公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)は2年目となるアスカルデザインプロダクツ。舘野社長(写真左)と松丸さん(写真右)が中心となりデジタルマーケティングを推進。今年度は「デザインクラフトガラス」という新たな概念を提唱する新プロジェクトの立ち上げに挑戦する。
※写真 代表取締役社長 舘野 一也/松丸 まゆこ

住宅建材のデザイン・原型制作が主業の株式会社アスカルデザインプロダクツ。従来BtoBを中心に展開してきたが、公社支援にて工房「MADE in 日本橋」のリブランディングとECサイト刷新に取り組み、ワークショップを起点にBtoC領域へ挑戦。2年目はその土台を収益の柱へと育てる新たなステージへ。SNS戦略の再構築化・EC改善・生成AI活用とともに、新ブランド「Layss」を軸に、BtoBとBtoC領域での販路開拓と持続的な収益確立に挑む。
■本事業に申し込んだ背景■
BtoCへの挑戦。基盤を売上に。次のフェーズへ
1年目のハンズオン支援では、当社のデザイン資産をより多くの方に届けるため、2021年開設の工房「MADE in 日本橋」の申込管理用サイト(ECプラットフォーム「Shopify」使用)をブランドサイトとして再構築しました。トップビジュアルやコンテンツ構成を見直し、ワークショップ情報やブログを有機的に連動させるなど内製で改修を推進。アドバイザーの伴走により、自分たちの想いやデザインに対する姿勢を伝えるサイトに仕上がりました。ワークショップを筆頭にWeb経由の成果に手応えを感じたことから、継続支援を申請。2年目はこの基盤を売上につなげ、新たな収益の柱へと育てることを目標に掲げました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
顧客接点別のSNS戦略、社内にユーザー視点が浸透
2年目の施策では、運用中のSNSや顧客接点の役割を明確にし、戦略的な強化と分業を進めていきました。Instagramはブランディング、Xは新規層への認知拡大、メルマガは既存顧客への深い情報提供、LINEはワークショップ参加者のフォローアップといったように、チャネルごとに整理した結果、タッチポイントの質が向上。既存参加者に対してもメルマガでは一斉告知を中心、公式LINEでは問い合わせなどのフォローが中心、といったように役割や分業を進めていくことで運用効率が向上し、機会損失も減少しました。結果、ワークショップは数か月先まで予約が埋まるほど安定した集客基盤へと成長しています。加えてSNS運用に関わるスタッフが増えることで、顧客視点を学ぶ機会になっています。BtoBの企業文化に、BtoCの思考が根づき始めたことも大きな変化の一つです。
歴史を価値に変える、新ブランド「Layss」の挑戦
ワークショップだけでは得られる収益には限りがあります。そこで2年目の挑戦として、「MADE in 日本橋」の資産を活かした新プロジェクト「Layss(レイス)」を立ち上げました。創業以来、蓄積してきた500種類以上のデザイン資産をガラスに展開し、新たな価値「デザインクラフトガラス」として届ける取り組みです。Layssという名称には、昭和から続く当社デザインの歴史を受け継ぎながら、新しいデザインガラスを令和に提案したいという思いを込めました。
■具体的な販路開拓への取り組み■
「Layss」を軸に描くBtoB新市場への構想
当社はさまざまな「型」のデザインを得意とする会社です。オリジナルデザインの創出が最大の強みですが、ガラスへの展開は想像以上に難しく、Layssの実用化には、窯の温度調整や型との相性を見極めながら試行錯誤を重ねました。また、事業構想にはアドバイザーにも知恵を借り、企画開発はアスカル、販売と発信は「MADE in 日本橋」と体制を明確化。BtoCはワークショップやハンドメイド作家への素材販売、BtoBは設計事務所への建材提案やオリジナル対応を想定しています。将来的にはECサイト上で柄を選び、オーダーメイドできる仕組みも構築し、事業の可能性を広げ、持続的な成長を目指します。

500種以上のデザイン資産をガラスに展開し、現代に昇華させた新ブランド「Layss」。昭和にデザインした模様・パターンに新たな命を吹き込み、「デザインクラフトガラス」という新たな概念を提唱。現代の感性に合わせた新市場を切り拓く。
信頼関係が導いた専門家連携とAI活用の成果
さらに専門家派遣も活用してWebデザインや生成AIの助言も受けました。UI・UXは「ユーザーが何を求めているか」を軸に再設計。購入までの導線を直感的に理解できる設計に改め、文字色も黒から少しグレートーンにし柔らかい印象を与えるなど、細部まで調整しました。同じデザイン領域でも異なる専門分野からの視点は大きな学びとなります。 生成AI導入については、デザイン会社として「人間にしかできない価値を生み出したい」という思いが強く、当初は否定的でした。しかし支援を通じて考え方が変わり、資料作成、ワークショップのスケジュール管理などに取り入れました。私たちは何もないところから新たに生み出すことは得意ですが、整理をしたりまとめたりといった作業には時間がかかる傾向があります。実際に導入したところ、今では不得意分野を補完してくれる存在となっています。これもアドバイザーが当社の特性や想いを理解してくれていたからこそだと思います。
「本支援の特長は、内製で実行しながら学べる点です。その場でPC画面を見ながら改善点を助言していただけるので、手を動かしながら形にしていくことが得意な当社に向いており、理解と実装が同時に進みました」と松丸さん。

■支援の感想と今後の展望■
プロの伴走が生んだ推進力――効率化と創造性の両立へ
専属のアドバイザーの伴走により、漠然としていたアイデアや課題感が整理され、次回面談までの課題設定が改善を促進しました。外部専門家による継続的な支援が受けられることは貴重な機会であり、この時間を無駄にできないという意識も、行動変容を促しました。また、何でも相談できる関係を築けたことも挑戦を後押しし、生成AIなど自社では踏み出せなかった領域への挑戦意欲をもたらしました。今後は事業規模の拡大に伴い、リソースの適切配分が必要ですので、自社で「やること・やらないこと」を見極めながら、効率化と創造性を両立させます。ここからが本当のスタートです。
提案・助言を力に変える推進力と展開力 強みへの自負と柔軟性が加速させた収益基盤
「稼げる体制をつくる」、これが今年度の目標です。達成に向け、好調なワークショップを軸にデジタル施策や発信力を磨き上げると同時に、既存のデザイン資産を新規顧客開拓へ結びつける取り組みを進めました。支援において、Webデザインの専門家派遣の提案も懐深く受け止めてくださり、学びを迅速に実践へと移し、着実に成果につなげられました。提案や学びを受け取るだけでなく、自ら手を動かし発展させ、次々と試していく。その展開力こそが同社の強みであり、本支援の有効活用と自走体制の構築につながりました。

アドバイザー 山本 晶子
※本記事は、2026年1月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | 株式会社アスカルデザインプロダクツ |
| 所在地 | 東京都中央区日本橋堀留町1-2-1 日本色素本社ビル3階 |
| 設立 | 1974年9月 |
| 事業内容 | 住宅用建材等のデザイン・商品開発、ものづくり工房の運営 ほか |
| 資本金 | 1,000万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。