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製造業

「認知の種まき」から「上流指名の刈り取り」へ 間接取引型ニッチメーカーのWeb集客強化への歩み

2026/02/18

秋山精鋼株式会社

プランニングから実装までを担当する伊橋さんは「デジタルマーケティングは専門用語が多く、テクニックに意識が向きがちですが、あくまで営業手段の一つ。常に『お客様の困りごと』を起点に『人』を中心に考えることが本質であり、成果へとつながると実感しています」と語る。

※写真 経営企画部 特別販売グループ 主任 伊橋 涼介

精密機器や自動車部品に使用される特殊鋼「快削鋼(削りやすい鋼)」などを製造・販売する秋山精鋼株式会社。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)にて、展示会頼みの新規開拓から脱却し、Webを起点としたリード獲得基盤の構築を目指す。1年目に実施したWebサイト改修の仮説検証結果を基に、2年目は検索ニーズ起点のコンテンツ拡充と導線改善を推進。社内理解の醸成にも成功した。

■本事業に申し込んだ背景■

Web起点のリード獲得・上流工程の認知獲得へ

当社の主力商品「快削鋼」は、自動車・家電・医療機器などの精密部品に欠かせない金属材料で、優れた加工性から生産性向上に貢献します。取引先は材料問屋や部品メーカーなど既存の2次サプライヤーが大半で足元は安定しているものの、将来的には小径材料の需要漸減が見込まれます。そこで「設計・調達の段階から選ばれる存在」になるべく、Webサイトをリード獲得チャネルへ進化させようと、支援申請しました。

アドバイザーによるハンズオン支援の内容

1年目:分析と検証を重ね、施策の方向性を見極める

1年目はオリジナル品の商品ページ拡充に加え、閲覧数の多い補足資料「硬度換算表」に着目し、PDFに加えてHTMLでも公開しました。更新にはコーディングが必要でしたが、専門家派遣や生成AIを活用して内製で対応、またメルマガ配信も開始しました。目標の「Web経由の問い合わせ」獲得数は惜しくも未達でしたが、ユーザー数約50%、資料ダウンロード数も約20%増加したことから、戦略の方向性への確信が得られました。

2年目:サイト拡充に向け、CMS改修で改善速度を加速

2年目はコンテンツ強化と実行スピードの向上を最優先事項としました。そこでCMSを外部委託にて改修し、テキスト入力とマウス操作で更新できる環境を整備。メルマガ配信のサイクルも3か月に1回から、倍程度に増やしました。 また1年目の仮説検証にてユーザーの関心が明らかになったため、自社製品中心の訴求から一歩引き、2年目は検索ニーズの高い「JIS規格品」のコンテンツを増やすことにしました。

具体的な販路開拓への取り組み

ハイレベルサイトマップでCV導線の可視化・最適化

サイトの全体像を俯瞰できる「ハイレベルサイトマップ」を教わり、検索流入から問い合わせに至るまでの導線を可視化・整理しました。アクセス解析と併せて確認することで、カスタマージャーニー上のキーコンテンツやボトルネックが特定でき、ユーザー目線でのサイト改修が可能となります。
アドバイザーと協議を重ね、ユーザーの検索意図に応じた「受け皿」となるページを用意し、適切な導線設計によって流入拡大とコンバージョン(CV)につなげる方針としました。
加えて、問い合わせボタンの配置数を増やし、どのページからの問い合わせかをトラッキングできるようにしたことで、実際のCV導線を把握できるようにもしています。

検索ニーズ起点のコンテンツ・情報設計でリーチ拡大

受け皿となる「JIS規格品」ページを中心に新たに7ページを追加し、自然検索からの流入後、自社製品ページへ誘導する導線を設けました。コンテンツ内容は、営業部時代にお客様や若手社員から頻繁に受けてきた質問を基にしています。多くの方が同じ疑問や課題を抱えていると考えたためです。ページ内の表現もユーザー視点の言葉や検索キーワードに寄せ、流入の多いページはグローバルメニューからもアクセス可能にするなど、SEO効果と回遊率、UXの向上を図りました。
その結果、JIS規格番号での検索で2位表示されるなど、これまで届かなかった層にもリーチし、ページの平均閲覧時間も向上、リード獲得への基盤形成が進んでいます。

秋山精鋼株式会社のWebサイト 製品紹介のページ

社内への報告では、アドバイザーの支援内容に加え、Webデザインの助言や写真・動画の撮り方など専門家派遣での具体的なレクチャーも共有。この細部にわたる社内共有が、伊橋さんの取り組みへの理解と信頼、予算獲得につながった。

定期レポートと情報共有が改善と社内理解を促進

Google Looker Studioを用いて、GA4などの数値データを週1回メールで自動受信することで、他の業務を並行する中でのWeb施策へのリマインドとなっています。
こうした解析データや支援内容、施策の定性成果を社内のグループウェアで継続的に共有したことで、社内理解が進み、CMS改修の予算獲得にもつながりました。デジタルの専門用語をかみ砕いて報告する工夫に加え、「メルマガを見て展示会に来ました」「Webからダウンロードしたので資料は不要です」といったお客様からの直接の声が、数字以上に後押しとなりました。

「今後もUI・UXの改善、質の高いコンテンツ拡充を継続し、分析・評価・改善をたゆまず続けます。パンくずリストの追加などアドバイザーから助言があったものの、時間の都合で着手できなかった施策、やるべきことがまだまだありますので、支援終了後も一つずつ進めていきます。」と語る伊橋さん。

秋山精鋼株式会社 経営企画部 特別販売グループ 主任 伊橋 涼介氏 と 溝呂木アドバイザー

支援の感想と今後の展望

自社に有用なデジタル施策の継続が未来の刈り取りに

この2年間、Webを起点とした「リード獲得」「潜在層への認知拡大」という将来への種まきを重ね、刈り取りに向けて着実に階段を上がってきました。業界の特殊性から当社に有効なデジタル施策などないと思っていましたが、アドバイザーから、ペルソナ設計やハイレベルサイトマップを用いた導線改善など、自社にも応用できる手法を数多く教えていただきました。当社の商流では1社の採用が定期購入につながるため、今後もリードの「数」よりも「質」を重視し、未来のお客様に向けてコンテンツ拡充を継続していきます。

仮説・実行・検証を重ね成果へつなげました 
支援内容を共有することで社内理解も醸成

伊橋さんは非常に積極的に施策に取り組まれ、生成AIなども柔軟に活用し、助言を即座に実行される姿が印象的でした。ニッチBtoBメーカーのリード獲得は、検索ボリュームが少ないがゆえ試行錯誤がつきものです。特に直接取引のない将来顧客層へのリーチは容易ではありませんが、2年にわたりお一人で仮説・実行・検証を地道に重ね、検索順位の向上など具体的な成果につなげられました。最近は自走化への意識も強く、今後課題が生じた際にも、自ら考え改善できる感触を持っていただけたことが、何よりの成果だと感じています。

溝呂木アドバイザー
デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 溝呂木 聰

※本記事は、2025年12月時点の情報です。

企業情報

企業名秋山精鋼株式会社
所在地東京都中央区日本橋小伝馬町15-17 ASK日本橋ビル
設立1927年4月
事業内容精密機器、電子機器の構成部品に使用される特殊鋼(快削鋼、快削ステンレス鋼など)の二次加工メーカー
資本金10,000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。