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製造業

FABE分析で製品群をユーザー視点に再整理 製品マトリクスでWebサイトを「選べる」営業ツールへ

2026/02/25

株式会社奈良機械製作所

デジタル施策の主担当を務める紺谷さん。組織改編に伴い企画広報部門から新設された営業部 販売促進グループの主要メンバーに抜擢された。Webサイトの商品ページ改善やSEO対策を主導し、商品知識や経営サイドへの情報共有は営業経験30年以上の営業部 丸山部長がフォロー。二人を軸に、技術部門も巻き込んだ協力体制が生まれている。

※写真 営業部 販売促進グループ 紺谷 幸花

粉体処理装置を設計・製造・販売する株式会社奈良機械製作所は、Webサイトでの新規顧客開拓を目的にハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を活用。「『顧客の悩み』と『自社技術』をつなぐ仕組み」の強化を目指し、商品ページの検索性向上とSEO対策を推進。製品ガイドマップ(マトリクス図)を商品一覧ページに追加し、視覚的に“選べる”Webサイトへと進化させ、営業活動にも活用できる基盤を整えた。

■本事業に申し込んだ背景■

製造業を支える「粉」の専門家、新規開拓に懸念

当社は「粉体処理装置」のメーカーとして、砕いて粉にする「粉砕機」、粉を乾かす「乾燥機」、粉の粒を作る「造粒機」など、「粉」に関わるあらゆる機器を提供しています。多様なラインアップとオーダーメイド対応を強みに、食品、石油化学製品、医薬品をはじめ、近年ではリチウムイオン電池など、さまざまなモノづくりの現場を下支えしてきました。ただし、受注の多くは既存顧客からで、新規開拓は展示会や業界紙頼みという側面もあります。2024年の創業100周年を機に特設ページを作るなどWebサイトを改修しましたが、古いままのコンテンツも多く「新規獲得の窓口」としての働きは十分とは言えませんでした。

ビジョンは明確だが、DXでの道筋が描けなかった

2025年に営業の体制が業界別から地域軸へと改革され、私は販売促進の専任となりました。業務の柱として「Webサイトの商品検索機能」「SEO対策」「カタログ刷新」「展示会強化」「ネット注文」の5つを掲げたものの、デジタル施策のノウハウが社内に乏しく、具体策を模索していました。公社のメルマガでハンズオン支援の案内があり、渡りに船と感じ申請し、本腰を入れて取り組むことになりました。

アドバイザーによるハンズオン支援の内容

アクセス解析で示された新規獲得できない理由

アドバイザーとの最初のミーティングで「この商品ページでは情報整理が不足しており、社外の方には選びにくい状態です」と指摘されました。例えば粉砕機一つをとっても種類が膨大で、適用範囲も広い。品目分けやタグ付けはされているものの用途や業界を絞り切れず、製品を比較・検討するには個別の詳細ページを逐一開く必要がありました。商品検索機能が乏しく、全体像も見えないため、新規ユーザーには不親切な構成だったのです。アクセス解析でも、製品名の直接検索で流入する既存顧客が大半で、用途などの検索ユーザーは商品ページでの離脱が多く、見込み客が検討途中で諦めた様子が見て取れました。

FABE分析が導いた、顧客目線の製品選定軸

アドバイザーの伴走により、まず着手したのが商品一覧ページの再設計です。その前段としてFABE分析を行い、粉砕・乾燥・混合造粒・封じ込めの主要4カテゴリそれぞれについて、特長や価値を徹底的に言語化しました。すると、ユーザーが製品を選択する際のニーズやベネフィットが明確になり、Webサイトの見せ方にとどまらず、展示会の切り口やカタログの構成など、他施策の方針も見えてきました。

株式会社奈良機械製作所 取締役 営業部 部長 丸山氏

FABE分析は「目から鱗」だったと取締役 営業部 部長 丸山さん。「モノの約8割は『粉』が原点と言われるほど、その多様なニーズに長年応えてきた当社ならではの『技術の深み』と『製品の厚み』を発信していきたい」と語る。

具体的な販路開拓への取り組み

製品マトリクスで「探す」から「選べる」サイトへ

続いてFABE分析を基に、商品一覧ページに製品ガイドマップを追加。これはカテゴリ毎に各製品を俯瞰できるマトリクス図ですが、機能や処理能力などを軸に、各商品の特性をポジショニング型で可視化したことにより、ニーズから製品を選べるようになりました。さらに、このマトリクスはWebのユーザビリティ改善だけでなく、営業活動のツールとしても効果を発揮しました。営業の組織再編で全部員が商品知識を網羅する必要がある中、経験の浅い部員も訪問先でサイトを見ながらヒアリングし、その場で最適な提案が可能となったのです。各業界のベテラン営業マンの頭の中に蓄積されていたナレッジを、組織で共有できる形に昇華できたと感じています。

SEOとショート動画で、情報資産を集客コンテンツへ

併せてSEO対策と動画の専門家派遣も活用しました。SEO対策では、検索キーワードの調べ方、狙う業界と親和性の高いキーワードの抽出、それを各ページへどう反映させるかという基本から学びました。「情報発信は常にお客様目線で行う」というSEOの基礎を教えていただき、これはコンテンツ制作における当社の指針になっています。
動画の専門家からは、既存の製品紹介などの動画を15秒・30秒のショート動画として再編集する手法を学びました。教えてもらった手法は複数業務を並行する中でも無理なく継続でき、さらに多様な層にリーチできる発信の確立に役立っています。

支援の感想と今後の展望

実践から得られた「社内の財産」

本支援は主体的に参加し、実践する姿勢が求められます。考えてアドバイザーに相談、実践を繰り返すことで、成果とノウハウが社内に残ります。販促の5本柱のうち4つに着手でき、課題や目指す方向性と進め方が明確になりました。今後は効果検証・コラムの拡充・カタログのデジタル化など、「悩みと技術のマッチング」導線の強化に向けた取り組みを愚直に続けていきます。

アドバイザーの伴走により「ユーザー目線でWebの情報を整理して発信する重要性を強く実感しました。ハンズオン支援で得たノウハウは当社の財産です」と話す紺谷さん。

株式会社奈良機械製作所 営業部 販売促進グループ 紺谷氏、取締役 営業部 部長 丸山氏、石井アドバイザー

FABE分析とマトリクス作成の試行錯誤がUX・営業力向上へと実を結びました

Webサイトの第一印象は「アイテム数が非常に多く、初見のユーザーには選びにくい」でした。ラインアップの全体像が把握できず、絞り込みや比較もしにくい作りになっていたと思います。そこで4か月にわたり緻密なFABE分析を行い、製品ガイドとしてマトリクス図を作成。これがユーザーの課題起点での製品選定の一助となり、UX改善につながりました。FABE分析は営業トーク強化に、マトリクス図は提案資料としても活用でき、営業力の底上げにも寄与します。強みである多品種を「使いやすい形」にて、Web上で表現できたのは大きな成果です。

石井アドバイザー
デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 石井 邦利

※本記事は、2025年12月時点の情報です。

企業情報

企業名株式会社奈良機械製作所
所在地東京都大田区城南島2-5-7
設立1924年11月
事業内容粉体処理装置の設計・製造・販売
資本金4,000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。