ECサイトの刷新がゴールではなく、最終的に目指すのはセレクトショップ「Sunny Sunday Beach」独自のオムニチャネル構築。今後もポップアップストアとECの好循環を生み出す取り組みを続けたいと語る土居さん。
※写真 代表取締役 土居 聖美

LA直輸入のファッションアイテムを中心としたセレクトショップ「Sunny Sunday Beach」を運営する株式会社SUNNY・B。ポップアップストアの競争激化をきっかけにオンライン販売の強化を目指し、ECサイトと在庫管理システムのリプレイスを決断。スタッフ間で分担しながら実現した。店頭およびEC販売の相乗効果とさらなる顧客関係の強化に取り組んでいる。
■本事業に申し込んだ背景■
ポップアップの出店競争激化でEC強化へ
当社はセレクトショップ「Sunny Sunday Beach」にて、主にアメリカ西海岸から自社輸入した洋服・バッグ・アクセサリーなどを販売しています。固定の実店舗は持たず、全国の商業施設でのポップアップストアを中心に展開中です。近年は円安やアメリカの物価高、輸送コストの高騰に加え、無店舗のアパレルブランド増加など催事スペースの競争が激化。売上の多くをポップアップ販売に依存しているため、出店できない期間も安定して売上を確保でき、利益率の改善も期待できるオンライン販売の強化が急務でした。
しかし既存の自社ECサイトは、システムの開発と更新が終了しており、管理会社のサポートとセキュリティ面への懸念といった問題を抱えた状態で運営していました。課題解決を考えていた時に、金融機関から公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を紹介していただき申請しました。
アドバイザーによるハンズオン支援の内容
ECサイト構築と在庫管理機能を兼ねる「Shopify」を活用
支援の中で販売の現状や業務フローについて確認していったところ、まずは在庫管理におけるムダを指摘されました。出店場所により会計方法が異なるので、自社でPOSレジを持つことができず、店頭でチェックしたものを帰ってからECサイトに入力し直していました。そうすると店頭とECサイトの在庫を即時に反映できず、機会損失にもつながってしまいます。さまざまな改善策のメリットとデメリットを検討した結果、在庫の一元管理ができて、今後やりたいことに近づけると判断し、ECプラットフォーム「Shopify」を利用してサイトリニューアルを行うことにしました。支援の中で手順のアドバイスもあり、まずは「Shopify」への商品・在庫登録をスタッフ総出で行いながら、徐々にスマホアプリの操作や在庫管理の手順に慣れていきました。

30代以上の女性を中心に幅広く愛される「Sunny Sunday Beach」。「ECサイトでは男性客も増加しています。ポップアップとECサイトの両輪でより多くの方にショップの魅力を伝えていきたい」と話すゼネラルマネージャーの水野さん。
■具体的な販路開拓への取り組み■
ゴールから逆算した優先順位の明確化で合理的にEC構築
「ECサイトのリニューアルオープンは目玉商品がある時期に合わせましょう」との助言から、福袋の売り出しが始まる12月を目標に、サイト構築やシステム移行は代表の私が、デザインや画像制作は経験のある水野が担当し、分担しながら進めていきました。「Shopify」はテーマ(テンプレート)を活用することで、ノーコードでのサイト構築が可能です。操作に戸惑うことも多かったのですが、アドバイザーが具体的な操作法を示してくれたことで使いこなせるようになっていきました。また、カスタマイズによる構成で悩んだ時も、「まずこれをやりましょう」とゴールから逆算して優先順位を明確にしてくれたことで、各地の出店と並行しつつ何とか公開にたどり着けました。
「アドバイザーとはフランクに会話しながら意見を出せる関係」と土居さん。アドバイザーは、同社の事業計画を理解した上で選択肢を提示し、伴走しながら常に支援終了後の自走を見据えている。

■支援の感想と今後の展望■
営業DXでより創造的な業務へのリソース再配分
ECサイトの12月売上は昨年同月より約20%向上し、新規顧客層の獲得や遠方の既存顧客からのリピート受注にもつながっています。また、煩雑だった管理業務も大きく改善しました。セレクトショップゆえ商品数が多く移動も頻繁なので、在庫管理には難儀していましたが、今回のリニューアルで在庫管理の一元化が可能となり、ECサイトの商品カテゴリやブランド単位でのページなども自分たちで考える時間ができました。既存サイトからの顧客移行もスムーズに実現できて、クーポンの配布など新しい販促の機会につながっています。アドバイザーが当社の商材・商流・経営状況、リソースなど全体を踏まえた上で、一緒に最善策を考えてくれたおかげです。現場工数を改善したことで、販促企画の立案やEC・SNSのコンテンツ拡充などのクリエイティブ業務に充てることが可能になりました。
ECとポップアップの連携強化を図る
ハンズオン支援は、単なるデジタルの技術面に留まらない、マーケティングの本質に根付いたものでした。「まずは世界観を売りましょう」とアドバイスを受け、ページづくりで悩むと「どんな人に売りたいのか」を何度も問いかけられました。今後もお客様に「『Sunny Sunday Beach』に行けば、好きなテイストの商品がある」と認知いただけるよう、引き続き世界観やストーリーを訴求していきます。
現在、ポップアップストアの告知にLINEの公式アカウントを活用しています。ショップカード機能も利用しているので、LINE IDとECサイトの会員データを紐づけ、さらなる顧客サービスの向上を目指します。リアルとオンラインでシームレスに購買できる仕組みづくりが今後の目標です。
「課題解決の選択肢を提示すると必ず自分たちで考え行動されています」

アドバイザー 山本 晶子
ショップの世界観と事業計画をしっかりお持ちの企業です。ただし、リソースが一番の課題でした。課題解決の選択肢を提示したところ、皆さんはECサイトのリニューアルが大変なのは承知の上で「やります!」と宣言されました。施策の方向性や、逆にできないことの線引きも明確なので、あとは最適解を一緒に模索し、デジタルでの訴求や実装をサポートする形となりました。依存するのではなく、ご自分たちの判断軸で行動される姿勢は、自走体制構築をゴールとする本支援と相性が良かったと思います。
※本記事は、2025年1月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社SUNNY・B |
所在地 | 東京都練馬区早宮2-17-47 |
設立 | 2012年9月 |
事業内容 | セレクトショップ「Sunny Sunday Beach」の運営 |
資本金 | 200万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。