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製造業

プロダクトブランドの構築とデジタル×リアルでの情報発信による認知拡大を糸口に、既存事業の新たなビジネスチャンスと企業価値を創出

2025/02/28

株式会社江北ゴム製作所

「どんなに難しい困りごとでもゴムのことなら何でも相談ください」「研究を重ね、開発して、解決策をご提案します」「私たちは困りごと解決集団です」と話す菅原社長。

※写真 代表取締役 菅原 健太

工業用ゴム加工製品を開発・製造する株式会社江北ゴム製作所。「ゴム製品の困りごと」に応える提案力を強みとする。コロナ禍を機にデジタルマーケティングに取り組み、2023年度からはWebコンテンツを拡充、2024年度は天然ゴムと食品廃棄物を原材料とする新製品を通じた技術力の周知に力を入れている。MAツールの導入にも取り組む。

■本事業に申し込んだ背景■

コロナ禍の際に情報発信の重要性を痛感

当社の主事業はゴムライニングやプーリー・ロールなど多種多様なゴム加工製品の開発・製造です。ゴム素材を仕入れて成型するだけのメーカーではなく、当社は素材の配合から金型設計など幅広い工程を担い、課題解決型ビジネスを得意としています。「ゴムの困りごと解決集団」を自負していましたが、コロナ禍の際に受け身営業からの脱却を目指し、2020年度にWebサイトを改修しました。「困りごと解決事例」ページを新設し、以後も事例記事の更新などを継続。問い合わせが新規受注につながるケースもあり、Webでの情報発信の重要性は認識していました。

支援1年目はWebサイトのコンテンツ拡充

さらなる発信力強化を目指して、2023年度から公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を受けています。まずWebサイトのアクセス解析を行ったところ、検索キーワード<ゴムライニング>や<防食>からの流入が多いことが判明しました。関連するページの改善を実施したほか、エンド企業への訴求強化策として資料ダウンロード機能を追加し、潜在顧客を「見える化」していきました。2024年度も支援の継続を申請し、潜在顧客に向けて当社の幅広い技術と課題解決力をアピールできるようデジタルマーケティングに取り組んでいます。

rebbuRの特設ブランドサイトには、わかりやすいイラストでの説明も掲載されている。

江北ゴム製作所は日常生活の困りごと・社会の困りごとに根差した製品開発を心がけている。「rebbuR」の「土がこぼれにくいプランター」も、菅原社長の日常生活における困りごとからアイデアが生まれた。

■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■

環境に優しい新素材のブランディング

当社を新たな分野にも周知させ、かつ付加価値を創造する手段の一つとして、天然ゴムに卵の殻などの食品廃棄物を調合した環境に優しい新素材「rebbuR(リバー)」を開発しました。製品化第一弾のプランターはプロダクトデザイナーと提携し、2023年度の東京ビジネスデザインアワードで優秀賞を受賞、2024年4月にはミラノサローネにも出展するなど、ブランディング面での知見を得ることができました。
2024年9月には「rebbuR」の特設ブランドサイトを新設しました。商品イメージを踏襲した単なるデザイン重視のサイトではなく、新素材や技術を通じて「世の中の困りごとを解決する」という当社の理念が伝わるようなサイトを目指し、アドバイザーと相談しながら取り組みました。素材の原料に関するストーリーや製品の実用性を伝えるコンテンツを制作し、SDGsや環境保全に興味をお持ちの企業や、これまで接点のなかった業界に向けても訴求できるようなサイトに育てていく計画です。「rebbuR」ブランドが新たな引き合いの足がかりとなることを期待しています。

現在、2025年2月に開催されるインターナショナル・ギフト・ショー出展の効果を最大化するため、アドバイザーのサポートによりさまざまなデジタル施策に急ピッチで取り組んでいる。

株式会社江北ゴム製作所の菅原社長と藤原アドバイザー

■具体的な販路開拓への取り組み■

展示会出展に向けた情報発信とECサイトの整備

2025年2月にはインターナショナル・ギフト・ショーへ市場調査の目的も兼ねて出展します。これまでは工業系の展示会出展やBtoB商材の取り扱いが主でしたので、当社としても新しい試みです。「rebbuR」の訴求法やブースの見せ方など、ブランディング面からも急ピッチで準備を進めています。アドバイザーの「ギフト・ショーは来場前の周知が鍵です。話題性のある商材ですし、事前告知に注力しましょう」の助言のもと、特設サイトのブラッシュアップ、プレスリリース配信など情報発信も強化していきます。さらに出展までにはECサイトも実装し、出展効果を最大化させたいと考えています。

MAツールで潜在顧客を「見える化」

MA(マーケティングオートメーション)ツールの導入も進めています。潜在顧客を可視化し、どのような分野に需要があるのかを探るためです。新しい分野のお客様と接点を持つことにより、同業他社にも営業活動を水平展開できると考えています。お問い合わせをいただいたお客様のほか、資料をダウンロードした企業の情報も蓄積しています。

■支援の感想と今後の展望■

アドバイザーの伴走で未来の可能性が見えた

ハンズオン支援によるデジタル施策の効果により、Web経由の問い合わせや新規受注が大幅に向上しています。特にエンド企業からダイレクトで問い合わせをいただくようになったことが、大きな成果です。世界的なものづくり企業との商談も進んでいます。アドバイザーは、事業の可能性を見いだし、限られたリソースのなかで実現できるデジタル施策を提示くださり、実行・効果検証・改善まで伴走していただきました。心から感謝しています。

「明確な方針に基づきデジタルを手段として自然に活用」

デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 藤原 哲史

菅原社長はデジタル施策を目的とするのではなく、自社の発展のために必要な手段の一つと考え、また常にその先を見据えています。MAツールの導入はお客様の期待値を超えて顧客満足度を高めるための手段の一つで、新素材のブランディングと情報発信も既存事業拡大の手段というスタンスです。施策の方向性は常に経営方針と直結しておりブレないので、プランのコンセプトも明確です。決めたことをスピーディに実行し、成果につなげている企業です。

※本記事は、2024年12月時点の情報です。

企業情報

企業名株式会社江北ゴム製作所
所在地東京都足立区堀之内1-13-34
設立1962年6月
事業内容工業用ゴム製品の開発・製造
資本金5,000万円

掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。