デジタルマーケティングを牽引する茂木さん。「BtoBの販路拡大を模索する中、業務用小ロット展開に商機を見いだしました。中小企業における新規開拓にはデジタル活用こそ最適解と判断し、デジタル施策を推進しましたが、独学による戦略だったこともあり期待した効果が出ていない状況でした」。本支援で手探り状態からの脱却を目指した。
※写真 茂木 さゆり

国産和栗の卸販売で100年以上の歴史を持つ熊木産業株式会社。希少な原料の安定供給を強みにEC事業へ参入しデジタルマーケティングを強化する中、独学による戦略に限界を感じていた。公社支援により、BtoB専用LP(ランディングページ)を新設、またInstagram広告を改善するなど戦略を再構築。導線整備と広告最適化を徹底した結果、わずか数か月で事業者会員数を3倍に伸ばした。その売れる仕組みづくりを紹介する。
■本事業に申し込んだ背景■
100年の歴史を強みに、デジタル領域への新たな挑戦
当社は国産和栗の加工品を主軸とし、和洋菓子の業務用原料や瓶詰などの小売用製品を展開。売上の約7割を栗関連が占めています。国産和栗の収穫量は年々減少傾向にありますが、当社は長年の仕入れネットワークを活かした安定供給体制が最大の強みです。従来は既存顧客の継続受注が中心でしたが、主力の栗の渋皮煮や甘露煮の受注量が、おせち需要の減少を背景に落ち込み始めたため、2016年に直接お客様へお届けできるECサイト「自然栗本舗」を開設しました。
プロの知見で、手探りの運用と停滞を打破
EC運営の中で見えてきたのは、一般の方だけでなく、事業者からの注文や問い合わせが予想以上に多いという実態でした。そこでBtoB領域を本格的に強化するため、2024年にEC内に事業者専用の会員制ページを新設。さらにカフェやケーキ店、ベーカリーといった小規模事業者への認知拡大を目的に、InstagramのBtoB向けアカウント開設と広告運用も始めました。しかし、社内にデジタルマーケティングの専門人材がいない中での運用、独学による施策の精度には限界があります。そんな折、公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を知り、プロに伴走していただき現状を打破したいと申請を決意しました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
プロの外部視点がボトルネックを洗い出す
支援を受けて驚いたのは、これまで疑問を持たずに進めていた施策の中に、思いのほか改善の余地が潜んでいたことです。 Instagram広告の遷移先をECサイトのトップページに設定していたため、BtoBとBtoCの訴求・導線が混在していました。アドバイザーから「ターゲットを迷わせない受け皿として、BtoB専用のLPが必要」と、広告展開の初歩から教えていただきました。受け皿のLPに穴があれば成果がこぼれ落ちてしまうため、LPの整備後に広告最適化を進めることにしました。
広告運用の刷新が、販路拡大の強固な基盤に
本支援の中で大きな転換点となったのが、「Meta広告マネージャー」を活用した広告運用のレクチャーです。実はそれまでは、アプリから「投稿を宣伝」する形で都度単発出稿を繰り返していたため、学習データが蓄積されず最適化が進まない状態だったのです。専門用語やキャンペーン・広告セットといった階層構造の理解にはじまり、効果的なターゲティング設計、Metaピクセルでの計測環境整備、具体的な操作方法に至るまで、アドバイザーから体系的に教示いただきました。 特に印象的だったのはターゲティングです。従来は属性・興味関心などの絞り込みはしていたものの、既存登録者を配信除外できることを知らず、広告費を無駄にしていたことにも初めて気づきました。さらにMetaピクセルでのデータ分析も交えて、類似ターゲティングやリマーケティングも実施し、ターゲティング精度を向上させました。この一連の広告最適化の実践的学びは、今後の販路開拓における揺るぎない土台となりました。

本支援ではBtoB専用LPを新設し、事業者会員登録のメリットなどを明確に提示した。併せて専門家派遣を活用し商品写真撮影のノウハウも習得。今後はBtoC向けコンテンツの質向上にも取り組む。
■具体的な販路開拓への取り組み■
「認知から囲い込み」まで、自走できる運用体制を確立
BtoB専用LPでは、「業務用価格」「小ロット対応」「迅速発送」「会員登録のメリット」など、事業者が求める情報を前面に打ち出しました。また、LPに誘導するInstagram広告はあえて情報を絞り「気になる余白」を残してクリックしたくなる内容にしました。Instagram運用も見直し、投稿は事例紹介や豆知識発信による信頼性を得るための訴求、広告は新規顧客獲得に特化することで役割を明確化しました。専門的な投稿で信頼を積み重ね、広告で新規接点をつくり、LPで登録へつなげる。こうした流れを自社で構築し、運用できる体制を整えられたことが、今回の取り組みの最大の成果です。
「以前はネットやセミナーの情報を頼りに『良い』と聞いたデジタル施策を数多く試していました。しかし支援を通じ、リソースを成果に直結する施策へ注力する重要性を改めて実感。『選択と集中』を整理できたことが最大の価値です」と茂木さん。

■支援の感想と今後の展望■
デジタルを武器に、ブランド強化と閑散期の底上げへ
これらの取り組みによって事業者会員数はわずか数か月で約3倍に増え、多い日には1日で数十件もの新規登録があるなど、確かな手応えを感じています。栗の需要期における売上も昨対比150%を記録し、特にInstagram広告のターゲティング施策が全体の成果を牽引しました。 アドバイザーには大局の戦略からMeta広告設定など細部まで伴走いただきました。また、限られた支援回数とリソースの中で施策を二つに絞り、「今はBtoCのSNS更新頻度を下げるべき」といった優先順位を示してくださったことも成功要因の一つです。今後は未着手であるBtoC向け発信のリブランディングや、閑散期の売上平準化に向けた定期購入スキームの構築などに挑戦していきます。
高品質な発信基盤×戦略受容の柔軟性×圧倒的な実行スピードが成果の源です
熊木産業様は支援以前からECの事業者会員ページをお持ちで、InstagramもBtoB・BtoCでアカウントを分け、クリエイティブも高品質と、非常に丁寧な運用をされていました。当初はSEO対策も検討しましたが、労力対効果を踏まえ優先度を下げ、BtoB専用LPの構築とInstagram広告の最適化に集中しました。提案した戦略を受け入れてくださり、方針決定後の実行も迅速。支援開始から半年ほどでLP構築と広告運用を自走できる水準に到達されました。もともとの基盤の質の高さも相まって、戦略と実行力が成果に結びついた事例だと感じています。

アドバイザー 坂本 義和
※本記事は、2026年2月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | 熊木産業株式会社 |
| 所在地 | 東京都新宿区荒木町8 |
| 設立 | 1965年11月 |
| 事業内容 | 食料品および食品包装資材の卸・製造販売 |
| 資本金 | 1,000万円 |
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