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建設業

CRM整備で「顧客に寄り添う」接点の深化 LTV向上と新規事業創出の可能性を拓く

2026/03/24

有限会社旭建硝

「60歳を迎え、40年先までを目標に事業を継続し、自分らしく年を重ねていくことが課題となりました。そこでデジタルマーケティングへの理解を深め、変化することで、経営の在り方を刷新したいと考え、公社支援を申請しました」と中西さん。CRM(顧客関係管理)ツールを駆使した営業効率化と新たなビジネスモデルの模索に取り組んだ。

※写真 有限会社旭建硝 代表 中西 繁樹

防音窓施工を手がける有限会社旭建硝は、CRM活用による業務効率化と事業形態の転換を目指してハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を活用。自社に最も適切なCRMツールを導入し、顧客の細かな特性を反映したタイプ別メール配信を徹底した結果、売上単価は前年比1.5倍に向上。CRMを「情報の基地」と再定義し、強みの「顧客に寄り添う」対応をさらに強化することで、LTV(顧客生涯価値)向上と新たな事業展開の可能性を広げている。

■本事業に申し込んだ背景■

防音特化の窓施工、100歳まで働ける事業モデルへ

当社の主力事業は防音・断熱窓「内窓プラスト」の施工です。1997年にWebサイトを開設し、騒音対策に関するWebページへの問い合わせを機に、防音分野へ特化してきました。大学教授との人脈を活かして音に関する専門知識を深め、顧客の悩みに寄り添う提案・対応で信頼関係を築いてきました。現在もWeb経由が集客のメインとなっており、25年余りの間に蓄積した顧客リストは約8,000人分にのぼります。これまで毎日の現場作業と2~3通の深夜のメール対応をこなしてきましたが、60歳を迎え体力面の限界を感じ、持続可能な事業モデルを模索する中で本支援を知りました。

アドバイザーによるハンズオン支援の内容

事業の棚卸しとAI顧客分析で見えた成約の鍵

支援はマインドマップを用いた既存事業や業務フローの洗い出しから始まりました。この棚卸しにより事業再構築の方向性と売上パターンが可視化されました。さらにアドバイザーの助言で顧客とのメール履歴や商談内容を生成AIで分析。顧客接点の回数に加え、騒音等に悩むお客様の心情に寄り添った対応ほど、成約率や売上単価が高い傾向がはっきりと示されました。建築業界では提案の際、資材のスペック説明に注力しがちですが、多くの顧客はすでに情報収集を済ませており、分析を通じて「導入後の生活がどう改善するか」を伝える重要性に改めて気づきました。

「顧客に寄り添う」接点強化に向け、CRMを再選定

これらを踏まえ「一人ひとりに寄り添い、家庭の困りごとを解消する」をビジョンに掲げ、「顧客に寄り添う」リード管理やナーチャリングの強化に着手しました。しかし既存のCRMツールは当社にはオーバースペックで運用負荷が大きく、アドバイザーから複数のCRMツールの特徴を教わり、カスタマイズ性の最も高いツールを改めて選定。独自項目として「顧客の特性」欄を設け、スピード感重視、ロジカル派、スペック志向などの顧客特性を記録しています。 また「入力項目を増やすだけではなく、『全て』を『1か所』に記録しておくことが大事」との助言を受け、メール履歴、通話内容、施工写真、見積履歴などあらゆる情報をCRMツールに一元管理しています。CRMを単なる顧客情報の保管場所ではなく「戦術の基地」と定義し、将来的には個々に最適化したコンテンツを自動配信することを視野に入れています。

具体的な販路開拓への取り組み

営業メールは顧客タイプ別のひな型対応で最適化

CRMに記録した顧客のタイプ別に、メールテンプレートを作成しました。スピード重視の顧客には即レスポンスを徹底し、ロジカル派やスペック志向の方には比較データや「数字」を提示します。完全自動化には至っていませんが、タイプ別の対応に変えただけで効果が現れ、売上単価は前年比1.5倍に向上しました。また、アドバイザーから顧客の検討段階に応じて対応の注力度を変える必要性についても助言を受けました。支援がなければ、従来の顧客対応における負荷や非効率といった課題にも気づけなかったと感じています。

有限会社旭建硝のWebサイト

早くからWeb集客に取り組み、顧客ニーズに即した内窓プラスト専門店「いいまどJP」を展開。CRM運用体制の整備後は、得意の断熱分野のWebコンテンツ拡充やAIエージェントの導入、YouTubeの本格運営にも挑戦予定。

追客と失注分析で休眠顧客を「資産化」

新たに失注分析も開始しました。これまでは追客をせず「今すぐ客」中心の営業でしたが、「その後いかがですか」と成約に至らなかった理由をメールでお聞きし、価格やタイミング、補助金不採択などの失注要因をCRMに記録し、休眠客リストとして蓄積しています。併せて、見積提出後のフォローメールの仕組みづくりを模索中。デジタル施策を通じて、お客様が本当に望んでいることをこちらから伺い、適切なタイミングで情報提供することが大切だと実感しました。

「今回、デジタルマーケティングの専門家に具体的なロジックや選択肢を提示いただいたうえで背中を押してもらえたことは、事業展開の可能性を広げる大きな推進力になりました」と中西さん。

中山アドバイザー と 有限会社旭建硝 代表 中西氏

支援の感想と今後の展望

デジタル施策がもたらした新たな視座と可能性

アドバイザーの常に前向きかつ肯定的な後押しにより、「まずはやってみる」という行動変容が生まれ、「待ち」から「攻め」の営業へ転換できました。これまで高精度のハウスリストを保有しながら活用できていませんでしたが、それは大きな機会損失だったと気づくことができました。支援を通じて顧客理解の深さが成果に直結することも実感したので、今後はデジタルで効率化する領域を整理し、お客様とより深く向き合う体制を確立していきます。 CRMの基盤を整えたら、顧客データを活用した新たな事業展開にも挑戦する予定です。顧客から窓以外の施工のご相談を受ける機会も多いので、協力会社との連携を視野に事業化を考えています。25年間の信頼とご縁を活かし、顧客の困りごとに永く・幅広く対応できる事業モデルを目指します。

強みを活かすCRM設計に加え、長期視点でのCRM活用にて将来像を探る稀有な試みです

中西さんは、方向性を自分の軸で定め、納得感を持って前に進むタイプです。そのため、枠にはめるのではなく、複数の選択肢を提示し、ご自身で最適解を選べるよう支援を行いました。また、強みは顧客との信頼構築力ですので、過度な自動化ではなく、お人柄を活かすCRMの運用設計を意識しました。CRMは売上向上やチーム運用といった目的での活用が一般的ですが、中西さんは事業展開の可能性まで探られており、これはCRMの本質であり、研ぎ澄まされた活用法だと感じています。その高いメタ認知に基づく発想で、今後も着実に前進されると思います。

デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 中山 幸子

※本記事は、2026年1月時点の情報です。

企業情報

企業名有限会社旭建硝
所在地東京都練馬区豊玉中2-25-15
設立1967年2月
事業内容内窓・窓ガラス施工
資本金300万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。