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卸売業

事例集09:店舗とデジタルの良さを組み合わせ、新たな商品企画や海外展開も実現

2023/03/31

株式会社プライムロード

Q 貴社の事業について教えてください。

A

弊社は、老舗靴メーカーに勤めていた父が、1991年に独立して設立しました。イタリアの工房と提携してオリジナルの紳士靴を企画・製造し、百貨店に卸販売するのが主力事業です。設立当初の取引百貨店は1社だけでしたが、15年ほど前に父から経営を引き継ぎ、私の代から複数の百貨店との取引を開始。ちょうど自社ブランド「AristoPrimo」を立ち上げたこともあり、百貨店からの評価も上々でした。

「AristoPrimo」は私が企画を担当し、厳選した素材と伝統的な製法、繊細なデザインとリーズナブルな価格が魅力です。2019年までは、毎年2回はイタリアの工房を訪問し、職人と一緒に革の選定から仕上げの指定まで手がけていました。また、百貨店の紳士靴売り場には、当社の社員を販売・フィッティングスタッフとして派遣しています。お客様の声を直接ヒアリングし、商品企画に反映できるのも強みです。

※写真 代表取締役 高木 雄一郎

株式会社プライムロード 代表取締役 高木 雄一郎

Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。

A

アパレル業界でもECが伸びてきているのは認識していましたが、靴はフィッティングしたいお客様が多いため、店頭販売に注力していました。そのためECサイトどころか、自社のWebサイトすら持っていませんでした。ところが、2020年の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で百貨店が軒並み休業。イタリアの工房もコロナ禍の影響で大きなダメージを受け、事業は完全に停滞しました。

「このままでは経営が立ち行かなくなる」という危機感から、まずは製造の軸足をイタリアから国内に移す取り組みを開始しました。浅草のシューズブランド「RENDO」と提携し、コラボ商品「AristoPrimo by TeppeiYoshimi」を開発。素材の革も国内で鞣し加工したものを使用し、国内の製造会社とも関係を深め、高品質な商品をリーズナブルに展開できるよう尽力しました。

並行して、自社のWebサイトを制作し、大手ECモールにも出店しました。Web制作に関しては全く知識がなかったので、ネットで調べながら見よう見まねで進めました。

しかし、当然のことながら、ただWebサイトを作っただけでは売上への効果は全くありません。注文をいただくどころか、サイトを見てくれる人もほぼいない状況でした。途方に暮れていたところに、金融機関から「公社に相談してみては?」と助言をいただいたのです。公社に支援をお願いした主な内容は「ECサイトの売上を伸ばしたい」でした。

色鮮やかな革を使ったイタリア製、また職人の丁寧な仕事が光る日本製のオリジナルブランドなどを取扱っている。

Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?

A

自社サイトやECモールの現状について丁寧なヒアリングを行っていただき、SNSの活用やSEO対策、ネット広告への出稿など、多方面への具体的なアドバイスをいただきました。「そもそも紳士靴を買う方は、『紳士靴』というキーワードでは検索しない」という助言には、目から鱗が落ちました。すぐにSEOのターゲットキーワードを「革靴」などに変更しました。

アドバイザーとの定期的なミーティングに加え、各分野の専門家からプロのノウハウを聞く機会もありました。例えば、フォトグラファーの方から製品撮影のコツを教えていただき、魅力的な写真が撮影できるようになったことで、自社サイトやECモールの見栄えもぐっと良くなりました。

「高木さんは助言をすぐに取り入れてくれる。訪問前にメールした内容が、訪問した際には既に反映されていたのには驚きました」と、公社のアドバイザーは話す。

Q デジタルマーケティングの成果について教えてください。

A

Webページの改善とともに、Google広告の運用も開始し、半年ほどで売上は倍増しました。

2022年9月からは、日本でも有名なアメリカのシューズブランドとの提携も実現しました。Webのトップ画面にロゴやキャラクターを掲載することで、アイキャッチ効果が高まり、このブランドを入口にして「AristoPrimo」の魅力を知ってもらう機会も増えており、その効果も実感しています。

また、ECのお客様からのコメントやお気に入りボタンといった、商品のフィードバックを得られる機会が増えたことで、マーケティングの強化につながりました。さらに、百貨店の売上も回復傾向にあり、売り場の生の声をSNSの施策に活かす流れも確立できました。

靴のメンテナンスや補修も、簡単なものなら自社内で完結。オフィスには革用ミシンやシューツリーなどのメンテナンス用品が並んでいる。

Q 今後の展開について教えてください

A

日本製品を海外に販売する越境ECモールへの出店が決定しており、今後は海外市場も視野に入れたデジタルマーケティングを進めていきます。日本製の靴はクオリティが高いので、必ず世界中のユーザーに受け入れられると思います。

次に計画しているのは、靴のネットオーダー事業です。PCやスマートフォンの画面から色やデザインを選び、自分だけの1足ができるというものです。在庫を持たずに販売できるため、経営的にも大きなメリットがあるシステムです。生産体制を整え、できるだけ早く実現させる予定です。

また、今後は販売した靴に、お手入れ方法などをご紹介するチラシなどを同梱することで、製品により愛着を持っていただきたいと思っています。さらに2足目をECサイトでご購入いただける可能性も広がります。

SNSの強化や動画コンテンツの展開も考えていますが、まだまだ手が回っていないのが現状です。ネットオーダーのシステムが完成したら、ぜひ動画でもご紹介したいと思います。

代表取締役 高木 雄一郎

「対面販売のメリットを取り入れながら、今後もデジタルマーケティングを拡大していきます。」

企業情報

企業名株式会社プライムロード
所在地東京都北区王子本町1-15-20
設立1991年9月
事業内容紳士靴の輸入・企画・卸販売
資本金1000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません