マーケティングチームは2021年に発足。メンバーの松原さんはコンテンツの企画・制作、効果測定などを担当し、自社スタッフのみでデジタルマーケティングに取り組んでいる。
※写真 管理グループ MISチーム 松原 奈海
工業用ラベルの受託製造を行う山王テクノアーツ。主要取引先である航空・鉄道業界以外の新たな分野の顧客開拓を目指して以前からデジタルマーケティングに取り組んできたが、施策の妥当性に不安を感じていた。アドバイザーの伴走により、まずはWeb戦略を明文化。効果測定しながら、より効率的にPDCAを回し、リソース不足の改善も図る。
■本事業に申し込んだ背景■
飛行機や電車に使われる高耐久のラベルを製造
当社のラベル製品は大きく三つに分けられます。一つは航空機の外装ラッピングや機内の表示物、二つ目が新幹線や在来線の外装・内装用ラベル、三つ目が工業系と称している機械製品の銘板や警告ラベルなどです。航空業界で求められる品質マネジメントシステムを業界に先駆けて取得しているので、同業他社からも「航空機や鉄道車両のラベルなら山王さん」と頼られることが少なくありません。
コロナ禍をきっかけに新規分野の顧客開拓を模索
コロナ禍で人の動きが大幅に減ったことにより航空・鉄道業界からの受注が減少し、新たな分野のお客様を開拓する必要に迫られ、営業力強化のためにマーケティングチームを立ち上げて、Webサイトの拡充やSEO対策、メルマガ配信などを実施しました。そして、少ないながらもWeb経由の問い合わせをいただくようになりました。しかし、デジタルマーケティングの知識は独学で習得しており、実施している施策が自社に適しているのかの確信が持てず、またその先の展開も手詰まりでした。悩んでいた時に公社のメルマガでハンズオン支援(アドバイザーが専属で継続的に支援)を知り、即座に申し込みました。
アドバイザーとのミーティングは通常3人で行っている。右はアドバイザー、真ん中が管理グループ MISチーム 松原さん、左がWebサイトのデザイン、コーディングも行う管理グループ マネージャー 篠澤さん。
■アドバイザーによるハンズオン支援の内容■
施策の土台となる戦略の明文化からスタート
アドバイザーとの最初のミーティングでは、施策の妥当性の評価と課題の洗い出しをお願いしました。施策そのものについては高評価をいただきましたが、土台となる戦略が曖昧なので、次の展開が見えてこないとの指摘を受けました。アドバイザーに伴走していただきながら、戦略を明文化するために業務内容の洗い出しから着手し、工業系と一括りにしていた商品や取引先を分類してそれぞれの強みやペルソナを考えていきました。
また、カスタマージャーニーマップについても、意思決定プロセスの掘り下げが不十分なので、詳細に作り直すよう提案をいただきました。その結果、見込み客がお問い合わせに至るまでの過程で不足しているコンテンツが徐々に見えてきました。
■具体的な販路開拓への取り組み■
専門家派遣でSEOとUXの知識を習得
並行して専門家派遣を活用し、SEO対策とUX(ユーザーエクスペリエンス)について学びました。断片的だったSEOの知識が、「一貫した学び」で整理できたほか、現在取り組んでいるSEO施策についてもお墨付きをいただき、ひとまず安心しました。UXの専門家には工業系のLP(ランディングページ)を見てもらいながら、BtoBにおける効果的な伝え方やデザインのレクチャーを受けました。
具体的な施策の決定
これまでは戦略の土台づくりと不足していた知識の習得に集中していましたが、今後は学んだことを具体的な施策に反映する段階に入っていきます。今年度中には、新たにホワイトペーパーも制作する予定です。
今までは方向性が定まっていない状態で施策を試していたようなところがありましたが、ハンズオン支援によって明確な目的を持って施策を検討、実行できるようになってきました。
2016年に航空宇宙産業向け品質マネジメントシステム規格「EN9100」認証を取得、鉄道車両における燃焼試験(車材燃試)もクリアしている。Webサイトには資料のダウンロードができるコンテンツも設置されている。
■今後の展望と目指すゴール■
数値目標の達成に向けたPDCAサイクルの確立
デジタルマーケティングにおける数値目標は「新規成約月4件」「お問い合わせ月25件」、加えて定性的な目標として「PDCAサイクルの高速化」を目指しています。これまで、PDCAの「C」が上手くできないこととリソース不足に悩んできました。施策の効果測定・分析が不十分なので改善が図れていない状況でした。アドバイザーには「流入数だけを見てCVR(コンバージョン率)に注目できていない」という指摘も受けています。またリソース不足を改善するために、PDCAをより高速で回す手法も習得中です。まずは、改修した工業系LPからビフォーアフターの効果測定と分析に取り組んでいきます。
今後はサイトの全体的な改修にも取り組んでいきたいと考えていますので、来年度も継続支援を申請する予定です。
「PDCAサイクルを確立することによってさらなる成果が期待できます」
最初のミーティングで進行中の施策を聞き、取り組みの幅広さとレベル感に驚きました。戦略の明文化と効果測定の方法を助言しましたが、基本的な知識をお持ちなので、すぐにご理解いただき、取り入れていただけました。現在の課題はリソース不足です。お二人とも他業務との兼任なので、より効率的にPDCAを回していくことがポイントになります。高い技術力を持つ企業ですから、デジタルマーケティングでさらなる成長が見込めると思います。
※本記事は、2024年11月時点の情報です。
企業情報
企業名 | 山王テクノアーツ株式会社 |
所在地 | 東京都八王子市石川町737 |
設立 | 1967年11月 |
事業内容 | 工業用ラベル・ステッカーの製造 |
資本金 | 4,500万円 |
掲載の製品・サービス等について公社が保証するものではありません。