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店舗型サービス業

マーケットインへの意識改革。価値の客観視・言語化 一目で「何屋か」伝わるWebサイトに改修。V字回復へ

2026/03/26

陶芸工房 土花

関口さんは民藝の「実用美」に魅せられ、陶芸に携わり60年余り。陶磁器商として長年全国の窯元を駆け巡り、移動販売や陶器市で数多の器を届け、現在は大岡山駅(東急目黒線/東急大井町線)の近くに店舗兼工房を構える。「陶芸体験を通じて、ものづくりの楽しさや苦労を知ることで、物を慈しむ心や日本の手仕事を伝えたい」と、自らWebサイト改修に取り組む。

※写真 代表 関口 喜義

大岡山駅から徒歩3分、創業56年の『陶芸工房 土花』。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)では、陶芸体験教室の予約数減少の立て直しに向け、徹底した事業の棚卸しを通じて「お客様目線」での情報発信に転換。Webサイトを全面改修し、ターゲットの絞り込みと予約サイトの訴求も見直した結果、予約数の回復と新規顧客層の開拓に成功。自走体制も確立している。

■本事業に申し込んだ背景■

陶芸の魅力を伝えるために、発信を見直したい

私は長年陶器の卸販売をしてきましたが、20年ほど前から陶芸体験や定期教室を運営する傍ら、作家として自ら制作も行いオーダーメイド作品の販売も行っています。陶芸体験の集客は遊び予約サイト『アソビュー!』経由が多く、口コミや評価も好評をいただいていますが、特許取得した自助具食器『すくえる器』の認知・販売が伸び悩んでいました。 Webサイトは20年以上前から運用し、ECサイトやInstagramも活用してきましたが、体系的な発信の必要性を感じ、公社のデジタルマーケティング導入スクールでの基礎固めを経て、本支援を申請しました。長期スパンで、専属アドバイザーが自社における課題解決の具体策を一緒に考えていただける点に、大きな魅力と可能性を感じました。

アドバイザーによるハンズオン支援の内容

「当たり前」に眠る自社の価値を見つめ直す

当初は『すくえる器』の販売強化を主題に据えていましたが、同時期に陶芸体験の予約数が、集客源となっている『アソビュー!』の流入減により急落。そこで方針を「体験集客の立て直し」にシフト。アドバイザーの指南は「なぜ口コミが高評価なのか」「他教室との違いは何か」という問いかけから始まりました。実は、業界歴60年、口コミ100件超・評価4.9の実績がありながら、これまで競合調査などのデータ分析をしたことがなく、自社を客観視できていなかったため、強みを価値として打ち出せていなかったのです。そこで他社との差別化ポイントを洗い出し、自社の強みを徹底して言語化していきました。

「プロダクトアウト」から「マーケットイン」の訴求へ

最も大きな気づきは「カスタマーインサイトをつかむ」ということでした。これまでWebサイトの情報発信は一方通行でしたが、ユーザー視点で「体験したくなる言葉」「購入判断に必要な情報」を載せるよう助言を受けました。お客様目線に立ってコンテンツを作る。これは私にとってとても大きな挑戦でした。自分を謳うことへの気恥ずかしさもありましたが、アドバイザーの伴走によりお客様の安心感や期待感につながる言葉を一つひとつ絞り出し、楽しさや実用例を表す写真や動画をWebサイトに反映させていきました。

具体的な販路開拓への取り組み

Webサイトの刷新で「何屋さん」なのかを明確に

従来のWebサイトは教室と販売の情報が混在し、一目で「何屋なのか」が分かりにくい構造でした。さらにニーズの高い陶芸体験ではなく、思い入れが強い『すくえる器』を前面に出すなど、提供情報とユーザーの関心との乖離も起きていたのです。そこでサイトマップから再設計し全面改修に挑みました。
アドバイザーと検討を重ねたキャッチコピー「陶芸教室と陶芸販売、大岡山駅から徒歩3分」をファーストビューに掲げ、言語化した強みや実績を小見出しに盛り込み、口コミの抜粋のほかこれまでの歩みも掲載。写真も体験の雰囲気や商品の魅力が具体的に伝わるものに差し替え、さらに動画も導入しました。これらの実装は、専門家派遣制度でCMS『Jimdo』の操作を学び、自らの手で行いました。

陶芸工房 土花 の Webサイトページ

Webサイトは主力事業である陶芸教室中心の構成に刷新。UIを改善し、ファーストビューも変更、陶芸体験のページには体験時の様子や関口さんのフレンドリーな写真も配し、初心者や親子連れで楽しめるアットホームな雰囲気を醸成している。

ターゲットの明確化、不安を払う発信で予約数が回復

さらに陶芸体験のターゲットも絞り込みました。これまでのカップルや友人グループ中心から、地域性を考え「親子」を新機軸に設定。予約サイトにも「5歳から参加可能」と明記し、楽しそうにろくろに向かう子どもの写真を掲載したところ、狙い通り親子連れが増加。予約数もほぼ元の水準まで回復し、『アソビュー!』内の陶芸教室ランキングでも上位に掲載されました。

2週間に1回のペースでアドバイザーと対面で打ち合わせ。支援当初は「なぜ選ばれるのか」を一緒に言語化していく作業を重ねた。「アドバイザーの顧客心理を深掘りする、まさに『行動心理学』のような手法には驚きました」と関口さん。

陶芸工房 土花 代表 関口氏

支援の感想と今後の展望

傘寿からの意識改革が次世代へつなぐ、陶芸と日本の心

今回のWeb改修を経て、乱雑だった発信に一本の筋が通り、一貫したメッセージを届けられるようになりました。この一連の取り組みは、60年の積み重ねをショーウィンドウに並べ直すような作業であり、自分自身を見つめ直す哲学的な旅でもありました。顧客心理を深掘りし、目線を180度転換させることは、自分一人では成し得なかった変革です。支援で得たのは、単なるサイト改善の手法ではなく、経営者としての「意識改革」そのものでした。
大量生産の安価な製品があふれる時代だからこそ、陶器を通じて「壊れても直して使う」日本の古き良き文化を、デジタルで次世代へも伝えていきたい。長期伴走型の本支援は小規模事業者にとって心強い存在です。デジタルマーケティングへの挑戦に年齢は関係ないと思います。

80代で果たした「顧客視点」の獲得 マーケティング意識・情報発信の変革

酒井アドバイザー
デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 酒井 大輔

本支援の最大の成果は、CMSの操作習得以上に「顧客目線」を体得されたことです。お客様の気持ちを考え抜き、ご自身の事業と向き合いながら訴求の試行錯誤を重ねられました。陶芸への深い想いがありながら、当初文章化には苦心されていましたが、対話を重ねる中で言語化力が磨かれ、今ではご自身でコンテンツを書けるまでになりました。生成AIに頼らず、経験や哲学をご自身の言葉で紡ぎ、デジタルに想いを乗せたことが成果につながっています。80代経営者が自ら手を動かし勝ち取った成功事例は、多くの経営者やビジネスマンの励みとなるはずです。

※本記事は、2026年1月時点の情報です。

企業情報

企業名陶芸工房 土花
所在地東京都大田区北千束1-55-7
創業1982年
事業内容陶磁器の制作・販売、陶芸教室の運営

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。