• トップ
  • 企業事例
  • 事例集01:M&Aで引き継いだ企業を、デジタルマーケティングで歴代最高益に転換
製造業

事例集01:M&Aで引き継いだ企業を、デジタルマーケティングで歴代最高益に転換

2023/03/31

アイゼック株式会社

Q 貴社の事業について教えてください。

A

2004年に設立、2019年に創業者からM&Aで事業承継しました。約1年間は創業者から知識やスキルを学びながら一緒に事業を進め、その後は私が単独で経営しています。

主力事業は監視カメラやレコーダー、映像伝送装置といった映像関連機器の販売・サポートです。機器は海外のメーカーから仕入れており、当社では動作検証とソフトウェアのローカライズのほか、インターネットを活用した遠隔カメラ監視システムの開発を手がけています。取引先は電気工事業が中心です。

※写真 代表取締役 中村 龍一

Q いつ頃からデジタルマーケティングに取り組んでいましたか?

A

以前は電話帳で電気工事業の会社を探してアポイントを取り、訪問営業していたそうです。私は早い段階からデジタルマーケティングを取り入れたかったのですが、引き継ぎ中は新しい営業展開に踏み切れませんでした。

しかし、対面の営業はコロナ禍の影響が大きく、2020年の売上は前年比30%ダウン。このままでは赤字に転落する状況でした。2020年11月に私が経営の全権を引き継ぎ、すぐにデジタルマーケティングを開始。まずは自社のWebサイトを刷新し、それまでは電話でサポートしていた内容をQ&Aにまとめて掲載しました。さらにWeb広告を出稿し、ランディングページも作成。既存の取引先からは「機器の扱いで分からないことがあっても、いちいち電話せずに済むようになった」と好評をいただきました。新規のお問い合わせも増え、利益も設立以来最高額に達し、デジタルマーケティングの効果を実感しました。

主力製品の監視カメラ。技術者による製品導入後の手厚いサポートが強みだ。

Q 公社に相談した経緯と内容を教えてください。

A

デジタルマーケティングの開始時は、大幅な売上拡大に成功しましたが、その後は伸びが緩やかになっていきました。私もマーケティングとは無縁の業種出身で、手探りの状態でしたので、専門的なアドバイスを求め、2022年6月、公社に相談しました。

ハンズオン支援での主な相談内容は、自己流で取り組んできたデジタルマーケティングの改善方法です。新規顧客の伸び悩みに加え、取引先との関係強化も大きな課題でした。

Q 専任アドバイザーによるハンズオン支援は、どのようなものでしたか?

A

アドバイザーとはオンラインで面談し、状況を詳しくヒアリングしていただいた後、打ち合わせを行いながら、課題と具体的な解決策が書かれたマインドマップを作成しました。「新規顧客開拓」「顧客関係強化」策に加え、目下の大目標「シナジーを活かした新規事業」に向けた行動指針と行動内容がすべて網羅されているので、現在もこのマップをベースにして仕事を進めています。

新規顧客の開拓策については、既に動いていたので、ブラッシュアップのための具体的な助言をいただきました。例えば、「Webサイトの製品ページには、活用事例も掲載することで製品への理解が深められる」「ランディングページにはよくある質問とともに、検証用の貸出機がある旨を明記する」「問い合わせボタンを追加することで、よりコンバージョンを高められる」など、専門家ならではのアドバイスをいただきました。

顧客関係強化策に関しては、それまで蓄積していた顧客データの活用法についてのアドバイスが印象的でした。お客様とのメールはすべてデータベース化していたのですが、さらに、RFM分析(直近の購入日・購入頻度・購入金額を基に顧客を分析・分類)への取り組み方法を教えていただきました。これは非常に効果的でした。

公社のアドバイザーとは主にオンラインで面談。併せてオフィスでのミーティングも行い、実際の画面を見ながら具体的な助言を聞く機会もあった。

Q デジタルマーケティングの成果について教えてください。

A

アドバイザーからの助言を実行した結果、2022年度は映像伝送装置の販売先・売上ともに前年度比50~60%増の見込みです。

お客様の業種が広がったのも成果の一つです。新規で通信業界や放送業界との取引が生まれ、低迷していた映像伝送装置の売上が一気に伸びました。また、製造業では工場やプラントの遠隔監視に当社の製品やシステムを導入いただけるようになりました。思わぬ業界からお問い合わせをいただくことで、さらに次の展望も見えてきました。

監視カメラ、レコーダーに次ぐ売上の柱にしたいと考えているのが映像伝送装置。前年の売上構成比率は1~2%から20%まで拡大した。

Q 今後の展開について教えてください

A

マインドマップの達成率は現在40%ほどで、やるべきことは山積みです。本来なら今頃はECサイトを制作している計画だったのですが、新規事業で手が回らなくなってしまいました。

新規事業は知人の依頼でスタートした、アメフト専用ギアバッグの製造・販売です。日本ではギアバッグの種類が少ないため、確かなニーズを見込んでいます。こちらのECサイトは既に制作済みで、今後はこのノウハウを主力事業のECサイトにも活かし、映像機器を一般ユーザー向けに展開する予定です。

監視カメラ、レコーダーなどの一般ユーザーへの展開には、製品を自分でセットアップできるサポートが必要です。そのため、Webサイト内のオンラインマニュアルを充実させるほか、動画コンテンツでも機器の設定方法を解説していきます。さらにSNSの活用も考えています。SNSは新規顧客を開拓するというより、既存顧客の利便性と安心感の向上を目的に情報を発信していきます。今後もマインドマップをベースに、デジタルマーケティングを推進します。

創業者の技術とノウハウを受け継ぎ、時代に合わせてアップデート。今の時代に必要なマーケティングを進めていきます。

企業情報

企業名アイゼック株式会社
所在地東京都府中市美好町3丁目15-30(令和5年6月移転)
設立2004年10月
事業内容映像関連装置の開発販売
資本金400万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません