Q 貴社の事業について教えてください。
A
「巧技台」をはじめ、子ども向けの遊具を製造・販売しています。幼稚園・保育園の什器や教材を扱う専門商社と代理店を通じ、全国で導入いただいています。
巧技台はやや高額ですが、耐用年数が20~30年と長く、はしごやシーソーなどの追加パーツを少しずつ買い足していく幼稚園・保育園が多いです。ただし、卸販売なのでエンドユーザーの声を聞く機会はほとんどありませんでした。
※写真 事業企画部 渡邊 駿介
Q デジタルマーケティングに取り組んだのは いつ頃からですか?
A
かつては会社情報だけのシンプルなWebサイトでしたが、3年ほど前に、私が見よう見まねで巧技台の紹介ページを作ったところ、サイト経由でお問い合わせをいただくようになりました。さらにネット上でユーザーコミュニティを作ると、直接お客様の声を聞く機会も増え、ユーザーとの距離が縮まるデジタルマーケティングの可能性を強く感じました。しかし、当時は予算が取れず、プロの手が借りられないので私ひとりで手探りのまま進めていました。
Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。
A
少子化による園の減少とコロナ禍の影響もあり、受注状況も少しずつ厳しくなっていきました。さらに、2021年のウッドショック、翌年には鋳物価格が高騰し原材料費が跳ね上がり、販売価格を上げざるを得ませんでしたが、それも限界があります。原価率は高くなるいっぽうで深刻な状況になっていました。そんな時に金融機関から、公社のオンライン活用型販路開拓支援事業を聞き、すぐに相談しました。
Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?
A
ご相談したのは「デジタルを活用して自社製品の訴求力や付加価値を高める方法」でした。加えて、ユーザーとの関わりを持つ場としてもネットに期待していました。
まずはGoogleアナリティクスを使用し、アドバイザーとサイト来訪者の属性や検索ワードを分析していきました。その結果、大半が「巧技台 使い方」で検索し、アクセスは平日昼間に集中していることが分かりました。これらのデータから、幼稚園教諭や保育士の方々が業務中に検索していると推測できます。全国の保育士さんとのLINEグループでヒアリングした「園に昔からあるけれど、使い方が分からず倉庫にしまいっぱなし」という話とも合致します。
以前から、巧技台の使用方法の発信を考えていましたが、その方針が正しいことが数字で裏付けされました。使い方を知っていただくことで使用頻度が上がり、追加購入につなげることができるはずだと自信を持ちました。
Q デジタルマーケティングへの取り組みについて教えてください。
A
アドバイザーのおかげで社内の説得や予算の獲得にも成功し、自社サイトの全面改修に踏み切りました。Webデザイナーに依頼し、アドバイザーと3人で改修の方向性を検討し、使用目的に応じた製品の解説ページを設け、必要な情報に即座にアクセスできるよう目次の配置方法についても工夫しました。
SNSとの連携についても「Webサイトの分かりやすい内容をInstagramに掲載し、ユーザーに保存してもらえると、アカウントのエンゲージメント率が上がる」との助言をいただきました。忙しい園の保育士さんにとって、Instagramは手軽に閲覧できる便利なツールなので、当社にも園にも有効な施策となります。
Q デジタルマーケティングの成果について教えてください。
A
Webサイトの改修は進行中なので、定量的な成果はこれからですが、最大の成果はデジタルマーケティングに一歩踏み出せたことです。
当社は子ども向け遊具で50%のシェアを持つので、同業他社がほぼいません。誰にも相談できず、ずっと暗闇をひとりで歩いているようでした。アドバイザーには自分の進む道は間違っていないと背中を押していただきました。
また、予算獲得のプレゼンでは強力な味方となってくれました。交流のある老舗企業の後継者は、皆さんデジタルマーケティングの導入に苦労されているようです。公的機関のお墨付きがあれば社内への説得もしやすくなるので、公社の支援をお勧めしています。
Q 今後の展開について教えてください
A
リニューアルしたサイトの公開後は、Web解析ツールで反応を見ながらこまめに更新していく予定です。ゆくゆくは「サイトで直販もできたら」と思っています。
さらに、ユーザーの声をもとに、新規事業にも取り組んでいます。巧技台の遊び方をレクチャーする、一般の親子向けの教室です。業務で大変な保育現場の先生方に「巧技台を使ってください」とただお願いするのは、メーカーとして無責任で心苦しく感じていました。
今後は子どもと直接関わって、自社製品の魅力を伝えていきます。子供の遊び場が減るなか、地域貢献にもなるのではないでしょうか。
ただ、自社の教室だけでは影響力は限られるので、この取り組みをデジタルで発信し、多くの方に知っていただきたいと考えています。
「公社の支援でデジタルマーケティングに踏み切り、新商品開発や新事業創出にもチャレンジできました。」
企業情報
企業名 | オオニシ体育株式会社 |
所在地 | 東京都豊島区南長崎3-38-10 |
設立 | 1957年12月 |
事業内容 | 体育用品・体育施設・遊園地等の設計・制作・施工、遊具の開発・製造・販売等 |
資本金 | 2300万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません