
デジタルマーケティングの基本方針やプランの立案は勝澤さんが中心になって行い、実装や運営は福島在住の奥墨さんが担当。沖縄にもスタッフが在籍しており、オンラインを有効活用しながらチームでデジタル施策を推進。「全員がこの店舗で働いていた経験があるので、現場を理解しており意見交換も積極的に行っています」と勝澤さん。
※写真 代表 勝澤 光
1976年に創業した町の書店を事業承継し、本と飲食、文化活動を融合させた「新しい書店のカタチ」として誕生したブックカフェ「マルベリーフィールド」。公社支援の1年目はデジタル発信の基盤を整備。2年目は新店舗「ル・リーブル」の開業に向け、Instagram・Webサイト・LINEを連動させた顧客導線を構築し、プレスリリースも活用。新店舗の集客と既存店の活性化を図る。
■本事業に申し込んだ背景■
街の書店をブックカフェに改装、デジタル戦略に課題
ブックカフェ「マルベリーフィールド」は2013年にオープン。2008年に父から「かつざわ書店」を引き継ぎましたが、書店の経営が年々厳しさを増す中、思い切って業態転換を図りました。コロナ禍の来店機会の減少・非対面ニーズの高まりを受けて、WebサイトとECサイトを開設。その後、InstagramやLINE公式アカウントも導入しましたが、それぞれが独立した運用で、中でもECを活用できていませんでした。そこで専門家の意見を仰ごうと、ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を申請しました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
専門家の助言で方針刷新、集客導線強化へ
支援当初はECサイト改善を主眼としていましたが、アドバイザーとの対話や、並行受講したデジタルマーケティング導入スクールでの学びを通じて考えが変化していきました。「当店に必要なのはECのテコ入れではなく、WebサイトやSNSを連携させた戦略的な発信」と認識し、方針転換。スクールで学んだアクセス解析やSEO、Instagram活用を、どのように自店へ落とし込み、組み合わせるかをアドバイザーと検討しました。その後施策の方向性が固まり、発信の土台づくりを進めました。
店舗コンセプトの明確化と発信媒体の選定
支援2年目は、昭島市の公共施設内に開業する新店舗「ル・リーブル」の集客を軸に推進しました。既存店と商圏が重なるため、まずはブランドの棲み分けから着手。本を核とした文化発信型のマルベリーフィールドに対し、ル・リーブルは公共施設内という立地を活かし、より日常的な交流が生まれる地域コミュニティ型カフェとして位置づけました。さらに生成AIも活用し、市民や施設利用者の属性を踏まえてペルソナを設定。ターゲットを具体化し、集客施策をWebサイト・Instagram・LINEの三本柱としました。1年目の基礎固めとブランディングによって施策の取捨選択が進み、何にでも手を出すのではなく、当店の顧客層に適した発信媒体を選ぶことができました。
■具体的な販路開拓への取り組み■
インスタ・Web・LINE、3ステップの顧客接点構築
新店舗のWebサイトはスタッフの奥墨が中心となり、専門家派遣を活用し、制作会社の手も借りながらWordPressで構築しました。アドバイザーと画面遷移図を設計し、ワイヤーフレームを作成。カフェメニューや料理写真の確定に合わせてコンテンツを実装し、開業直前に公開までこぎつけました。Instagramでは開業準備段階からティザー型の発信を行い、期待感を醸成。LINE公式アカウントは店内に設置したQRコードから登録を促し、イベント情報やクーポンを配信しています。このように「Instagramで興味喚起、Webで詳細訴求、LINEで関係構築」という三段階の集客導線を整備しました。 SNSの運用は専門家派遣を利用しています。従来、Instagramは店舗の「今」を発信していましたが、「世界観・投稿テーマの一貫性が必須」との助言を受け、投稿の方向性を見直しました。LINEも専門家の提案でリッチメニューや自動応答機能を拡充し、利便性を向上。今後は継続的な投稿・運営や効果検証の体制も整えます。

昭島市市民総合交流拠点施設「イーストテラス・サブスリー」内に出店したカフェ「ル・リーブル」。出店コンペの資料作成では、昭島市の人口構成データや施設利用者の条件を生成AIに学習させ、具体的なペルソナを設定。併設の図書館利用者や施設勤務者など幅広い層を想定し、メニュー開発にも活用。
地域性・社会課題を切り口にしたPR戦略
1年目に学んだプレスリリースの手法を新店舗開業時にも実践しました。文章作成には生成AIも活用し、過去の名刺交換を基に送付先リストを作成。地元メディアを中心にメール配信した結果、地方紙に大きく掲載されました。単なる開店告知ではなく、「街の書店の新しいカタチ」という地域交流拠点としてのコンセプトを前面に打ち出したことが、メディアの関心喚起につながったと思います。当店の運営方法が、書店減少問題の解決の一助となるべく今後もPRを続けていきます。
「アドバイザーには『町の本屋を再生させる』という目標を理解していただき、新店舗のブランディングを推進していく中で、親身になって、デジタル・アナログ両面でのマーケティング戦略をサポートしていただきました」と勝澤代表。

■支援の感想と今後の展望■
デジタルとアナログの最適活用で幅広い層に訴求
新店舗はオープン以降、多くのお客様にご来店いただき、既存店も前年を上回る集客数を達成しています。今後は各店舗の特色を活かし、マルベリーフィールドでは著者イベント、ル・リーブルでは地域文化や歴史に触れるイベントを開催します。アドバイザーから、デジタルを連携させ広く発信する重要性を学んだからこそ、アナログマーケティングの価値にも気づきました。SNSやWebで若年層や遠方顧客へ訴求しつつ、地元の高齢層にはチラシを活用するといった、目的やターゲットに応じた使い分けが可能になったことは大きな収穫です。デジタルとアナログの両面で発信を強化し、本を核に人が集い学び合う「知のコミュニティ」として地域に根付く場を目指します。
2年間でデジタルスキルが飛躍的に向上 地域の交流拠点として自走できる体制に

アドバイザー 新井 庸
この2年間を通じて、勝澤社長のデジタル知見と実装を担う奥墨さんの運用スキルは大きく向上し、自走できる体制が整いました。新店舗立ち上げの多忙な中でも施策を継続され、中でもプレスリリースによる地元メディア掲載を実現し、地域の方々に認知していただけました。今後はチーム運用の標準化やPDCAの定着が鍵となりますが、このチームなら実現可能だと感じています。「知のコミュニティ」という明確なビジョンがあり、市民交流拠点として新しいカフェの形を実現されています。今後の展開と発展が楽しみです。
※本記事は、2025年12月時点の情報です。
企業情報
| 企業名 | BOOK CAFE マルベリーフィールド |
| 所在地 | 東京都昭島市中神町1176-36 |
| 創業 | 1976年10月 |
| 事業内容 | ブックカフェの運営 |
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