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情報通信業

事例集08:パズルという魅力的なコンテンツを、デジタルの力で販促に活かす

2023/03/31

株式会社ニコリ

Q 貴社の事業について教えてください。

A

当社は1980年創刊のパズル総合誌『パズル通信ニコリ』などを発行するパズル専門の出版社です。創業者の一人の鍜治真起が命名した『数独』は当社の登録商標で、『SUDOKU』の名で世界中に親しまれています。自社の出版物だけでなく、大手新聞各紙や雑誌、会報誌など多数の媒体にパズル問題を提供しています。

※写真 取締役 荒井 奈緒

Q デジタルマーケティングに取り組んだのはいつ頃からですか?

A

2018年頃から広告・販促分野の展示会(リアル)に出展し、パズルが販促ツールとして注目を集め、大きな成果を得られました。そして、2020年のコロナ禍以降、リアルに代わってオンラインの展示会へ出展したのを機にデジタルマーケティングに取り組みました。新聞社など既存顧客への営業が中心でした。

当時、対面営業ができなかったため、Zoomでの商談を開始し、メディアレターにも資料を登録して、オンラインでのアプローチを試みました。

さらに2021年には、パズルASP『e-数独』をリリース。『e-数独』は、新聞のWeb版に掲載されるなど、Web媒体での有力な商材になりました。これがデジタルマーケティングを推進するきっかけとなりました。

社員にはパズルファンが多いという株式会社ニコリ。荒井さんも小学生の頃からパズル制作に熱中し、作品を投稿していたそうだ。

Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。

A

自社でのデジタルマーケティングを検証したところ、Web経由での新規のお問い合わせが少ないなど、多くの課題が見えてきました。また、IT業界の大規模展示会であるCEATECへの出展も控え、出展効果を最大化させる方法も知りたいと考えていました。

ちょうどその頃、公社のメールマガジンでオンライン活用型販路開拓支援事業を知って、2022年7月に専任アドバイザーとの面談がスタートしました。

ご相談した内容は「問い合わせ件数の向上」「CEATEC出展の成功」「検索ワード『数独』『ナンプレ』で検索上位に入る」です。特に『数独』は当社の登録商標であるにもかかわらず、検索すると他社のサイトが上位を占めている状況でした。

Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?

A

アドバイザーからはWebサイトのさまざまな改善策を助言していただきました。短期間での全面的なリニューアルは難しいため、まずは目前のCEATEC出展に向けた改修を実施しました。

最初のご指摘は、Webサイトに「CEATEC出展」の記載がないこと。展示会の参加者は、興味を持った企業を社名で検索するそうですが、展示会の明記がないとその企業かどうか分からなかったため、さっそく追記しました。

また、デジタル以前に根本的な営業姿勢が、いわゆる「待ちの営業」とのご指摘をいただきました。特定の業界からの問い合わせを増やすサイトの改修方法を相談した際、「ターゲットが分かっているなら、直接アプローチしましょう」と言われてハッとしました。

自らサブスクリプションサービスを注文してみて、届いた商品に冊子が入っていれば即アプローチする。「攻める営業」が板についてきた。

Q アドバイザーからの助言に基づいた取り組みについて教えてください。

A

当時のWebサイト設計は既存の読者向けの仕様になっており、法人への配慮が少なかったため、コンテンツに企業担当者が使いそうな検索ワードを盛り込み、トップ画面には誘導ボタンを追加しました。当社の特性を知る専任アドバイザーならではの視点とアドバイスだと思いました。

CEATECはオンラインとリアルの両方に出展したので、展示会準備期間、当日、展示会後について、チェックリストにしていただきました。当日の動きから展示会後の顧客管理まで助言をいただき、接点を持ったお客様へのお礼メールの情報を社内ドキュメントで管理・共有できるようにしました。

Q デジタルマーケティングの成果について教えてください。

A

Webサイト改修およびオンライン展示会出展の効果として、Web経由の問い合わせ数が前年比320%と、大幅に増加しました。以前は問い合わせページの階層が深く、発注確定のご連絡が大半でしたが、現在では新しい業界からの相談ベースのお問い合わせも多く、見込み顧客が増えたと感じています。

新規の見込み顧客は、「謎解き街歩き」イベントを開催する地域のイベント会社をはじめ、ポスティング会社など新しいジャンルにも増えています。

高齢者向けのイメージが強い『数独』だが、実際には家族みんなで楽しんでいる家庭が多いという。大手新聞社の読者アンケートでも人気コンテンツの上位を独占している。

Q 今後の展開について教えてください

A

現在、当社でリリースしているパズルの8割がWebに対応するものになっていますが、引き続きパズルASPのラインアップを拡大していきます。

また、オンライン展示会には今後も出展していく予定ですが、業界や地域などを絞り、より戦略的に出展していく方向を考えています。

課題も明確になっています。それはSNSの有効活用です。現在はパズルファンとの交流の場となっていますが、今後は企業向けのプロモーションにも役立てていきたいと考えています。

『数独』をはじめとする当社のパズルは、多くの人を熱中させる魅力的なコンテンツ。デジタルマーケティングで広く発信し、さらなる活用法を模索していきます。

企業情報

企業名株式会社ニコリ
所在地東京都中央区日本橋浜町3-36-5 日本橋浜町ビル3F
設立1983年1月
事業内容総合パズル専門誌「パズル通信ニコリ」および各種パズル書籍の発行/新聞・雑誌・販促物などに掲載するパズルの制作/パズルASPの提供
資本金1000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません