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飲食業

社内の意識改革からインバウンド集客、SNS活用まで飲食業のデジタルマーケティング推進の原動力に

2025/01/17

株式会社エフアンドビー・プロジェクト

DXの推進に課題を抱える企業は多い。「それまで私は、社内の目線合わせや共通言語を持つことに苦労していました。アドバイザーは意思疎通をスムーズにしていただく〝通訳〟のような存在でした」と織岡さん。

※写真 企画室 ディレクター 織岡 真央

外食チェーン店である「からあげとり多津」「丸港水産」「山薬清流庵」などを運営する株式会社エフアンドビー・プロジェクト。激変する外食産業の課題と向き合い、次の成長のステージへ向かうべく、社内におけるデジタルマーケティングおよびDXの浸透と新たな集客アプローチを積極的に進めている。

■本事業に申し込んだ背景■

外食産業の転換期。消費者行動の変化にどう応えるか

当社は都内を中心に複数業態の飲食店をチェーン展開しています。コロナ禍の影響により、テイクアウトやデリバリーが急速に定着するなど消費者のライフスタイルは一変しました。さらに、若者やインバウンドを中心にSNSを使った検索方法が台頭するなか、当社も従来の大手三大グルメサイトに依存するだけではなく、消費者心理の「今」を捉えたデジタルマーケティングへの対応が不可欠と考えていました。

社内の意識や価値観のギャップが「壁」に

デジタルマーケティングやDXの推進には、社内の相互理解と意思の疎通が不可欠です。しかし、小規模の外食産業ではさまざまな要因から、他業種に比べデジタル技術の導入に対する理解や実践が進みにくい傾向があると感じています。当社においては、特にベテラン社員の成功体験が若手との価値観のギャップを生む要因にもなっていました。また、社内のITリテラシーも不足しており、上層部もデジタル施策やDX化の必要性は分かっているものの、なかなか実行に移せない状況でした。社内の目線を合わせ、デジタルを通じて新たな集客チャネルの開拓と消費者目線に立ったアプローチの推進に悩んでいたときに出会ったのが、公社のハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)です。

織岡さんと原田アドバイザー

よりお客様に響く戦略は何か。デジタル施策にどのように取り組み、そして活用していくか。共創型のサポートが改革を進めるチカラになった。「ネットに載っていないのは存在しないのと同じ」の言葉をはじめアドバイザーから得た気づきは計り知れないと話す。

■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■

上層部の意識を変えた「課題の見える化」

「インバウンド需要への対応」と「SNSを通じた集客アップ」をゴールに定めて支援がスタートしました。最初のブレイクスルーとなったのが、アドバイザーによる当社に類似した居酒屋をベンチマークとしたHP・SNS比較検討表の提示です。公式サイトの情報量やSNSの活用状況、多言語対応など、当社が取り組むべき課題を客観的な立場から「見える化」していただいたことで上層部の理解が深まりました。
また、中途半端になっていたデジタル施策の整理のほか、SWOT分析で具体的な改善点を抽出。さらに業務効率化につながる生成AIの活用方法も教えていただきました。当時、マーケティング担当として孤軍奮闘していた私にとって、まさに「救世主が現れた!」という感じでした。

■具体的な販路開拓への取り組み■

インバウンドに焦点を当てた導線改善と多言語化

具体的には、海鮮居酒屋「丸港水産」のWeb展開の改善に取り組みました。まず、三大グルメサイトの掲載内容をすべてチェックし、情報のばらつきや翻訳の不具合など機会損失のリスクを一つひとつ潰していきました。さらに、ブランドサイトも日・英・中国語2種(簡体字と繁体字)の4か国語対応としたほか、カスタマージャーニーを整備して予約までの導線やUI・UXの改善にも取り組みました。トリップアドバイザーへのオーナー投稿も行い、インバウンド需要に応える基盤を整備しました。

SNSを使った新たな集客スキームを構築

これまでほとんど活用していなかったSNSについては、Instagramのストーリーに日替わりランチの写真を欠かさずアップし、若手スタッフの協力も得てコンスタントな情報発信の習慣化を図りました。新たな挑戦は一人だけでは厳しい道になってしまいます。若手に向かって急に「やって」と言っても義務感や臆する気持ちが先立つのも事実です。なるべく投稿の敷居を下げ、具体的な成果を示し小さな成功体験を積み上げることで周囲を巻き込んでいくことを心掛けました。

同社が運営する海鮮居酒屋「丸港水産」のWebサイト。インバウンド対策として多言語化に対応し、UIを改善したことで予約までの導線も整理されている。

株式会社エフアンドビー・プロジェクトが運営する丸港水産のWebサイト

■支援の感想と今後の展望■

ランチ需要が2か月で約3倍に、海外予約も堅調な伸び

Instagram投稿が功を奏し、開始からわずか2か月でランチの注文数が約3倍に増加。成果が数字として現れたことで、社内の空気も大きく変化しました。また、台湾のお客様からオンライン予約が入るなど、サイトのUI・UX改善による成果も着実に出始めています。
初めてお会いしてから6か月間、当社の課題を整理し、明確な道筋を示してくださったアドバイザーには心から感謝しています。データ分析による課題抽出、WebやSNSの改善といった具体的な施策、そして社内意識の変革に至るまで、当社のDXは加速度的に進みました。現在はハンズオン支援で得た知見を社内に共有し、PDCAサイクルを効果的に回す仕組みづくりに取り組んでいます。また、生成AIのリスクやルールの整備についても運用テンプレートの構築を進めているところです。伴走に留まらず、ともに未来を創り上げる共創型の支援を受けられること。それが、ハンズオン支援の最大の価値であると強く感じています。

「課題と向き合う真摯な姿勢がスピード感と確かな成果を生み出す」

デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム
アドバイザー 原田 泰宏

本支援の本質は、内部リソースを強化し、支援企業が自走できる力を育むことにあると考えていますが、それを体現されている企業だと思います。織岡さんの、こちらからの提案に真摯に取り組む姿勢と自ら応用していくパワーが、スピード感と確かな成果につながっており、アドバイザーとしても大きな手応えと刺激をもらっています。

※本記事は、2024年11月時点の情報です。

企業情報

企業名株式会社エフアンドビー・プロジェクト
所在地東京都大田区東蒲田2-30-17 サンユー東蒲田ビル2階
設立2007年6月
事業内容飲食店の経営
資本金5,000万円

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