デジタル施策を担当する伊橋さん。デジタルは未知の分野だったが、アドバイザーから積極的に知識を習得、今では効果検証ツールを使いこなし、さらに生成AIを活用することでWebサイトのソースコード修正まで行うようになった。
※写真 販売部 特別販売グループ 主任 伊橋 涼介
精密機器、電子機器の構成部品に使用される特殊鋼「快削鋼」などを製造・販売する秋山精鋼。ハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)にて、新規顧客開拓に向けたデジタルマーケティングを推進中。Webサイト改修、SEO対策、メルマガ配信などに取り組み、主に製品メーカーの設計者をターゲットとした認知拡大を図る。
■本事業に申し込んだ背景■
技術力を強みに販路を開拓したい
当社は主に特殊鋼の一種である「快削鋼(削りやすい鋼)」を製造・販売しています。快削鋼は、自動車・家電・時計・医療機器などの精密部品には欠かせない金属材料で、加工のしやすさから生産性向上に寄与できる点が強みになります。取引先は材料問屋や自動車の部品メーカーなどで、ほとんどが既存顧客です。長年お取引をいただいている顧客に頼る状況には以前から危機感を持っており、新規顧客の開拓を目的に展示会に出展してきましたが、期待するほどの成果は上げられていませんでした。
突破口はデジタルの力
2年前にコーポレートサイトをリニューアルしましたが、新着情報を更新する程度でサイト経由の問い合わせ件数は月一桁。ほとんどが既存顧客からの問い合わせで、新規は年数件程度でした。サイトを充実させて新規開拓やオリジナル製品の認知度向上に活用したいと考え、公社のハンズオン支援に申し込みました。目標は「新規客問い合わせ数の向上」と「メーカーの製品設計者や部品調達部門をターゲットとする認知拡大」です。当社のことを知っている材料卸や2次サプライヤーではなく、発注主に設計や調達の段階から当社製品を指定していただくことが狙いです。
製品紹介をはじめ、鋼種選定、硬度換算表、資料ダウンロードなど、ターゲットにとって有益な情報が詰まっているサイトを目指し、継続して改修に取り組んでいる。画像は検索からのランディングになっている資料ダウンロードのコンテンツ。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
アクセス解析から流入拡大の手がかりを探る
まずはアドバイザーと、当社の事業や製品、開拓したいターゲットやWebサイトの現状について共有しました。その後、Googleサーチコンソールなどの使い方を教えていただきながらアクセス解析をしたところ、検索ワード<快削鋼>では検索上位であることが分かりました。加えて、資料ダウンロードのページに補足資料として掲載している硬度換算表が比較的閲覧されていることも判明しました。このページを流入拡大の突破口とするため、PDF形式に加えてHTMLでも掲載したところ、検索結果の表示順位が上昇し、アクセス数が明らかに増加しました。
ターゲット目線での製品ページ改修
次に取り組んだのは製品ページの改修です。ターゲットにとって分かりやすく有益な情報の掲載を目指します。しかし、サイト改修にはソースコードを修正する必要がありました。専門家派遣にてWebサイトコーディングのレクチャーを受けつつ、アドバイザーのサポートにより生成AIも活用して内製での改修に取り組みました。さらに滞在時間や回遊率向上のため、技術情報などのコンテンツの拡充や関連ページへの導線整備も進行中です。
展示会で接点のできたお客様に向けメルマガ配信もスタートした。アドバイザーと協議し、今後は定期的なフォローを自動化するためMAツールの導入を検討中。
■具体的な販路開拓への取り組み■
事例紹介のメルマガ配信による見込み顧客の育成
アドバイザーからの提案で、これまでの展示会で接点のできたお客様を中心にメルマガ配信をスタートさせています。配信内容は単なる製品紹介ではなく、当社製品を使用している企業の事例紹介を交えて、技術面において専門外の方にも訴求できるよう導入メリットを具体的に伝える内容にしています。季節感や親しみやすさを意識し、3か月に1回のペースで継続的な接点づくりを図ります。開封率などの効果測定も継続しつつ、将来的にはMA(マーケティングオートメーション)ツールの導入も検討しています。
■支援の感想と今後の展望■
伴走型支援で未経験でも知見とノウハウを効率的に吸収
未知の分野だったデジタルマーケティングに挑戦できたのは、アドバイザーの伴走があったからこそです。一人ではここまでやってこられなかったと思います。最初はSEO対策をはじめWebサイト改善のセオリーに懐疑的でしたが、効果を目の当たりにして驚きました。データに基づいた施策を打ち出せるようになったことで、上層部への報告や提案もスムーズに行えるようになりました。アドバイザーとの毎回の打ち合わせでは多くの学びがあり、聞きたいことを全て質問した結果、スピード感を持って実践できたと感じています。
長期的な視野で販路拡大を目指す
Webサイトの改修により、ユーザー数は50%以上、資料ダウンロード数も20%以上増加しました。検索からのランディングになっているのは、今回改定した硬度換算表のページが主です。支援終了までに製品ページの改修・コンテンツ拡充なども進め、さらなる流入数の増加や回遊率の向上を目指します。若い設計者の方々に当社製品を知っていただき、将来的なお取引の拡大につなげていく計画です。
「多角的な取り組みで潜在層へのリーチを目指します」
直接取引のない製品設計者層にリーチするには長期的な視野が必要です。販路開拓に「特効薬」はなく、多角的な施策を試しながら効果検証を行い、改善を図っていくトライ・アンド・エラーの繰り返しになります。伊橋さんはもともとWebの知見を持っていましたが、さらに効果検証ツールの使い方や改修に必要なソースコード修正まで積極的に新しい知識を習得し、素晴らしいスピード感で多くの施策を実行していきました。すでに成果が出始めており、さらなる飛躍が期待できます。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 秋山精鋼株式会社 |
所在地 | 東京都中央区日本橋小伝馬町15-17 ASK日本橋ビル |
創業 | 1927年4月 |
事業内容 | 精密機器、電子機器の構成部品に使用される特殊鋼(快削鋼、快削ステンレス鋼など)の二次加工メーカー |
資本金 | 10,000万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。