ユーザーの悩みを解決するサイトへ
当社の事業は窓付き封筒を中心とした各種封筒の製造で、社名入りや紙・サイズ等を自由に選べるオーダーメイド封筒を得意としています。ペーパーレス化や主要取引先の減漸を受け、新規顧客開拓を目指して2023年度に本支援へ申し込みました。アドバイザーとともに自社ブランド「東京封筒」のWebサイトを解析したところ、ターゲット層ならびにUIのミスマッチを指摘され、大規模な改修に踏み切りました。ターゲットの変更やユーザー目線でのサイト構成・情報提供を意識してUI/UXの改善を行い、アドバイザーのサポートや協力的な制作会社とのご縁もあって、何とか2024年5月にリニューアルしました。
支援2年目はコンテンツ拡充による流入数拡大を目指す
支援1年目はサイト改修と並行してコンテンツマーケティングにも取り組みました。「封筒のことなら何でも分かる」をテーマにしたブログを目指して執筆しましたが、公開できた記事が3件のみとボリュームが不足していたため、アクセス数は月間数百程度と横ばいでした。アドバイザーからの「まずは1年間、継続して記事の投稿を続けましょう。そうすればSEOが向上してアクセス数の増加が期待できます」とのアドバイスで、今年度は「ブログ記事を月3本更新」、さらに「月間2,000PV」を目標に掲げました。
サイトの企画・デザインを担当する澤村のぞみさん。新たに設定したターゲット属性と一致していること、また自らイラストや漫画を描けることも同社の強みとなる。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
継続的なブログ更新とタイムリーな話題で実を結ぶ
そして、目標達成のためにブログ記事を増やしていきました。備品発注を担当する20~40代の女性をターゲットとしているので、漫画やイラストも活用して、封筒の種類やオーダー方法を分かりやすく伝える工夫も行っています。転機となったのは2024年10月でした。郵便料金の値上げに関する記事が反響を呼び、公開後ひと月も経たないうちに2万PVを超えました。注目度の高い話題だったこともありますが、これも地道に記事を更新してきた効果だと思います。このような成功体験が得られたことで、ブログ記事を継続するモチベーションがさらに高まりました。
ブランドサイト「東京封筒」のターゲットは、当初は60代の男性経営者としていたが、サイトリニューアルで備品発注を担当する事務職の20~40代女性に変更した。刷新したサイトではターゲットとなる女性が主人公の漫画も掲載されている。
■具体的な販路開拓への取り組み■
サイトリニューアル後もUI/UXを改善
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用しながら、リニューアル後もサイトのブラッシュアップを進めています。ユーザーがクリックしやすい位置に注文ボタンを移動し、注文ページには封筒サイズや紙色などの詳細を掲載したところ、離脱率が低下しました。このようなUI/UXの改善は、アクセス解析ツールを活用しながら引き続き行っていきます。
デジタルチラシ配信やリスティング広告
現在は病院や健診センター向けのデジタルチラシを作成しています。健康診断のお知らせや診断結果の通知には、今でも封書が利用されており、間違いなくニーズがある市場ですので、さまざまなアプローチを計画中です。
一方、リスティング広告についても、アドバイザーから「Web広告は継続することで学習データが蓄積し、成果が出やすくなっていくため続けた方が良い」との助言を受けていますので、低予算ではあるものの継続して実施していきます。現在、アクセス数の約8割を自然検索からの流入が占めているので、さらなるアクセス数の向上を目指し、エリアやユーザー属性を見直しつつリスティング広告も併用していく予定です。
■支援の感想と今後の展望■
今後は封筒の枠を超えた「包む」に挑戦
コンテンツマーケティングとWeb広告を継続した結果、Web経由の問い合わせを日に1~2件いただくようになったほか、特殊な封筒に関するご相談も大幅に増えています。例えばアクセサリーショップから商品パッケージ開発のお話もありました。既製封筒の需要は減少していますが、少量生産の特殊な封筒の需要は変わらずあり、お客様は対応できる委託先を探しているようです。当社は今後、「封筒を売るのではなく、紙で包むものを売る」というコンセプトのもと事業を拡大し、新たな顧客を獲得していきたいと考えています。
施策を信じ辛抱強く遂行した結果、想像以上の成果に
デジタルマーケティングに取り組んだ当初は、正直ここまで成果が出るとは思いませんでした。最初は半信半疑でしたが、アドバイザーの言葉を信じてさまざまな施策を続けてきた甲斐がありました。今年度の目標はすでに達成しましたので、来年度以降も、「東京封筒」の売上をさらに拡大させるためのデジタル施策に取り組んでいきます。
「サイトリニューアルは難航しましたが地道に改善を続け成果を出しました」
Webサイト改修が1年で終わらなかったので、2年目も伴走ができて本当に良かったと思っています。コンテンツマーケティングは継続が重要なので、更新を1年以上続けないと効果が出ないこともありますが、1つの記事がきっかけとなり想定より早く効果が出始めました。お二人が地道に取り組んできたことが花開いてほっとしています。来年度からの課題はPDCAを回す体制づくりです。制作会社を味方につけて、協力しながら取り組んでいただきたいと思います。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社澤村商店 |
所在地 | 東京都台東区今戸2-27-4 |
設立 | 1974年 |
事業内容 | 各種封筒の製造販売 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。