WordPressの無料テンプレートと生成AIを活用し内製にて営業ツールとして機能するサイトにリニューアル 製品QRコードからアクセスできる取扱説明書の動画化も計画
2025/01/29
株式会社植田製作所
Webサイトの全面リニューアルに取り組んだ櫻井さん。「WordPressに触るのは初めてで試行錯誤の連続でしたが、ノウハウの蓄積にこだわり内製で行いました」と語る。アドバイザーの伴走により約4か月で完成させた。
※写真 開発技術課 櫻井 大吾
圧力/真空/差圧スイッチなどの製造・販売を行う株式会社植田製作所。デジタルマーケティングへの対応の遅れに危機感を抱き、公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を申請。Webサイト経由の新規顧客獲得とノウハウ蓄積を目的に、Webサイトリニューアルを内製にて約4か月で完遂し、すでに成果も出始めている。
■本事業に申し込んだ背景■
営業面のリソース不足が課題
当社は1952年の設立以来、産業機械に使用される圧力スイッチなどの製造・販売を行っています。圧力スイッチは油圧や空力を検知し、機械の動作制御・停止・警報作動などを行う重要な部品です。近年は販売競争が激化しており、当社では少ロット対応や特殊品への特化によって差別化を図っています。しかし、専任の営業担当が不在のため、新規顧客の獲得や既存顧客のフォローに十分なリソースを割くことができず、デジタルマーケティングの必要性を感じていました。
動画活用とWebサイトの全面改修に挑戦
そこで公社のハンズオン支援に申請し、営業活動に動画を活用したい旨をご相談しました。例えば、製品の取扱説明書の動画化によって、顧客満足度向上のほかアフターフォローのリソース圧縮を図りたいと考えていました。ところが、肝心のWebサイトが前回の改修から約10年経過しており、レスポンシブ対応が必要なほか、お問い合わせフォームが十分に機能していない状況だったため、動画制作と並行して全面リニューアルを計画しました。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
内製でのリニューアルでWebサイトのプラットフォーム化を目指す
アドバイザーとの協議を経て、リニューアル後のWebサイトは単なる会社案内ではなく、新規顧客獲得や認知向上につなげる営業ツールへと進化させる方向に決まりました。製品取扱動画のほか技術紹介記事などのコンテンツ提供にて、リード獲得や顧客との信頼関係構築を目指すとともに、製品ページはカタログ的なスペック紹介から脱却し、ECサイト機能の搭載も視野に入れて作成します。将来的には製造番号を登録できる会員ページも設けて、アフターサービスの充実化も図りたいと考えました。これらを見据えてコストを抑えつつ、Webのノウハウも蓄積できるようWordPressを用いた完全内製でのリニューアルに挑みました。支援終了までの目標は「Web経由の受注に関する問い合わせ10件獲得」です。
「公社支援でデジタルマーケティングに取り組み、施策により顧客満足度向上や販路開拓への道筋が見えてきました。Webのノウハウを社内に蓄積することができたのも大きな成果です」と話す植田社長。
■具体的な販路開拓への取り組み■
WordPressの無料テンプレートと生成AI活用でリソースの節約
リニューアルは本務の合間を縫ってゼロから構築し、約4か月で完成させました。WordPressは、カスタマイズの自由度は高いのですが「どう見せるか」が問題です。「シンプルで分かりやすい」サイトにしつつ、どうやって製品やブランドイメージを的確に訴求するか、UI/UXを考えるのに苦労しました。無料の日本語テンプレートを使用しましたが、何分WordPressを触るのは初めてでしたので、やはりカスタマイズの操作には手間取りました。アドバイザーからプラグインに関しての指南も受けながら、CSSの編集や細かいコード修正などを行っていきました。
また、プライバシーポリシーなどの作成には生成AIを活用しました。Web検索でテンプレートを探すより、生成AIに要件を伝えて微修正する方が効率的です。また、生成AIはコード修正の際も非常に役立ちました。
iPadの活用で動画制作を効率化
動画制作についてもアドバイザーのサポートによりiPadを使い内製で取り組んでいます。撮影から編集までをiPadで完結できるため、パソコンよりも効率的かつスマホよりセキュリティ面でも安心です。担当者がイメージするシーンを撮りため、その素材の中から使える映像をセレクトし編集する流れです。最終的には製品説明や操作マニュアルの動画を公開し、お客様への有益な情報提供と顧客対応のリソース圧縮を図ります。
現在、Webサイトの効果検証、SEO対策、動画制作、ECサイト運用、MAツール(マーケティングオートメーション)を活用したメルマガ配信などに取り組んでいる。左手前は動画制作を担当する森脇さん。
■支援の感想と今後の展望■
Web経由の問い合わせが増加
リニューアル後、Webサイト経由のお問い合わせが増加しています。今回、問い合わせフォームの入力項目を細かく設定した結果、入力の手間はおかけしてしまいますが、事前に顧客ニーズの把握ができるようになり、またスパムや営業メールが減少し、より迅速な対応が可能となりました。
公社支援で得たノウハウを活かし次のステージへ
現在はSEO対策と効果検証に着手している段階です。併せて、動画コンテンツの拡充、顧客管理体制の構築を含めたメルマガ配信、さらにLINEを活用した遠隔でのカスタマーサポートも検討しています。アドバイザーの伴走により、基本的なデジタルマーケティングの手法やツールの使い方を学び、実際に手を動かしながら、さまざまなノウハウを蓄積してきました。来年度以降も積極的にデジタル施策を推進していきます。
「今後はコンテンツSEOに注力し『企業の魅力』発信でリブランディング」
今年度はWebサイトリニューアルを軸に取り組みましたので、SEO対策やコンテンツの拡充が今後の課題となります。通常の部品メーカーの場合、顧客製品に関する情報は公開できませんが、同社の製品は一つひとつが完成品でもありますので、情報発信しやすい点が強みです。今後は動画活用とともに製品開発のストーリーをコンテンツ化するなど、若い世代にも「あの会社面白そう!」と思ってもらえるような、「企業の魅力」の発信も進めていく予定です。
※本記事は、2024年12月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 株式会社植田製作所 |
所在地 | 東京都三鷹市下連雀4-2-30 |
設立 | 1952年3月 |
事業内容 | 圧力スイッチ、真空スイッチ、差圧スイッチ等の製造販売 |
資本金 | 1,500万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。