スピーカーに「睡眠」という新たな価値を打ち出したエムズシステム。訴求力のある魅力的なアプローチだ。「ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)でマーケティングの本質を学びました」と語る三浦社長。
※写真 代表取締役 三浦 光仁

独自の音響技術により、音で心身を整える「波動スピーカー」を提供するエムズシステム。本社ショールームに試聴スペースを持ち、音楽ホールにて体感型のイベントも開催。試聴後の高い購入率が物語る圧倒的な技術力が強み。スピーカーからの「生の音」とデジタル施策での訴求を掛け合わせることにより、「睡眠」に特化した新たなマーケティング戦略に挑む。
■本事業に申し込んだ背景■
唯一無二。音で空間を創る
当社は職人によるハンドメイドにこだわったスピーカーを製造・販売する音響機器メーカーです。我々のミッションは、ただ音楽を聴くためではなく、良質な音で五感が安らぐリラクゼーション空間を創り出し、社会の調和を実現することにあります。職人の技が生み出す音は、楽器のように使い込むほどに深まり、長年ご愛用のお客様からは「10年目にして、ますます〝鳴って〟きました」という喜びの声をいただきます。
コロナ禍で奪われたリアルでの試聴機会。直面したDXの壁
スピーカー販売は「生の音をお聴きいただく」ことに尽きるといっても過言ではありません。そこで当社では、試聴できるショールーム運営のほか、全国各地の音楽ホールにてスピーカーの臨場感が味わえる体感型の『演奏家のいない演奏会』を450回以上にわたって開催してきました。しかし、コロナ禍でイベント開催が困難になり、集客の大きな柱を失う現実に直面します。この経験が営業DXを進める契機になりましたが、ノウハウ不足や限られたリソースが壁となり思うように進まない状況でした。

エムズシステムのスピーカーは、目の前で演奏しているかのようなリアルなサウンドが特徴。本店ショールームには書斎のようなリラクゼーションスペースも用意され、ゆったりと音色を楽しむことができる。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
Webサイトを当社と顧客を結ぶインビテーションに
当社のスピーカーは、実際に試聴していただければ多くの方がその音質に魅了される製品だと自負しています。だからこそ実現したいのは「エムズシステムのスピーカーと出会うインビテーション」となるデジタル施策です。その想いをアドバイザーにお伝えし、Webサイトを起点にした認知拡大を図り、ショールームや全国の売り場での試聴などエムズシステムのスピーカーと「出会うこと」を当面の目標に設定して、ハンズオン支援がスタートしました。
そして初回のミーティングから、アドバイザーの洞察力と解決策を導き出すスピード感に驚かされました。的確なヒアリングで我々が求めることを捉え、試聴につなげるデジタルマーケティングのロードマップを描く構想力には目から鱗の連続でした。
課題解決と価値発信の重要性
そして、Web上ではメッセージを絞って製品ができることを示す「課題解決型」のアプローチが重要であることを教えていただきました。その上で、アドバイザーは「睡眠」というキーワードのコアイメージを導き出しました。食事や香りと同様、身体に直接入る「音環境」も快適な空間づくりには大切という新たなライフスタイルの提案です。
「アドバイザーとの数時間のミーティングで、我々が何年も模索してきたデジタルでの訴求課題が整理されました。一般道の渋滞を抜け高速道路に乗った感覚です」と語るのは取締役COO 河西美佳さん(写真右)。

■具体的な販路開拓への取り組み■
「睡眠における音の価値」をオウンドメディアで発信
近年注目されている睡眠ですが、実は「音と睡眠」はあまり言及されていないブルーオーシャンの領域です。音響機器メーカーの当社がこの市場にアプローチして差別化を図ることができれば、認知拡大や新規顧客の獲得につながります。
具体策として、まず私が所長となって『音と睡眠 研究所』を設立し、情報発信の拠点としてオウンドメディアを立ち上げ、睡眠に興味を持つ多くの人に「睡眠における音の価値」を届けていきます。このロジックはアドバイザーが描いたもので、非常に明快で納得感があり、共感しましたので実施を即決しました。
デジタルからリアルまでプロモーションをトータル支援
直近の展示会でも睡眠をテーマに展開したところ、過去最高の反響を得ることができました。また、CRM(顧客関係管理)ツールを活用し、展示会で集まった名刺から見込み客を効率よく絞り込む仕組みもサポートいただき、メール配信で効果測定を行うことで営業の精度向上や効率化につなげています。将来的には「音と睡眠」の専門家としてメディアでの情報発信や試聴体験の全国展開も視野に入れ、リアルとデジタルを融合したプロモーションに育てていく予定です。
■支援の感想と今後の展望■
マーケティングの「本質」に迫る支援
今回の支援で、アクセス解析によるデータの読み方や活用法、また解析データの確認を習慣化することも学びました。実際、これまで都内からアクセスするユーザーが多いと思い込んでいましたが、地方からの流入も多いことが分かり、今後は地方での試聴会も増やしていくことを検討しています。またアドバイザーは、単なるデジタルスキル向上・DX施策の推進にとどまらず、「睡眠」という独自のキーワードを見いだし、それを施策で具現化するというマーケティングの本質的な変革をもたらしてくれました。支援を通じて得た知見と戦略は、私たちにとって何よりも大きな財産です。
「聴く人を瞬時に魅了する商品力と改革実行のスピード感が強み」

アドバイザー 坂本 義和
圧倒的な魅力を持つ商品ですが、スピーカーという商品の特性上、Webでその魅力を「伝えきる」ことが難しく、さまざまな取り組みに大きなやりがいを感じています。販路開拓に向けての方向性は定まってきましたので、今後はWebサイトの改修、SNSとの連携など、実行と検証のフェーズに移ります。社長をはじめ皆さんの熱量、速やかな意思決定と実行力が備わっている点も同社の強みです。実際にはもっと長い時間がかかってもおかしくはない施策を短い期間で完了しており、今後も着実かつスピーディーに遂行できると思います。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 有限会社エムズシステム |
所在地 | 東京都中央区新富2-1-4 |
設立 | 2000年9月 |
事業内容 | 波動スピーカーを開発、製造、販売 |
資本金 | 2,000万円 |
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