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製造業

BIツール活用とカスタマージャーニーによる顧客分析、ECサイトのコンテンツ拡充とSEO対策により新規顧客獲得とリピート率向上へ

2025/03/07

株式会社さくらほりきり

デジタルマーケティング推進を牽引する経営企画課の山本さん。ECサイトの運用をはじめ、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用したメールマーケティングの推進、LINE・YouTube・SNSの運用、さらにBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを用いた顧客分析や戦略立案などの実務を担当している。

※写真 経営企画課 山本 寛樹

国産の高級な織物や和紙などを素材としたオリジナルクラフトキットの企画・製造・販売を手がける株式会社さくらほりきり。以前からデジタルマーケティングを積極的に推進しており、ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)では、ECサイトの特集コンテンツ拡充、SEO対策、動画活用などに取り組み、新規顧客の獲得とリピート率向上を目指す。

■本事業に申し込んだ背景■

高齢化社会を見据え「作る喜び」をより多くの人に

当社は和紙で作る工芸品や布絵、針や糸を使わずに作れるきめこみパッチワークなど、「簡単に高い完成度の作品が作れる」手作りクラフトキットの企画・製造・販売を行っています。主なお客様は、趣味として楽しんでいらっしゃるシニア層の方々ですが、福祉施設・デイサービス・病院などでもレクリエーションプログラムの一環として広くご利用いただいており、法人営業にも力を入れています。これまで口コミやフィールドセールスによる販路拡大が中心でしたが、近年はご高齢者もスマートフォンやパソコンを利用する時代。さらに、福祉・介護施設でもレクリエーション企画の際にWeb検索が用いられることから、現在はECサイトを中心としたデジタルマーケティングにも注力しています。

「完成度の高いキット」のWeb上での訴求に課題感

しかしながら、「作る喜び」「誰でも作れて完成度の高いキット」といった、当社ならではの「手作り」が持つ付加価値をECサイトで伝えきれていないという課題感がありました。試行錯誤してきましたが、クラフトキットという特殊な商材ゆえ、一般的な小売りのフレームワークが当てはまらないことも少なくありません。そこで、当社に適した戦略的なデジタルマーケティングの手法を学び、超高齢化社会による今後の需要拡大を見据えた社内体制強化のためにも、ハンズオン支援を申し込むことにしました。

さくらほりきりの実店舗 浅草橋本店内の様子

さくらほりきり浅草橋本店では、「作る喜び」を感じられる簡単手作りキットをはじめ、難易度の高いこだわりキットなどを販売。初心者から上級者までスキルに合わせて楽しめる商品が揃う。体験型ワークショップも開催。

■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■

読み物形式の特集ページで購入意欲を高める

アドバイザーと協議し、まずはECサイトのコンテンツ改善を通して、クラフトキットの価値を訴求することにしました。具体的には、これまで商品を並べているだけの特集ページを、SEO対策も加えた読み物形式へと刷新することで、より検索にもヒットしやすく、かつ興味を喚起するコンテンツへと昇華させていきます。

顧客データを読み解き、適切なデジタル施策へ転換

当社では以前から、BIツールにより顧客行動や購買傾向の可視化に取り組んでいますが、初回購入後のリピート率のさらなる向上が課題となっていました。その要因の一つとして、お客様のスキルに合致しない難易度のキットを選択してしまっている可能性が考えられます。難易度に応じてキットを選択できる仕組みが必要だと考え、社内で導入を検討していたところ、アドバイザーからも後押しをいただき、ECサイトに「難易度で選ぶ」のカテゴリーを設置することができました。

「ECサイト運用やアクセス解析、マーケティング分析の方法論は理解していましたが、それが当社に適しているのか自信がありませんでした。アドバイザーの伴走のおかげで、メンバー全員が確信を持てました」と語る山本さん。

株式会社さくらほりきり経営企画課 山本さんと原田アドバイザー

■具体的な販路開拓への取り組み■

カスタマージャーニーマップで「完成度」を具体化

ラッコキーワードを用いたキーワード選定も行い、既存ページのタイトル最適化によるSEOの効果底上げにも取り組んでいます。さらに「昭和レトロ」「干支」を切り口にした読み物形式の特集ページも作成し、潜在顧客の流入拡大を図っているところです。
常々、当社が訴求ポイントとしている「キットの完成度」という言葉について、アドバイザーから抽象的な「完成度」ではなく、具体的な意味をWeb上で明確に伝える必要があるとの指摘を受けました。
そこで「完成度」の具体的な意味とユーザーのスキルに合わせた訴求方法を導き出すために、ベースとなるカスタマージャーニーマップを作成し、顧客の行動・心理体系に基づき、各タッチポイントにおいて「どう伝えるべきか」「伝えきれていないことは何か」を丁寧に掘り下げていきました。特に初心者向けのページにおいて、「完成度」の訴求・理解を促進するコンテンツ拡充には注力しました。「完成度」の構成要素として、「自社開発・直販だからこそ実現した品質」「お客様の声を反映した商品改善」「すぐ始められる準備の手軽さ」などを定義し、反映していきました。

■支援の感想と今後の展望■

コンテンツ拡充などで流入数20%増

さまざまな施策へ包括的に取り組んだ結果、自然検索からECサイトへの流入数が20%ほど増加しました。試験的に出稿しているWeb広告についても、流入の受け皿であるECサイトが整ったことで高い効果が得られています。今後は、福祉施設に向けたクラフトキット作成のハウツー動画のオンデマンド配信も計画中です。SNSの活用も強化し、多様なチャネルで顧客とのエンゲージメントを高めていきたいと考えています。

「推進チームのポテンシャルが高く、さらなる挑戦で飛躍が期待できます」

デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 原田 隆治

さくらほりきりさんはもともとデジタルマーケティングのポテンシャルが高く、各種ツールも使いこなしています。Googleアナリティクスの探索機能にて、自由形式からデータを組めるレベル感の事業者は、なかなかいないと思います。また、SNSや動画についても専門家が太鼓判を押すほどの運用レベルです。今後はWeb施策の効果検証が鍵になります。トライ・アンド・エラーをスピーディに繰り返すことにより、さらなる成果を上げられると期待しています。

※本記事は、2024年12月時点の情報です。

企業情報

企業名株式会社さくらほりきり
所在地東京都台東区柳橋1-25-3
設立1986年7月
事業内容オリジナル手芸キットの企画・制作・販売 ほか
資本金1,000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。