小林さんは7年前に広告代理店から転職し同社に入社。前職では販促物やノベルティ制作を中心としたリアルマーケティングを担当していたものの、デジタル領域は未経験だった。入社後、独学でWordPressを習得し自社サイトを内製で構築。前職で培った「訴求力」と現職で積み上げた「現場体験」を融合させ、顧客視点のサイトづくりを体現している。
※写真 1級建築施工管理技士 小林 由明

マンション・ビルをはじめ建物の保全・改修工事をワンストップで手がける栄和技建株式会社。Web集客強化を目指し公社ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を申請。FABE分析により強みを言語化した後、アドバイザーとの面談から「小規模マンションオーナー」という新たな顧客像に辿り着く。緻密なペルソナとカスタマージャーニーの設計を経て、顧客心理に寄り添うコンテンツを構築し、Webサイトを「営業基盤」へ刷新。「勝てるニッチ市場」での挑戦がスタートする。
■本事業に申し込んだ背景■
地域密着の建設会社、Webの力で販路を多様化
1992年に父が創業した当社は、祖業の防水・止水工事を核に外壁工事や手すり補修工事にも対応し、私が入社してからはマンション全体の改修工事も手がけています。しかし、販路は顧客のご紹介が中心。「待ちの営業」には将来的な不安がありました。WordPressでWebサイトを自作しましたが、お問い合わせは年数件程度。飛び込み営業も門前払いが続き、Web集客基盤の確立が急務でした。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
雑談から見いだした、「勝てる」ニッチ市場
FABE分析で「TACCS工法(ピンポイントで止水する専門工法)」や「手すりグラウト注入(手すり補強工法)」といった自社の強みを言語化した後、GA4やサーチコンソールで解析すると、流入の大半が社名検索で、未認知層へのリーチ不足が明らかになりました。そこでまずはサイト流入の「量」と「質」を高めるコンテンツ拡充から着手。ラッコキーワードなどを用いてテーマを選定し、外壁や防水工事に関する技術コラムの発信を開始しました。 転機となったのが、アドバイザーとの何気ない雑談です。定期支援の本題に入る前に、直近の「小規模マンション」の修繕案件の話をしたことが突破口となりました。管理組合がある大規模マンションとは異なり、賃貸中心の小規模マンションは修繕計画が未整備で、突発的なトラブルへの対応ニーズが高いという特徴があります。改めて調べると、当該領域に特化した競合は少ないことから、この切り口で攻める方向性が定まりました。自分の中でぼんやりと把握していた強みが、明確な戦略として明文化された瞬間でした。
■具体的な販路開拓への取り組み■
顧客心理を徹底分析し、心を掴むコンテンツ設計
戦略を形にするため、徹底したペルソナとカスタマージャーニーを設計し、Webで専門性と安心感の訴求を行いました。
具体的には以下のようなペルソナとシチュエーションを想定し考えていきました。「賃貸マンションオーナーの川原さん(仮名・67歳・調布市在住)は、外壁の剥離で急な修繕が必要となりましたが、代替わりした旧来業者の見積りや対応に不満を抱え、急ぎで委託先を探しています」。このような方に向け、検索から比較検討、問い合わせまでの顧客心理に沿った専用ページを制作しました。
続いて、大きな市場を狙える戸建て住宅向けのページも作成。「大手ハウスメーカーの戸建てを所有する田中さん(仮名・50歳・世田谷区在住)は、10年点検での高額な修繕見積額に驚くも、メーカー指定外の修繕は保証外となる、との営業トークを受け、他業者への依頼に対する不安を拭い切れずにいます」。そこで専門業者の立場から適正価格と施工品質を訴求し、相見積り依頼への心理的障壁を払拭する内容を掲載しました。 これらの深掘りや言語化には「生みの苦しみ」が伴いましたが、その後の訴求やコンテンツ制作の指針となっています。

ターゲットの悩みに寄り添った「マンションオーナー向け専用ページ」。アドバイザーとのアイスブレイクから導き出された「小規模マンション特化」の訴求が、検索流入の質を劇的に変えた。
Webデザインと写真の専門家から学び、訴求を深化
コンテンツ制作とサイト改修は外部委託せず、生成AIも活用しながら内製で実装しました。最も閲覧される会社概要ページも、ファーストビューに「3つの強み」を打ち出し、簡易のLP(ランディングページ)風の構成として、顧客目線による導線設計にて回遊率と問い合わせの向上を図っています。 さらに専門家派遣も活用し、Webデザインの専門家から施工実績ページの強化について助言を受けました。そこで現在はブログ形式の「現場レポート」としてニュース欄に掲載し、事例を継続的に蓄積しています。また、写真の専門家からは構図やライティング技術も学び、報告用だった現場写真をWeb用の品質へと高めるノウハウを習得。今後は現場の職人や事務スタッフの協力も得ながら、これらのレポートを整理し、「施工事例ページ」として独立させ、Web集客の柱へと成長させていく予定です。
「ペルソナ設計では、『その時、お客様は何と言っていましたか?』などの問いかけに過去の記憶が次々と蘇り、顧客像が具体化していきました」と小林さん。専門家との壁打ちは、現場での生の体験や潜在的な顧客ニーズを引き出し、戦略立案のブレイクスルーとして機能した。

■支援の感想と今後の展望■
集客力・成約率向上、徹底的な対話が自社再考の好機に
施策の効果は明確に表れました。アクセス数は約4倍に増加し、<小規模 ワンルーム 修繕>などの狙ったキーワードでの流入や、TACCS工法のコラム経由での依頼もいただきました。コンテンツを読んだうえでの問い合わせは話が早く、成約の確度も高いと感じています。 支援前は、常々サイト改修は必要だと感じながらも、WordPressの操作をまたイチから調べ自力で進めるには気が重かったのですが、アドバイザーの伴走により行動へのハードルが下がり、想像以上にスムーズに進められました。また、アドバイザーとの壁打ちは、新たなアプローチを生むだけでなく、自社や自分自身の歩みを再確認するプロセスでもありました。本支援は専門家と対話しながら自社の潜在的な価値を掘り起こせる絶好の機会です。Web集客を進化させたい企業にとって、必ずや力になるはずです。
サイトを「名刺代わり」から「営業拠点」に 実行力と継続力が成果を手繰り寄せた好例
当初のWebサイトは認知層向けの「名刺代わり」でしたが、基本的な骨組みは整っていたので、集客力と説得力を高める「肉付け」に注力し、新規顧客を説得できる「営業拠点」へと進化させました。この成果の背景には小林さんの真面目な実行力にあります。日中の多忙な現場対応業務の傍ら、サイト拡充を継続されました。雑談から課題解決の糸口を手繰り寄せ、「小規模マンション」というニッチな強みを紡ぎ出したプロセスは、まさに伴走支援の醍醐味です。集客の土台は整いました。今後はWeb広告やCRMの活用で、さらなる認知拡大が期待できます。

アドバイザー 原田 隆治
※本記事は、2026年1月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | 栄和技建株式会社 |
| 所在地 | 東京都調布市小島町3-69-2 第一荒井麗峰ビル503 |
| 設立 | 1992年11月 |
| 事業内容 | マンション・ビル等の建物保全・改修工事 |
| 資本金 | 1,000万円 |
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