兼務する品質管理室の仕事をこなしながらデジタルマーケティングに取り組む山本さん。アドバイザーから得た知識とこれまで実行した施策の解析データをベースにWebサイトの全面改修に取り組む。
※写真 ITサービス部 山本 陽子

医療機器・精密機器の受託製造を行う東興電機製作所。新規顧客の獲得を目指してハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を申請。支援の前半では、自社の強みを再発掘し、WebサイトやLP(ランディングページ)、リスティング広告に反映していった。後半は、新旧広告の比較検証結果をもとにさらなるブラッシュアップを行い、Webサイトの全面改修にも着手。
■取り組みの進行状況■
LP改修後、新旧比較の結果に基づき軌道修正
今年度は「Web経由の問い合わせ月5件獲得」を目標に掲げ、アドバイザーと自社の強みを深掘りしたのち、ターゲット目線でのWebサイト改修・LPの全面改修・Web広告の改善に取り組みました。あらためてLPの効果を新旧にて比較検証したところ、改修前の方が数値としては高い結果になりました。新しいLPは情報を簡潔にしすぎたほか、新たに掲載したイラストがカジュアルな印象を与えターゲットに合わなかったのかもしれません。
現在は信頼性を訴求するべく、旧LPをベースにイラストを写真に差し替えたり、会社案内や企業信用調査の開示情報へのリンクを追加するなどのブラッシュアップを進めています。
「真の成果」を測定する適切な比較検証と測定指標の再考
リスティング広告に関しては、LPとそれぞれ新旧を組み合わせた4パターンにて出稿・比較検証し、現在は2パターンに絞り込んで効果検証を続けています。また、過去のデータを詳しく分析して土日の配信を停止するなど、出稿スケジュールの最適化を行ったほか、効果測定における指標設定を見直しました。BtoB事業の性質上、サイトへの流入から問い合わせまでのプロセスが長いので、その中間の指標として問い合わせフォームのテキストボックスのクリック率やページのスクロール率も採用するようにしています。

同社は熟練技術者の「手はんだ」による超微細はんだ配線加工、および医療電子機器のアッセンブリなどを得意分野としている。強みとするこの技術をLPに掲載したところオーガニックでの流入が増え始めた。
写真は超微細はんだ加工(マイクロソルダリング)の一例。
■これまでの成果と今後の展開■
指名検索以外の流入と高確度の問い合わせ
トライ・アンド・エラーの連続ですが、アドバイザーとデジタル施策に取り組んだ結果、先日は大手から問い合わせをいただくなど嬉しい変化が出始めています。これまでオーガニック検索の流入は社名や商品名などの指名検索ばかりでしたが、<医療機器 OEM>などでの検索流入も増えてきました。
さらに、今回の全面改修でLPに追記した<AW50>という当社の強みである超微細はんだ加工に関するニッチキーワードでも検索されているなど、確度の高い問い合わせや商談につながる動きも出ています。
SEO対策を強化したWebサイトリニューアルを計画
アドバイザーと協議しながら広告以外のオーガニック検索流入を増やすため、SEO対策を強化したWebサイトの全面リニューアルを計画しています。現在のWebサイトでは、一番の強みである医療機器のページが深い階層に入っているので、その構造を改善するほか、メニュー構成やコンテンツの見直しを含めた大規模な改修を図る予定です。
お客様目線のサイトづくりを徹底するために、あらためてペルソナを策定するなど根本から見直しています。リスティング広告で一定の流入数があるため、SEO対策を図ることによりお問い合わせの増加や新規顧客の獲得の余地がありそうです。改修・公開は来年度になりますが、サイトを単なる集客ツールではなく、リード育成もできる営業ツールへと進化させたいと考えています。
「ハンズオン支援により、当社のようなニッチ分野のものづくり企業でもデジタルの情報発信により、ビジネスチャンスや新たな顧客接点が生まれることを学びました」と語る土橋社長。

■公社支援のもとで取り組んだ感想■
PDCAサイクルの経験こそが成果
ハンズオン支援を受けるまでは、施策の効果や正しさに確信を持てないまま手探りで進めてきました。今回、目標を設定し、仮説を立て実行し検証、そして改善していくというPDCAサイクルを経験できたことは、当社にとって大きな成果でした。
現在サイトの全面改修に向けて、アドバイザーから「まずはターゲットの悩みを知ること」「課題解決の情報提供を行う」などの助言をいただいており、ツールを使って検索キーワードを分析しながら制作していきます。今回の支援で、効果検証を行い継続して改善を続けていけば、成果につながることを学びました。施策が成功したとき、また期待する効果が得られなかったときも、常に当社の現状を理解していただき、道筋を示してくれたアドバイザーには心から感謝しています。
「試行錯誤の連続でしたがサイト全面改修の道筋が見えてきました」

アドバイザー 溝呂木 聰
デジタルマーケティングを担当する山本さんは、実行力と自己解決能力が高い方です。LPやWeb広告の改善では、トライ・アンド・エラーを繰り返し、あきらめずに施策を前進させる粘り強さも持っており、来年度以降は自走の推進力になると思います。特に同社のような専門性の高い商材の場合、効果検証・改善・実行のプロセスが重要になります。サイトリニューアルでオーガニック検索からの流入をさらに増やし、問い合わせ数の向上を目指します。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社東興電機製作所 |
所在地 | 東京都武蔵野市中町1-9-5 第一中央ビル4F-A |
設立 | 1963年6月 |
事業内容 | 精密機器の開発設計および量産製造 |
資本金 | 1,000万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。