有限会社折田商会でデジタルマーケティングを担当しているのは、哲学堂靴修理店・折田康之店長。靴の修理歴55年の大ベテランである父・勝壽さんから技術を受け継ぎながら、デジタル面での販促強化に取り組んでいる。
高級靴を中心とした、靴や革製品の修理専門店『哲学堂靴修理店』。リモートワークの普及などで修理のニーズが落ち込み、経営環境は厳しさを増している。デジタルマーケティングに取り組み、既存の法人顧客や近隣のお客様に加えて遠方のお客様にもアプローチし、配送での修理依頼で売上の向上を目指す。
※写真 哲学堂靴修理店 店長 折田 康之
■本事業に申し込んだ背景■
修理ニーズの落ち込みにデジタルで対応
当社は1945年に創業しています。創業者(先々代)は靴職人で、注文靴を製造していました。父の代から靴の小売を始めましたが、大規模量販店が出てきたことから修理専門店にシフトして、銀座の高級靴店や百貨店と提携し、男性用高級靴の修理を手がけるようになりました。靴の製造が祖業ですから、高い技術力と充実した設備を持つことが強みです。
しかし、コロナ禍とリモートワークの影響により、外を歩く方が減り、靴の修理ニーズも減少しています。さらに近年の円安や世界情勢の変化により靴の価格が高騰しており、履かずにコレクションとして保管する方もいるぐらいです。修理材の価格も上がっていますが、修理代金にはなかなか転嫁できません。売上も利益も減少し、ここ数年は厳しい経営状況が続いています。この状況を打破するために、デジタルマーケティングを活用できないかと考えました。
遠方のお客様にアプローチし、配送修理を拡大
3~4年前に、制作会社に依頼してWebサイトを開設しました。その時点では明確な目的意識がなく、店舗や修理方法を紹介する比較的シンプルな構成でした。サイト経由のお問い合わせは月7~8件ほどありましたが、ほとんどが近隣にお住まいの方の来店を前提とした内容でした。サイト上では配送修理も受け付けているのですが、そちらの依頼は年に2件ほどです。
「近隣の方にアピールするだけでは、売上を大きく伸ばすのは難しい。これからは配送修理のお客様を増やすしかない」と考えていましたが、どうすれば配送修理を希望されるお客様にアプローチできるのかが分かりません。そんなとき、公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を知って申請しました。
■アドバイザーへの相談内容■
まずはWebサイトでの集客方法を相談
最初にご相談したのは、Webサイトでの集客方法です。まずは見てくれる方を増やしたい、そこから配送修理の新規依頼につなげたいと考えていました。大切な靴を安心してお送りいただくには、修理技術への信頼を得ることが重要です。その技術をどうやってアピールすればいいのかをお聞きしました。
解析ツールで判明した、意外なコンテンツ力
アドバイザーとは解析ツールを使って、当社のWebサイトのアクセス状況を一緒に分析しました。サイト全体の閲覧数は予想通り低かったものの、1件だけ閲覧数の多いページがありました。2年以上前に書いた『レッドウィングは修理可能』というブログ記事です。レッドウィングは、修理やカスタマイズを重ねることによって長く履けることが特徴のアメリカの靴ブランドです。検索ワードにも「ビブラム 4014」などソールの修理材の専門用語が上がっており、マニアックなユーザーにヒットしていることが分かりました。当時はSEOなども意識していませんでしたが、偶然にも検索されやすいキーワードが盛り込まれていたのです。
同じように、さまざまな高級靴ブランドの名前を入れた修理方法の紹介記事を多数アップすることで、サイトへの集客と技術力のアピールが可能になるとアドバイスをいただき、さっそくブログの執筆に取りかかりました。
■取り組みの方向性■
ブログの充実が集客につながる実感
2023年の6月から8月にかけて、ブランド名を入れた修理方法の紹介記事を数本アップしました。アドバイザーとアクセス解析を実施し、どの記事のどのようなキーワードが検索されているのかを確認しながら、次の記事に活かしています。
サイトの閲覧数はブログの内容が充実してきた7月からググっと伸びました。高級ブランドだけでなく、ユーザー数の多い人気ブランドのブログもアップしたことで、さらにサイト訪問者が増えています。来店されたお客様から「ブログを見て来ました」と言っていただけたのはうれしかったですね。反響を数字で見るだけでなく、自分の書いたブログ記事が目の前のお客様に響いていることを実感できました。
公社が主催するデジタルマーケティング導入スクールにも参加しました。SNSの活用法を学んだのでさっそく実践してみましたが、今のところ集客効果は出ていません。SNSでの集客は今後の課題です。
Webサイト改修で配送修理をアピール
現在、Webサイトを改修中です。ベースの構成はそのままですが、配送修理の専用ページを作ってお問い合わせや注文につなげたいと考えています。もちろん、ブログ記事は引き続き作成していく予定です。また、ソールなどの修理材を紹介するコンテンツも作成していきます。
サイトの改修が一段落したらリスティング広告の実施も考えています。解析ツールも活用し、効果を見ながらサイトを運用していくサイクルを作るのが2024年2月までの目標です。修理技術には自信があるので、一度試していただければ必ずリピートにつながると思います。コンテンツマーケティングの力で、全国にリピーターを増やしていきたいですね。
銀座の有名店が認める技術力をブログ記事で全国にアピール
店舗を訪問してまず驚いたのは、機械や設備が充実していることです。駅によくあるチェーン店とは方向性が異なる、職人気質の修理店だと感じました。実際に、銀座の高級靴店と長年提携されているなど技術力は折り紙付き。折田さんとお話していても、靴に関する深い知識に敬服しました。哲学堂靴修理店の技術力を全国にアピールできるよう、ブログ記事によるコンテンツマーケティングとWebサイトの改修をしっかりサポートしていきます。
※本記事は、2023年9月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 有限会社折田商会 |
所在地 | 東京都新宿区西落合2-15-11 |
創業 | 1945年 |
事業内容 | 靴の修理/革物補修 |
資本金 | 300万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。