清水さんは営業からマーケティング・広報担当に異動して1年目。社内にデジタルマーケティングのノウハウが不足していたため、基礎知識から学びつつ成果を積み重ねている。「ゼロからのスタートでした」と語る。
※写真 マーケティング・広報担当 清水 大真

力仕事の負担を軽減する「マッスルスーツ®」を製造・販売する株式会社イノフィス。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)により、さらなる認知向上と販路拡大を目指す。GA4(Googleアナリティクス4)などの使い方を学び、特に潜在層への訴求策としてユーザーニーズ面からのSEO対策に取り組み、Webサイト改修やYouTube最適化を実施した。
■本事業に申し込んだ背景■
アシストスーツのリーディングカンパニー
当社は社会課題の解決を先端技術で解決する大学発のベンチャー企業です。開発した「マッスルスーツ®」は、力仕事や中腰作業の負担を軽減する補助具で、高性能ながら電源不要で軽量、さらに豊富なラインナップが強みになります。介護をはじめ物流や農業など幅広い業界の現場に導入いただいています。最近は価格を抑えた新製品もリリースし、庭仕事やご自宅での介護などBtoCの拡大にも期待しています。
ノウハウの蓄積不足で暗中模索
元来、テレビCMやプレスリリースなど、広報・宣伝活動には積極的に取り組んでいましたが、デジタルマーケティングに関しては手つかずの状態でした。WebサイトのSEO対策は行っておらず、Web広告は外部の委託先に任せきりで、効果検証の記録も残っていなかったのです。社内にノウハウの集積がほとんどない状況で、悩んでいた時に公社のハンズオン支援を知ってすぐに申し込みました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
複数チャネルを統合し、業務効率化と効果の集約を図る
アドバイザーには、「BtoB:デモ機レンタルの問い合わせ件数倍増」「BtoC:ECサイトの売上倍増」の目標をお伝えしました。まずは現状確認と課題の洗い出しを行い、Webサイトの統合を検討することになりました。現在はコーポレートサイトのほかブランドサイトとLP(ランディングページ)、ECサイトの4サイトとブログを運営しています。「窓口が多いこと自体が悪いわけではないけれど、一人での運用にはあまりに負担が大きい」との助言をいただき、アクセス数の多いブランドサイトを軸に統合し、導線を一本化する方向で施策がスタートしました。
新たな切り口でのSEO対策でユーザーの裾野を広げる
検索ワードの見直しも重要なテーマでした。商品名の<マッスルスーツ>では検索1位ですが、一般名称の<アシストスーツ>では競合が多く、検索順位は7位前後の状況です。<アシストスーツ>での検索上位を狙うほか、名称を知らない潜在層の目にも触れるよう、<腰痛>や<農業 補助金>などニーズ面および関連性のあるキーワードからの流入も目指すことにしました。

同社が開発した「マッスルスーツ®」は、少子高齢化社会における介護問題や労働力不足といった社会課題にアプローチする画期的な商品。発売当初からさまざまなメディアに取り上げられている。
■具体的な販路開拓への取り組み■
Webサイト改修に向け苦戦したキーワード選定
キーワード選定の際、<腰痛>というキーワードは製品の効果として記載すると薬機法違反になりかねず、配慮が必要でした。また、これまでは<マッスルスーツ>という製品名を中心にサイトを構成していましたが、SEO対策にあたってはユーザーに検索されやすい<アシストスーツ>を中心とした構造に変更する必要があり、また<製造><運輸>などの業界名の取り込みや、<補助金>などのコンテンツも追加する必要があるため、非常に時間がかかりました。アドバイザーにラッコキーワードの使い方も教えていただきながら、なんとかキーワード選定を完了。競合メーカーのWebサイトも参考にしながらコンテンツに反映していきました。
動画SEOで個人ユーザーへの認知度向上も目指す
動画制作にも力を入れています。以前から顧客にご協力いただき、実際の使用シーンを撮影して事例を紹介していますが、SEOの観点が抜けていたので、既存のYouTube動画のタイトルと概要欄にキーワードを反映しました。最近は悩み事の解決策をハウツー系のYouTubeで調べる人が多いようです。個人への認知度向上や、YouTubeからのサイトへの流入増加を目指し、今後は企画の段階からSEOを念頭に制作していきます。
Webサイトの改修後は継続的に効果検証を行い改善に取り組んでいく。アドバイザーからGA4の手ほどきを受け、Looker Studioは自身で習得した。

■支援の感想と今後の展望■
一元化したサイトをハブに包括的施策で相乗効果を狙う
アドバイザーに伴走していただき、統合するWebサイトの構成案はほぼ完成しました。BtoB、BtoCともに全ターゲット層にアプローチできる非常にシャープな構成で、効果検証や改善に要するリソースも圧縮できる見通しです。並行してECモールへの出店、Meta広告出稿も計画しています。問い合わせ対応後のCRM(顧客関係管理)や改修後のサイトでPDCAを回す体制整備が今後の課題ですが、Webサイトを起点にBtoB、BtoCの両軸から各施策を推進していきます。
自社の課題やレベル感に合わせた伴走支援
アドバイザーは当社の状況に合わせて初歩的なことから幅広く教えてくださいました。中小企業では、一人で多くの業務を担う担当者が多いと思います。ハンズオン支援なら自社の状況に合わせた施策を一緒に考え、実践・効果検証・改善まで伴走していただけます。アドバイザーには心から感謝しています。
「粘り強い取り組み姿勢と柔軟さ Lookerを活用した自走体制を整備」

アドバイザー 清水 耕太郎
清水さんは幅広い業務を担当しながら、真摯に粘り強くデジタル施策に取り組んでいます。統合したWebサイトの構成が非常に良い出来なので、他社にも参考例としてご紹介したいほどです。考え方が柔軟で、BtoBとBtoC両方の施策を的確に理解して実行されているのも素晴らしいです。GA4やBIツールのLooker Studioの基本操作も習得されたので、サイト改修後に効果検証の体制を構築できれば、問題なく自走できると思います。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社イノフィス |
所在地 | 東京都八王子市東町7-6 エバーズ第12八王子ビル5階 |
設立 | 2013年12月27日 |
事業内容 | 介護福祉用・産業用機器の開発・設計・製造・販売 ほか |
資本金 | 10,000万円 |
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