デジタルマーケティングは康社長のもと、日本本社のスタッフが訴求戦略やコンテンツ制作を担い、中国・広州の工場事務所スタッフがECへの商品登録やページ修正、価格変更といった実装を担当。施策が売上につながり、業務が成果として可視化されたことで、スタッフのモチベーション向上につながっているという。
※写真 代表取締役 康 登華

業務用ミキサーなど厨房機器を製造・販売する三省堂実業株式会社。実績を根拠とする対面での提案力を強みとする一方で、デジタル上での存在感に課題を抱え、ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を申請。チャネル別の発信・販売戦略を再構築し、オフライン接客の手厚さをWebでも展開。同時にデジタル施策を外部に「丸投げ」にしない体制も整え、社内の判断力・運用力を高めた。
■本事業に申し込んだ背景■
厨房機器の総合メーカー、手厚い対応力をECでも発揮
当社は創業当初、中華料理店への厨房機器販売を主軸としていましたが、顧客からの要望を機に業務用ミキサーの自社製品を開発し、中国・広州の自社工場で設計から製造までの一貫体制を構築。現在はベーカリー業態向けを主力としています。丁寧な対応を強みに、販路拡大はご紹介や口コミが中心ですが、早い段階から楽天市場などのECモール、自社ECサイトも活用しています。EC経由のお問い合わせにも電話相談や実機デモ動画で応えるなど、手厚い接客により高額商品でもEC購入につながっています。
SEOとAmazonに課題、信頼できる公的支援へ参加
コロナ禍を経て、Web上での認知向上とネット販売強化の必要性を一層認識する一方で、課題も感じていました。一つはSEO対策。検索順位を上げたいと思いつつも、SEO代行会社に依存した体制から脱却したいと考えていました。もう一つのAmazon運用についても、納期の短さや過去の出品トラブルから心理的なハードルが強く、注力できていませんでした。知人から本事業のことを聞き、公的機関による支援という信頼感から迷わず申請しました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
オフラインの強み「接客力」をオンラインにも
支援は事業モデルや組織体制、デジタル施策のヒアリングから始まり、アドバイザーから「強みのオフラインでの丁寧な接客を、オンラインにも反映しましょう」と提案を受けました。そこで、GA4やサーチコンソールの見方を習得後、手始めにWebサイトの問い合わせ導線の改修を実施。この小さな改善を通じて効果検証サイクルを体感しました。まずは私自身が施策の目的や方法を理解し、データを見て判断して、国内外・社内外に指示を出せる状態を目指す方針です。この方法を自社EC、ECモール、SEO対策へと横展開し、「Web上での接客力」を強化していきました。
Webを「伝える場」、ECを「売り場」に役割分担
自社サイトと自社ECサイトの役割も整理しました。従来は情報が一部重複していましたが、Webサイトは「情報提供と商品説明の場」、ECサイトは「購入の場」と明確化。自社サイトのグローバルメニューと商品ページの「販売サイト」ボタンからECへ遷移できるようにし、相互送客可能な構造に整備しました。 これらの改善は即効性こそありませんが、お客様の利便性向上は必ず結果につながると信じ、一つずつ積み重ねています。
■具体的な販路開拓への取り組み■
SEOとユーザーの双方にフレンドリーなページ設計
WebサイトがSEOと顧客訴求に弱いつくりであったため、商品ページの構造整理と、画像中心の構成を再設計しました。タイトルやメタディスクリプション、h1〜h3の見出しタグを最適化し、画像にテロップで記載していた製品スペックもテキストに変換。製品PR文も追記し、検索エンジンにもユーザーにも伝わる商品ページへと改良しています。今後は自社ECのページ改善やカテゴリ整理にも取り組みます。

以前の製品ページはすべて画像で構成されており、検索エンジンにとってフレンドリーではなかった。商品スペック文などの画像テロップをテキストに変換し、訴求ポイントも追記することで、検索評価と顧客訴求の双方を強化した。
各ECモールの特性を活かした販売戦略の確立
ECモール運用については、各モール内の分析ツールの見方、セールに合わせた広告出稿やチューニングの方針を学び、商品ページも改善しました。さらに、モールごとの顧客層やニーズ、運用ルールなどの特性を踏まえ、アドバイザーとともにモール別の販売戦略を策定。楽天では電話問い合わせが可能な点を活かして高単価商品の提案を強化、Amazonでは消耗品など購買ハードルの低い集客商品を拡充しました。各チャネル特性に応じて展開できる幅広い商品ラインナップも当社の強みの一つ。複数のECチャネルによりオンライン上の顧客接点を「面」で維持し、機会損失を防いでいます。
「ハンズオン支援はフェイス・トゥ・フェイスで、アドバイザーにデジタル施策全体の戦略から実装作業の細かい質問に至るまでご相談できて、本当にありがたかったです」と語る康社長。

■支援の感想と今後の展望■
Amazonを成長販路へ転換。自社で舵を切る体制へ
Amazonは運用改善と広告出稿により数十万円規模の大型商品も売れるようになり、現在も安定した売上を確保しています。アドバイザーには発送期間の設定方法からAmazonビジネスとの戦略分けまで相談させていただき、実地を通して懸念を解消、注力チャネルとして位置付け直す契機となりました。 今回、私自身がSEOやEC運用の知見を習得したことで、明確な方針を示せるようになりました。本事業の利点は自社にノウハウと判断力が残る点です。作業や運用を外部に委託するにしても、社内に判断軸・チェック体制が有るか無いかで成果が左右されます。この時代、事業発展にデジタルマーケティングは不可欠です。当社のオフライン接客の手厚さも大切にしながら、デジタルでの認知・営業力を高めていきます。
貪欲な習得と迅速な実践で高めた支援効果 今後はものづくり・販売の強みのPRが重要
まず、康社長の積極的に知識やノウハウを吸収される姿勢に驚きました。そして、学びから行動への移行も速く、助言を実践し、次回支援でフィードバックを得るキャッチボールを重ねました。毎回多くの質問を準備され、回を追うごとに内容も深化し、支援の質向上につながりました。同社は自社開発の高品質な製品と数々の導入実績を有しており、「ものづくりと販売」の強みの発信によりさらなる成長が見込めます。今回整備した発信基盤を基に、今後はプロモーションやPRを強化し、製品品質と厨房設計コンサルティングの価値訴求を進めていきます。

アドバイザー 中島 賢喜
※本記事は、2026年1月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | 三省堂実業株式会社 |
| 所在地 | 東京都千代田区岩本町2-16-15 三省堂ビル |
| 設立 | 2009年6月 |
| 事業内容 | 業務用厨房機器の製造・販売、新規開業相談 |
| 資本金 | 500万円 |
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