「デジタルマーケティングへの挑戦は、時間と手間、大きなコストも必要でハードルが高いと考えていました。でも、正しくやればできる、そして効果が出ることを本支援で体感しました」と語る高谷さん。
※写真 代表 高谷 奈穂子

環境に優しいコルク製品をポルトガルから輸入・卸販売するDiana Trading TOKYO。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)は2年目で、昨年度はWebサイトのリニューアルなどに取り組んだ。今年度はブランド価値をより高めるためにコンテンツの充実化と顧客接点の拡大を目指す。
■本事業に申し込んだ背景■
環境に優しいコルク製品の販路拡大に向け支援を申請
当社の主事業はコルク製品の輸入販売です。コルクはコルク樫から剥いた樹皮を原料とするため伐採せずに済む上、皮剥ぎしたコルク樫は二酸化炭素を通常の3〜5倍も吸収するので、サステナブルな素材としてSDGsの観点からも注目されています。卸販売先はメーカー、小売店、雑貨店などで、展示会での引き合いがメインですが、Webでの販路開拓を目指して2023年にハンズオン支援に申請しました。アドバイザーの助言のもと、Webサイトをリニューアルし、内製で更新できるようWordPress設定の一部変更やGA4(Googleアナリティクス4)でのアクセス解析を行い、専門家派遣にてプレスリリース配信や動画制作にも取り組みました。
Webサイトの訴求力不足を感じて継続支援へ
そして、サイト経由の問い合わせが増加したほか、展示会などをきっかけに商談の機会を得ることが増えました。これは新しいサイトの更新頻度などが事業の信頼感醸成に一役買っていると推測しています。一方で、コルク製品・素材の魅力やポテンシャルを伝えるコンテンツの不足や、動画編集における想定以上の時間と手間など、新たな課題も生じておりましたので継続支援を申請しました。

写真は『足裏と地球に優しいバスマット』。足裏にマットが触れた時、ヒヤッとせずにコルクの温かみを感じる商品。コルクの原料はコルク樫の樹皮。樹皮は1本の木から200年にわたり繰り返し採取できるので、SDGsに貢献する天然素材として注目されている。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
エンドユーザーの声を反映したコンテンツ制作
今年度、まずはアドバイザーと現在のマーケット環境・取引状況やこれまで取り組んできたデジタル施策と効果、新規獲得・売上の数値目標および今後の事業展開について擦り合わせを行い、その上で「ブランド力を高めるコンテンツ拡充」「商談の機会創出・確度向上」を目標に掲げました。アドバイザーからは、エンドユーザーの声をコンテンツに反映させること、そのためにもBtoCイベントに出展してエンドユーザーと接点を持つことも大切との助言をいただき、2年目のハンズオン支援がスタートしました。
営業力強化のトレーニングとしても役立つ動画制作
アドバイザーと一緒に「施策の優先順位づけ」「商材やコルク素材のアピールポイントの整理」も行いました。Webサイトのブラッシュアップが商談契機と精度の向上につながるため、まずはブログなどのコンテンツ拡充を優先し、その次に展示会対策、動画制作は労力対効果の面から優先度を下げ、訴求ポイントの整理と商談の練習と位置づけ、最低限の編集で質より本数を重視して制作することにしました。
BtoBビジネスでは対面でのクロージングも必要になる。営業経験を持つアドバイザーから実践的なアドバイスを受け、商談のスキルも磨かれた。デジタル施策で商機を広げ、対面での営業活動により確実に成果へとつなげていく。

■具体的な販路開拓への取り組み■
生成AIの活用と展示会出展の効果
ブログ制作においては、長年にわたり携わるなかで、コルクのことをあまり知らない一般の方の目線や、バイヤーへの訴求ポイントを見失いがちになっており、コルクに関する情報の伝え方に悩みました。解決策のひとつとして活用したのが生成AIです。「コルクについて何を知りたいか」などの質問をしてAI目線で回答してもらうなど、アイデア出しや壁打ち相手になってもらいました。
イベントや展示会の出展時には、ブログやプレスリリースなどによる事前告知にも注力しています。アドバイザーから予算をかけずにPRする方法も教えていただきながら、公社主催の『東京くらしのフェスティバル』商談会では、事業パンフレットも刷新してデジタルとアナログの両面からアプローチ。2日間で10社と商談できた上、大手との接点も持つことができました。
■支援の感想と今後の展望■
2年間の支援でデジタルとリアル両方の営業力が向上
今年度最大の成果は、動画やブログなどのコンテンツ制作を通じて営業力を強化できたことです。動画を何本か作っているうちに、コルクの魅力を客観的な視点から的確に伝えられるようになったほか、事業開始時からの課題だった営業トークへの緊張感が和らぐなど、商談時のプレゼンテーションにも活きています。また、アクセス数やWeb経由のお問い合わせ数、商談数の増加など定量効果にもつながりました。
支援1年目でデジタルマーケティングの大枠を固め、2年目はより実践的な営業全般のアドバイスを得て、BtoBビジネスにおける営業力のボトムアップを図ることができました。今後も「営業社員」としてWebサイトを上手く活用して、コルクの素晴らしさを世の中に広めていきたいと考えています。
「ブログや動画を制作して効果検証 商談機会も増えて重要な局面へ」

アドバイザー 石田 国大
高谷さんのコルクに対する想いと情報量がDiana Trading TOKYOの大きな強みです。動画制作では「トークは緊張するから苦手」と言っていましたが、やはり商材に対する愛情と熱量が溢れており、非常に良い仕上がりで効果も出ています。本数を重ねるうちに訴求ポイントが整理され、商談におけるプレゼンスキルも磨かれていきました。現在はブログの拡充、データ解析、商談準備などを行っており、重要な局面に入っています。PDCAサイクルも高速で回せていますのでより多くのビジネスチャンスが期待できます。
※本記事は、2025年1月時点の情報です。
企業情報
企業名 | Diana Trading TOKYO |
所在地 | 東京都中央区銀座1-22-11 銀座大竹ビジデンス2階 |
設立 | 2018年3月 |
事業内容 | コルク製品や素材の輸入・商品企画・販売 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。