当初は清水さんが一人でデジタルマーケティングに取り組んでいたが、ハンズオン支援(アドバイザーが継続的に支援)1年目の後半から営業開発本部の阪下さんが参加。さらに2年目からは営業開発本部シニアマネージャーの塩野谷さんも加わり3人体制となった。役割を分担しながら、チームでPDCAサイクルを回している。
※写真 マーケティング・広報担当 清水 大真

社会課題を先端技術で解決する大学発スタートアップ・株式会社イノフィスは、力仕事や中腰作業の負担を軽減する補助具「マッスルスーツ®」の販路拡大を目指し公社支援を申請。1年目は分散したWebサイトの統合とSEO対策、効果検証基盤の整備を実施。2年目はAmazon・楽天市場のECモール運用改善とInstagram広告の内製化に取り組んだ。分析指標の絞り込み・PDCAの習慣化でECの売上倍増を達成した。
■本事業に申し込んだ背景■
「手探り」からの脱却、Web統合・効果検証確立へ
「マッスルスーツ®」は、おかげさまで介護・物流・製造業などの現場で幅広く導入いただいています。近年はリーズナブルな家庭用モデルもリリースし、BtoC需要の拡大を見据えWeb集客にも注力していましたが、広告運用や効果検証の社内ノウハウが乏しく、ハンズオン支援に応募しました。 1年目は分散していたブランドサイト・LP(ランディングページ)・自社ECサイトを、運用負荷の低減を目的に一つに統合することにし、アドバイザーとサイト構成や導線を検討してリニューアルの準備を進めました。またSEOでは検索意図や潜在層、薬機法も考慮したキーワード選定を実施。GA4等による効果測定環境も整備し、既存コンテンツを改善した結果、製品トライアルへの問い合わせが約30%増加しました。並行してAmazonと楽天市場への出店も開始しましたが、こちらの売上は伸び悩んでいました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
「3つの指標」に絞ったデータ分析が自走を加速
支援2年目は制作会社とサイトリニューアル作業を進めながら、EC売上改善を主軸に据えました。まずは各モールの現状分析から着手。最大の課題は「なぜ数字が伸びないのかが分からない」ことでした。そこでアドバイザーから示されたのが、ECモールの膨大なレポートデータの中で「集客・購入率・購入単価の3つだけを見る」というシンプルな指針でした。毎月の支援ではこの3指標を確認し、最優先課題を特定して次回までに実行するサイクルを繰り返しました。製品や時期によってボトルネックは異なるため、「特効薬」はありません。このプロセスを徹底し、一つひとつ改善していきます。指標を絞ることによって「当たり」をつけやすくなり、「数字を見る・施策の実行・改善する」習慣が社内に定着しました。
■具体的な販路開拓への取り組み■
EC商品ページ改善、価格競争を脱し価値訴求へ
ECモール運用の施策は、Amazon・楽天市場ともに広告最適化と商品ページ改善の二軸で展開しました。特に商品ページは訴求内容を再構築し、当社製品ならではの強みや使用シーン、導入メリットが伝わる構成へ改善しました。またレビュー獲得も重要視し、良質な口コミを積み上げることで、信頼と売上向上の好循環を目指しています。今後はブランド認知をどれだけ高められるか、つまりいかに<マッスルスーツ>で指名検索されるようになるかが鍵となります。類似商品が一同に並ぶECモール内で、価格ではなく価値で選ばれるよう、個別のモールを磨きながら、包括的な取り組みを継続しています。
マッスルスーツ®に加え、夏場の作業を支えるクールベスト、立ち仕事・歩き仕事をサポートするインソールも市場投入。「働く現場の困りごとを解決する製品群をクロスセルし、ブランドロイヤルティの向上を図りたい」と阪下さん。

ターゲット層を射抜くSNSクリエイティブの追求
Instagramの投稿と広告運用は営業開発本部の阪下が担当し、専門家派遣も利用してCanvaでのクリエイティブ制作を習得しました。当初はデザイン性を重視した訴求を試しましたが、改めてターゲットに設定した現場で働く40代後半以上の方々を念頭に、文字を大きくして効果や価格の訴求を強めたところ、目に見えて反応が変化。ターゲット視点での訴求の重要性を実感しました。こうした気づきも内製化による大きな収穫です。
■支援の感想と今後の展望■
EC売上倍増を達成、統合サイトを核に多角展開へ
2年にわたる取り組みの結果、EC全体の売上は支援前比で倍増しました。また、1年越しの課題であった統合Webサイトのリリースも実現。約100ページに及ぶコンテンツを3人でチェックし、細部を磨き上げる作業は時間を要しましたが、幾度の改善を経て無事完成しました。
当社では現在、主力のアシストスーツに加え、暑熱対策製品や機能性インソールといった新商品展開に注力しています。今回刷新したサイトをハブとして、「マッスルスーツ®」で築いた信頼をベースに、「働く現場の課題」をトータルで解決するブランドへと進化させていきます。
ECレポートやアクセス解析の複雑で膨大なデータも、アドバイザーの助言により見るべき指標を絞り込んだことで課題が明確化。「打ち手への迷いが消え、迅速な意思決定とアクションにつながる転機になりました」と塩野谷さん。(写真:一番右)

「失敗も資産」の組織文化と高速PDCAで認知定着を狙う
独力でのデジタル施策の実装は容易ではありませんが、アドバイザーの伴走のもとでPDCAを回したからこそ、このスピードで改善を形にすることができました。 2年間、多くの効果検証を重ねる中で、当然ながらすべてが成果につながったわけではありません。しかし、「このアプローチは違う」という気づきの積み重ねこそが前進だと私たちは考えます。大学発スタートアップとして培ったトライアンドエラーの文化を礎に、デジタルの機動力を活かしてブランド浸透を加速させていきます。
「数字を見る・施策を打つ・改善する」習慣が定着 「マッスルスーツ®」のブランド価値向上へ

アドバイザー 中島 賢喜
今年度は清水さんと阪下さんが施策実行の中心となり、塩野谷さんが全体を俯瞰してマネジメントする体制が確立しました。検証・改善にも前向きかつ迅速に取り組まれ、着実に成果へと結びつけられています。今後の鍵は「マッスルスーツ®」をいかに市場へ浸透させるかです。オンラインとオフラインを横断し、デジタルを戦略的に活用しながらブランド価値を高めていくことが重要です。支援で体得されたPDCA習慣を土台に、データとご自分たちの感性を掛け合わせた仮説検証を重ねることで、ブランドはより強固となると思います。
※本記事は、2026年1月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | 株式会社イノフィス |
| 所在地 | 東京都八王子市東町7-6 エバーズ第12八王子ビル5階 |
| 設立 | 2013年12月 |
| 事業内容 | 介護福祉用・産業用機器の開発・設計・製造・販売 ほか |
| 資本金 | 10,000万円 |
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