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製造業

事例集03:ものづくりの面白さを、デジタルでもっと多くの人に届けたい

2023/03/31

株式会社アレグロ

Q 貴社の事業について教えてください。

A

当社はキャラクターの立像や着ぐるみ、舞台美術などさまざまな立体物を「造形」しています。営業専任の社員はいないので、クリエイターが受注や見積りも担当します。以前は、積極的な販路開拓はしなくてもお客様からの発注があり、特にそれ以上の販路開拓は考えていませんでした。

デジタルマーケティングに関しては、10年ほど前に社員が自社サイトを制作したのが始まりです。手がけた作品の写真を集めたシンプルな造りでしたが、サイト経由の問い合わせが週1件はあり、インターネットの力は感じていました。その後Twitterも始めましたが、その運営は総務の社員が兼任し、ツイート頻度もさほど多くありませんでした。

※写真 代表取締役 成本 亮

Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。

A

2020年、コロナ禍でプロモーションやイベントが軒並み中止になり、新規のご依頼や問い合わせが激減し、経営状況が一変します。ずっと受け身の営業だったので、販路を開拓する方法が分かりませんでした。ただし、「潜在ニーズは間違いなくある」という確信はありました。

取引のあった金融機関から公社の支援を教えていただいたのは、ちょうどその頃です。デジタルマーケティングのプロから直接アドバイスをいただけると聞き支援を申し込みました。

人気アニメ映画やゲームなどのキャラクターが並ぶ工房。クリエイターは細部にまでこだわり仕上げていく。

Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?

A

ご相談したのは、SNSを中心としたデジタルマーケティング全般のスキルアップと、持続可能な社会を目指すSDGs経営を参考にしたブランディングです。

まずSNSについては、Web解析ツールを使ったTwitterの分析からスタートしました。専門家に見るべき数値や改善方法を教えていただき、解析データに基づき投稿内容をブラッシュアップしました。そして、制作過程や当社が造形物を提供したイベントに関するツイートを増やすことにしました。

SDGsを参考にしたブランディングについては、これまで「もの創りひと創り」を理念とした工作教室や就労支援を実施してきた経緯がありますので、この取り組みを広く発信することを考えました。

アドバイザーは大手メディアで報道に関わっていた方で「メディアが扱いたいテーマでプレスリリースを作成すると取り上げてもらいやすい」などの助言をいただきましたので、それを地道に実践していきました。

47名の社員は全員がクリエイター。代表の成本さんも現場に立って造形を手がけている。

Q デジタルマーケティングへの取り組みについて教えてください。

A

数値目標は設けず、まずは担当者の意識づけと方向性の共有からスタートしました。弊社の体制は、Webサイト担当、SNS担当、そして私の3名。いずれも通常業務との兼任です。

最初は私とアドバイザー、金融機関のご担当者で打ち合わせを行いました。当社の事業や制作方法をご説明の後、製品の名称やカテゴリー分けについてブレストしながら方向性を深めていきました。「造形」と言っても手がける範囲は広汎ですし、「フィギュア」や「立像」といった一般名称だけでは私たちの制作物を正確に言い表すことはできません。そこで、私たちで新しい名称を考え、それを流通させようという話になりました。言葉が流通することで弊社の独自性も認知され、SEO対策の効果も上がると考えたのです。

また、顧客のペルソナ設定も重要とのこと。Webメディアでは「広く浅く」の発信になりがちなので、顧客が何を求めているのか、どうすれば発注につながるのかを意識しました。SNSやWebサイトに制作実例を掲載すると効果的なのは知っていましたが、当社の制作物はお客様が版権を持っているため公表できないものも少なくありません。そこで、先方に公開可能かの確認をし、週1回の社内制作物報告会で結果を共有することで制作実例を増やしていきました。

Q デジタルマーケティングの成果について教えてください。

A

定量的な効果測定はしていませんが、Webサイトからのお問い合わせは体感で2~3倍に増えました。一番の成果は担当者の意識変革です。特に総務と兼任のSNS担当者は初めて解析データを見た際、世界中に自分のツイートが届いていることを実感し、姿勢が大きく変わりました。ツイート数は2~3割増加し、内容もより効果を意識したものに変わっていきました。SNS以外の広報にも積極的になり、意見を出してくれるようになったのは大きな成果です。

工作教室でものづくりに興味を持ち、「将来はアレグロに入社してクリエイターになりたい」というお子さんもいるという。

Q 今後の展開について教えてください

A

WebサイトやSNSのほか、ブログやメールマガジンのコンテンツを充実させていく予定です。社内には各分野のプロがいるので、マニアックなネタも出せそうです。テーマやコンセプトを絞り込み、企画を立てていきたいと思います。

造形ではAR・VRを取り入れ始め、ご来社が難しい遠隔地や海外のお客様でも制作物をリアルに体感してもらうことが可能になっていますので、オンラインで積極的に発信していきたいと考えています。

2023年5月に開催を予定している工作教室は、プレスリリースを発行し、この取り組みを地域のメディアに取り上げてもらうのが目標です。私たちの工作教室がものづくりのきっかけとなり、次世代のクリエイターを生み出す一助になれば幸いです。

弊社が大切にしている「ものづくりの面白さ」と「ユーモア」を、Webメディアで多くの方に知っていただきたいと思います。

企業情報

企業名株式会社アレグロ
所在地東京都豊島区池袋3-16-13
設立1991年
事業内容立体造型物の企画・デザイン・制作/イベント等の企画・デザイン・施工/各種キャラクター着ぐるみ製作
資本金1000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません