工場でのプレス金型製作・プレス加工から商談までを担う岩井保王社長(写真:真ん中)、Webサイトのコンテンツや提案資料などの文章作成、マネジメントを担当する岩井光恵取締役(写真:左)、Web実装やクリエイティブ制作、提案資料の構成・制作などを担う岩井香野子さん(写真:右)。チーム連携により内製でのデジタル施策推進・営業効率改善を実現。
※写真 代表取締役 岩井 保王(写真:真ん中)

金属製品のプレス加工と金型製作を手がける有限会社岩井金属金型製作所。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)の1年目は、SEO・MEO対策により問い合わせ・成約が大幅に向上。2年目は長く付き合えるお客様の獲得を目指し、SEO深化とペルソナ分析を実施。Webコンテンツ拡充による受注確度向上と生成AI導入による営業効率化を実現し、デジタルでの販路開拓を通して「人」の価値を再発見した。
■本事業に申し込んだ背景■
苦境を好機に、SEOでWebサイトを集客ツールへ
昨今の当業界は景況悪化や廃業増加、量産需要の減少と厳しい環境にある一方で、高度な技術・製品に対応できる加工業者への需要は拡大しています。これをチャンスと捉えて挑んだハンズオン支援1年目は、SEOを軸にWebサイトを全面的に見直し、WordPressの操作を習得して自社で改修を重ねました。検索意図に基づくキーワード選定や階層整理・ツリー構造化により、検索順位が向上し、全国から問い合わせが増加。受注数も格段に伸び、営業部隊を持たない当社にとって、「名刺代わり」だったWebサイトを「集客ツール」へ昇華できたことは大きな成果となりました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
SEO深化で裾野を拡げた後、長く付き合えるお客様を獲得する戦略
「デジタルでの販路開拓をやり切り、『人』にしかできない領域を見極めたい」と考え、2年目も支援を申請しました。「長く付き合えるお客様の増加」を目標に、価格ではなく当社の技術・強みを正しく評価してくれる顧客を増やす方針です。引き続きSEOを軸に、伸びしろのあるキーワードのコンテンツ強化、内部リンク最適化などの導線改善、視認性の高いクリエイティブへの刷新を実施し、流入数・ユーザビリティ・SEO評価を向上させました。あえてターゲットは絞らず、幅広くリードを獲得した後、受注につなげていく戦略です。実際に<矢打ち加工>の検索順位は6位から1位になるなど、成果も表れています。
■具体的な販路開拓への取り組み■
課題解決を求める顧客に、Webで「選ばれる」を訴求
ある程度顧客データが集まった段階で、ペルソナとカスタマージャーニーを分析していきました。ターゲットは技術的課題を抱え、品質や生産性向上、現状打破を求めている製造業の担当者を想定。単なる外注先・代替先ではなく、一歩踏み込んだ技術提案によって付加価値を提供し、選ばれる存在を目指します。既存顧客をモデルに、企業規模、担当者の役職・決裁権の有無、新規か転注かまでを具体化し、信頼関係を基に「共に高め合える」お客様像に向けた訴求をサイト展開しました。
Webでの情報開示による信頼醸成と商談効率化
アドバイザーの助言を受け、商談でよくある質問をFAQとして記載、開示可能な実績も掲載したほか、試作・開発でこれまでよくご相談のあった内容を大きく3種にまとめ、そこに自社の実績・強みをプラスした提案書も閲覧専用で公開しました。これによりサイト内だけで情報を多く取得できるようになり、次のお問い合わせ・商談へのステップが低くなったことで、こちらの想定を超えた地域や業界のお客様からの受注に成功。受注までの関係構築やニーズ把握のスピードも大幅に改善しています。今後は会社パンフレットのダウンロード導線を整備し、さらなる信頼醸成・営業効率化を図る予定です。
生成AIの使い分けで顧客別の提案資料作成を効率化
お客様の困りごとをもっと深く知る必要があると判断した際には、私が商談に出向き提案資料をお渡ししています。さらなる営業力向上を求めてBtoB営業の専門家派遣を利用し、お客様の困りごとを的確に捉え提案に盛り込む手法も学びました。この課題抽出や業界分析には「Google NotebookLM」、資料作成には「Gamma」を、図解制作には「Napkin AI」を用いています。従来は情報を一つずつ確認し、資料も一から作成していましたが、生成AIを導入したことで情報収集・整理・出力が劇的に改善、受注率も格段に向上しています。
「生成AIをはじめとするデジタル技術は、自社の考えやコンセプトを軸に、『道具』として補助的に使うことが大切です。デジタルマーケティングの基礎を理解し、顧客視点に立ってこそ真価を発揮すると考えています」と岩井社長。

■支援の感想と今後の展望■
アドバイザーの支援がデジタルへの抵抗や不安を払拭
アドバイザーの伴走により、最も変化したことはデジタルに対する考え方です。例えば抵抗感や懐疑心が強かった生成AIは、アドバイザーから当社に合ったツール選定と安全・効率的な使い方の助言を受けたことで、元となる情報を与えれば専門性の高い領域でも実務に活かせるものだと認識を改めました。また、漠然とした不安から敬遠していたMEOも、考え方や対処法まで示してもらえたことで不安が解消。支援を通じて、デジタルは「分からない、怖いもの」から「理解し、使いこなす道具」へ変化し、その習得は大きな財産となりました。
古いプレス機械に関するブログ記事から問い合わせが生まれた経験から、Webはニッチな情報でも確実に届くことを実感したという。2年間、SEOのいろはから応用的な施策までをアドバイザーと共に積み重ね、全社員が力を合わせ成果につなげていった。

デジタルをやり切った先に見えた「人」の価値
この2年でお客様は地域・業界ともに広がり、上流工程や研究機関など当社の強みが活きる案件に加え、「想い」に共感してのご相談が増えています。新規案件との出会いが、自社の価値の再認識や新領域への可能性をもたらしてくれました。
またデジタル施策を追求した結果、人間がやるべき領域が明確になりました。「人と人との信頼関係」こそが、ビジネスの源泉です。今後も信頼を軸に、まだ見ぬお客様に向けた情報発信を続けていきます。
デジタル施策を本気でやり遂げた2年間 行動量・成果ともにBtoB製造業SEOの好例
一般的にはSEO対策の前にターゲティングを行いますが、本事例ではまずWebサイトを育て、流入拡大を図り、実態に即した顧客層の把握を優先し機会損失を防ぎました。その結果、想定外の領域からの引き合いも生まれました。今後は社史や社員紹介を通じて仕事への姿勢やお人柄を伝えることが、さらなる信頼獲得・事業発展につながると考えています。施策の実行力・質ともに突出しており、BtoB受託製造業におけるSEO施策のロールモデルといえる成果を上げられました。この成果はデジタルに本気で向き合い、組織一丸でやり切った2年間の歩みの結晶です。

アドバイザー 谷藤 剛
※本記事は、2025年12月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | 有限会社岩井金属金型製作所 |
| 所在地 | 東京都墨田区八広1-4-3 |
| 設立 | 1990年11月(創業:1935年) |
| 事業内容 | プレス金型製作・プレス加工、ワイヤーカット加工、六角矢打ち加工 |
| 資本金 | 1,000万円 |
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