Q 事業の概要を教えてください
A
主な事業は非鉄金属素材の販売と加工です。
非鉄というのは鉄以外の金属、一般的には銅、アルミ、ニッケル、錫などを指します。これらの素材販売に加えて、圧延品という加工品の販売も行っています。身近なものはアルミ製の窓枠ですが、弊社の製品は新幹線などの鉄道車輌や駅のホームドア、釣りに使われるリールなどにも採用いただいています。
もう1つの事業は自然採光事業です。弊社では自然光を室内照明として使うシステムの開発・受託・設計・施工を行っています。
非鉄金属は、あらゆる場面で使用されていますので、もちろん一定の市場規模はあるのですが、近年では量産基地が中国やアジアなどの海外に拠点を移しています。また、世界規模での総需要は増えていますが、日本国内での非鉄素材の消費は徐々に減ってきているのです。大手メーカーであれば海外に拠点を移すという選択もありますが、中小企業では簡単にはできることではありません。弊社は日本でビジネスを続けることを選択しました。
そこで始めたのが、自然採光事業です。弊社がドイツから輸入している特殊なアルミニウム素材があるのですが、これが光のキーデバイスになることがわかりました。そこで自然採光事業部を立ち上げたのです。
※写真 自然採光事業部 小出寛子
Q オンラインを活用した販路開拓を検討したきっかけは?
A
弊社では、ホームページの作成も運営も自社で行っています。当初はSEO対策やリスティング広告などには無頓着だったので、お客様が検索してホームページにたどり着き、問い合わせしてもらうのを待っている状況だったのです。
それでもアクセス数はかなり多かったと思います。理由はいくつか考えられますが、1つは取り扱っている素材の特性です。ドイツの素材は、通常はサンプルを取り寄せるのに時間も手間もかかりますが、弊社はサンプルのストックが豊富なので直ぐに対応できるのです。そのことを知っている顧客のご紹介などが多いため、アクセス数やお問い合わせが多かったのだと思います。
もう1つは、自然採光事業部の存在です。特にここ数年は、SDGsが浸透してきたこともあり、マスコミでも自然採光が取り上げられるようになりました。その影響もあって、自然採光事業部はホームページからダイレクトに受注につながることが、圧倒的に増えたのです。
そこで、お客様からの問い合わせを待つのではなく、こちらからアプローチできないかと考え、オンラインを活用したPRに力を入れ始めました。まずはリスティング広告とメールマガジンの配信に取り組みましたが、自分たちのやり方で成果が出ているのかがわかりません。そんなとき公社の支援事業を知り応募しました。
Q 公社から支援を受け、どんなことに取り組んだのですか
A
実は公社からの支援を受ける少し前に、「ホームページ・広告チーム」を立ち上げて活動をしていました。自然採光事業部と工業製品事業部、それぞれの部署で対面営業をする者、ホームページの運営やアクセス解析を行う者、部署を横断したメンバーで構成された6人のチームです。できたばかりのチームで手探り状態というのが現実でしたから、まず何から始めれば良いのかを相談しました。
アドバイスいただいたのは、具体的なゴールの設定です。そこでメンバー全員で話し合い、チーム活動の年度目標として「潜在顧客へのアプローチと顧客にファンになってもらうコンテンツの作成」を掲げました。
「潜在顧客へのアプローチ」としてはリスティング広告とSEO対策です。リスティング広告には取り組んでいましたが、SEO対策は行っておらず知識も未熟だったので、基礎から具体的に教えていただきました。まず、「顧客にファンになってもらうコンテンツの作成」を目的に、ホームページの改善とメールマガジンの配信に取り組みました。今までのホームページには製品紹介のコンテンツはありましたが、興味を引くトピックのようなページがありませんでした。そこで時事ネタをテーマにしたブログページを立ち上げることにしたのです。アドバイザーの方にはテーマ選定の提案から話題の膨らませ方まで、多くのヒントや助言をいただきました。
Q 今回の取り組みによる成果を教えてください
A
新たに作成したブログ記事は、お客様が検索した際のランディングページにもなります。今回の支援では、記事の構成やキーワードの選定、SEOを意識した文章の書き方など、ランディングページの作成方法を一通り学ぶことができました。すぐに問い合わせが増えるなどの目に見える成果はまだありませんが、自然採光事業のホームページからダウンロードできる採光システム、「光ダクト」の参考図のタウンロード数は確実に増えています。アクセス解析の方法も教わったので、作成した記事の改善と新しい記事の作成を繰り返し、成果につなげたいと思います。
また、今回の支援では、「お客様の目線を意識すること」を学びました。自分たちが出したい情報は、本当にお客様が求めている情報なのか。そのマッチングが重要なのです。この考え方はホームページの作成やオンライン広告だけでなく、さまざまな場面で活かすことができると感じています。今回は「ホームページ・広告チーム」の6人で取り組んだわけですが、作った側の目線ではなく、閲覧する側の目線でお互いの事業部のホームページを見ることができるようになりました。それも成果の1つだと思います。
企業情報
企業名 | 株式会社マテリアルハウス |
所在地 | 東京都大田区仲池上1-19-3 |
設立 | 1951年5月 |
事業内容 | 非鉄金属材料及び、同加工品販売 自然採光システムの開発・受託・設計・施工 |
資本金 | 2,725万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません